Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
海辺の風景と向き合うのに欠かせない防水設計
鈴木一雄さんが愛用する「LP-324C」+「FW-01R」
2022年7月22日 07:00
プロが三脚に求めることのひとつに防水性能がある。しかも海辺で作品を撮る写真家の場合、海水の影響を受けにくい設計の三脚は心強いはずだ。
今回は鈴木一雄さんに、海の中で三脚を使用したエピソードなどを中心に、愛用する三脚と雲台について解説してもらった。
「裏磐梯」「尾瀬」「小国」「桜」「季節の大地」「花のある風景」などのテーマに取り組んできたが、その集大成となる大規模写真展『聲をきく』が、富士フイルムの企画展として、富士フイルムフォトサロンで東京(2022年7月8日~28日)・大阪(2022年8月5日~17日)の期間で開催される
※本企画は『デジタルカメラマガジン2022年8月号より転載・加筆したものです。
海辺の風景と向き合うのに欠かせない防水設計
美しい遠浅の海に行けば、ベストポジションを求めて海の中に入ることが多い。
例えばこのページの一番上の作品は、西表島の遠浅の海の中を歩き回っておしゃれな貝殻が沈んでいる光景を見つけ、光の模様と併せて描いたものだ。
「明るい海なのだから手持ちで撮れるのではないか」と思う人がいるかもしれない。だが、この作品は高速シャッターでの撮影ではあるものの、ハーフNDフィルターを使っている。海の表情を明るく描こうとすると、青空が白っぽくなってしまうことが理由だ。
そのために海に三脚を立て、カメラを固定しながらハーフNDの境界線をしっかり水平線に合わせて撮ることが大切になる。
下の作品のように低速シャッターで描くときも、カメラブレを防ぐために三脚は必須となる。
そして、広角レンズで三脚の手前まで鏡のように滑らかな海面にするためには、海の中に三脚を立てざるを得ない。手前の部分に波頭や砂の部分が写り込んでしまったりするからだ。
毎年撮影している厳冬期のジュエリーアイスなども、三脚を海水に浸しながら撮影してきた。脚にビニール袋をかぶせるという工夫をしても破けて海水が入り、やがて錆が進み、私は何本の三脚をダメにしただろうか。
海水に強いチタン部品を使用したレオフォトの防水三脚「ポセイドン」を手に入れたことで、私は腐食の心配や撮影準備のわずらわしさから解放された。
LP-324Cはパイプ直径が32mmと太くて丈夫なのに、重量は1,440gと軽い。同様に、ハンドル雲台のFW-01Rも折りたたみ式でコンパクト、なおかつ730gと軽い。全体でも2kg強で、機材の軽量化に役立っている。
さらに軽量化を図りたい人には、同じポセイドンで1,170gのLP-284Cがある。
雲台も優れモノが用意されていて、私は今回紹介するハンドル雲台のFW-01Rとギア雲台G4の2つを愛用している。
中でも、機材の軽量化を望む方々におすすめしたいのはFW-01Rで、私もこの雲台との組み合わせが基本となる装備だ。
パン棒をコンパクトに折りたたむことができる驚きの構造で、航空機などでの移動にも重宝する。
しかも、握りやすいパン棒の3WAY方式なので、望遠レンズもしっかりと固定できる。
あらゆる撮影地で最高のパフォーマンスを発揮する防水三脚ポセイドンとの組み合わせは、殿堂入りさせたいセットだと言える。
造りの良さが光る防水三脚「LP-324C」
接合部も水が浸入しにくいように加工されていて、三脚内部に水が浸入することによる劣化を抑制している。
石突の金属部分は錆びにくいチタン製を採用している。スパイク石突も付属しており、冬の氷上撮影などにも便利。
小さな花の撮影などの場合は、脚が180°近く開いてローアングル撮影が可能な点も便利だ。