気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

リコーGR【第5回】

追加された新エフェクト「かすか」を試す

 1月23日に「リコーGR」の機能拡張ファームウェアVer.3.00が公開されました。3カ月ほどで、Ver.2からVer.3とメジャーアップデート! 普通、カメラはどんどん古くなっていくのに、リコーのカメラは、手に馴染みつつ無料で新しくなっていきます。これってとても嬉しいですよね。基本スペックは同じで機能を増やして、新しいカメラを発売することだってできるのに。

 さて、今回のファームウェアのアップデートの目玉は2つ。

  • [撮影設定]の[エフェクト]に、[かすか]が追加されたこと。
  • [セットアップ]メニューに[周辺光量]が追加されて、[オリジナル]と[ノーマル]から選択できるようになったこと。

 このうち「オリジナル」とは、フィルムカメラ「GR」の周辺光量を再現したものだそうです。初代は、「GR1」。28mm F2.8のGR LENSがどれだけ周辺光量落ちがあったのかは知りませんが、実写を見る限り、それ程強めの減光では無かったのではないかと推察します。

「メニュー」→「セットアップ画面」に「周辺光量」項目が追加され、「ノーマル」(従来)、「オリジナル」(フィルムカメラのGRの周辺光量を再現)が選択可能になった。

 まずは、セットアップメニューから設定して、「オリジナル」と「ノーマル」を比較してみます。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
ノーマル
オリジナル

 たしかに、新しく追加された「オリジナル」は、ほんのり周辺が減光していますね。

 ◇           ◇

 一方、今回加わったエフェクトの「かすか」は、撮影画像の色を“かすか”に残すエフェクト。どこかで聞いた気がするなぁ……と思ったら、ペンタックスのカメラに「ほのか」がありますね。後で比べて見ます。

 さて、「かすか」の設定方法は以下のように2つあります。

1つは、「メニュー」→「撮影設定」→「エフェクト」から「かすか」を選択(左)。ここから、さらにカーソルを右に進めると、詳細設定で、「彩度」、「コントラスト」、「シャープネス」、「周辺光量」の値を設定できる(右)。
もう1つは、カメラ本体側面にある「Effect」ボタンから、直接「かすか」を選択する方法。この場合は、「Fn2」ボタンで、詳細設定が可能になる。

 2つの違いは、「メニュー」から設定する方法だと、「かすか」まで項目をスクロールしたときにそこでスクロールが止まるのに対して、「Effect」ボタンからだと、「かすか」の下にカーソルを移動するとトップに戻るようになっていること。それぞれの設定画面の仕様に従っているだけなのですが、エンドレスでスクロールする「Effect」ボタン経由の方がちょっとだけ便利に思います。

 それでは、「かすか」を今までのエフェクトや画像設定と一緒に比較してみます。

画像設定:スタンダード
画像設定:ビビッド
エフェクト:白黒
エフェクト:白黒(TE)
エフェクト:ハイコントラスト白黒
エフェクト:クロスプロセス
エフェクト:ポジフィルム調
エフェクト:ブリーチバイパス
エフェクト:レトロ
エフェクト:ミニチュアライズ
エフェクト:ハイキー
エフェクト:かすか

 夜景夜景でも「かすか」とその他のエフェクトを比較してみました。

かすか
ビビッド
ブリーチバイパス

 もともとの彩度が低い被写体だと、かなりモノクロームに近い雰囲気の仕上がりになりますね。

 ところで、「かすか」で撮影すると露出をプラス補正したように見えます。では、露出補正値を変えるとどのように見えるのか、デフォルトの設定(彩度:5、コントラスト:5、シャープネス:5、周辺減光OFF)のまま比較してみました。

+4EV
+3EV
+2EV
+1EV
+0.3EV
0EV
-0.3EV
-1EV
-2EV
-3EV
-4EV

 露出を変えても「かすか」な色を残して、モノクロームのような雰囲気の写真を楽しめそうです。

 ◇           ◇

 続いて「かすか」のエフェクトのまま、「オリジナル」と「ノーマル」の周辺減光の違いを2つのシーンで見てみます。

ノーマル+かすか
オリジナル+かすか
ノーマル+かすか
オリジナル+かすか

 測光方式は変えていないのですが、「オリジナル」の方が、やや明るく処理され、多少減光が目立つように見えます。オートホワイトバランスの影響を受けて、色味も若干異なることもあるようです。

 イメージとしては、「ほのか」より「かすか」な感じなのですが、これはデフォルトの状態です。エフェクトの詳細設定から、「彩度」、「コントラスト」、「シャープネス」、「周辺減光」が選べるので、設定のバリエーションによっては、「かすか」でもより彩度を残すことも可能です。

 デフォルトの設定だと、「かすか」過ぎて、やや平坦な画になってしまうので、次に彩度を9、コントラストを7、周辺減光を中にして撮影して、ビビッドと比較してみます。

かすか(彩度:9、コントラスト:7、周辺減光:中)
ビビッド

 参考までに、「PENTAX Q」で撮影したものとも比較してみます。

カスタムイメージ「ほのか」
カスタムイメージ「鮮やか」

 PENTAX Qのカスタムイメージ「銀残し」に対するGRの「ブリーチバイパス」は最初からあったので、よく考えれば「かすか」も予想できそうなエフェクトでしたね。

 ところで、「オリジナル」と「ノーマル」ではそれほど周辺光量の変化がないので、レトロっぽい味付けをするのであれば「かすか」の詳細設定で「周辺減光」を強めにかけるのも効果的です。下の作例は、周辺減光:オリジナル+「かすか」(彩度9、コントラスト9)にして、かすかの詳細設定で周辺減光を変えて撮ったものです。

かすか内の周辺減光:オフ
かすか内の周辺減光:弱
かすか内の周辺減光:中
かすか内の周辺減光:強

 淡い色調+ややハイキー調の「かすか」は、ペンタックスの「ほのか」のように、強い色調の被写体が画面の中にあると、それだけが強調されるような感じはあまり出ず、平均的に彩度が抑えられるようです。「かすか」は、モノクロームに少し味付けをしたい雰囲気の時などに便利そうなエフェクトです。

GR / 1/40秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO400 / プログラム / WB:オート
GR / 1/40秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO1000 / プログラム / WB:オート
GR / 1/40秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO800 / プログラム / WB:オート
GR / 1/500秒 / F3.2 / +0.7EV / ISO320 / プログラム / WB:オート
GR / 1/250秒 / F4 / -0.3EV / ISO320 / プログラム / WB:オート
GR / 1秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO200 / Shutter Priority / WB:オート
GR / 1/8秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート