交換レンズレビュー

FE 70-200mm F4 Macro G OSS II

軽量で取り回しの良い望遠ズームレンズ さらにハーフマクロ撮影も

ソニーのフルサイズEマウントに対応する望遠ズームレンズ「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」が発売されました。高いクオリティを誇るGレンズブランドのひとつで、焦点距離は望遠ズームレンズの王道とも言える70-200mm、開放F値はF4です。

機能・外観

従来の「FE 70-200mm F4 G OSS」と比べると約46g軽量化され、全長も約26mm短くなるなど、ややコンパクトになっています。

しかし、最も大きな違いは、最大撮影倍率が0.13倍から0.5倍となり、レンズ名に「Macro」を冠するほど、クローズアップ撮影に強くなったことでしょう。最短撮影距離は望遠側で42cm。ズーム全域で最大撮影倍率が0.5倍(フルサイズ時)と、ハーフマクロと同様の倍率が得られるのは現時点で世界初。望遠ズームレンズながら、望遠マクロレンズのようなクローズアップ撮影がこなせてしまいます。

さらに、別売りのテレコンバーターにも対応。1.4倍の「SEL14TC」、2倍の「SEL20TC」のどちらも装着可能です。「SEL20TC」を装着すれば、開放F値がF8になるものの、400mmまでの超望遠撮影も可能。等倍撮影も可能になります。

レンズをがっちりと支える三脚座が付いています。左側面にはAF/MF切り替えスイッチ、フルタイムDMF スイッチ、フォーカスレンジリミッター、レンズ内光学式手ブレ補正のON/OFF切り替えスイッチが配置されています。

ズームするとレンズが繰り出し、全長が変化します。ピントリングもズームリングも手に馴染み、ほどよい滑らかさでした。

クローズアップ撮影時にMFでのピント合わせも行いましたが、ピントの山が掴みやすく、操作しやすかったです。

作例

近接撮影能力の高さがこのレンズの特徴ですが、「望遠ズームレンズのおまけのようなマクロ機能で、その画質ははたしてどうなのか?」といぶかしむ方もいると思います。

実際に撮影したところ、近距離の被写体で画質が下がるということはなく、問題のないシャープさを見せてくれました。使用したボディの「α7R V」の力もあってか、近接から遠景までとても高い解像力が得られました。

それだけでなく、ボケも滑らかで自然な柔らかさで表現されます。

ちなみに今回、三脚を使用したのは滝の作品のみで、それ以外は全て手持ちでの撮影です。近接撮影時で気になる手ブレも、レンズに内蔵された光学式手ブレ補正のおかげでシャープに撮ることができました。


望遠端の200mmを選択し、最短撮影距離でハスの花びらの先端を撮影。レンズ交換せずにマクロ撮影をこなすことができます。ただし被写界深度が極めて浅くなるので、多めにシャッターを切り、拡大再生してピントを確認するのがおすすめです。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/200mm/絞り優先AE(1/500秒、F4.0、+1.0EV)/ISO 100

ダリアをハイキーな雰囲気に仕上げました。手前の花びらはシャープですが、奥はほんのりとボケます。正面から写しても、わずかな奥行きでふんわりした印象に仕上げられます。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/200mm/絞り優先AE(1/250秒、F4.0、+2.3EV)/ISO 1250

早朝、山を歩くと草の縁に露がびっしりとついていました。角度をつけるとボケすぎてしまうので、葉っぱに対して真上から平面的に写しました。いちばん丈の高い葉に合わせたので、周囲の低い葉がボケて、主役だけが浮かび上がっています。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/200mm/絞り優先AE(1/250秒、F4.0、+1.0EV)/ISO 1250

広角端の70mmで撮影。キスゲが咲く丘を見上げるように写しました。遠景なのでそれなりの画質を想像していましたが、思っていた以上のシャープさで驚きました。空の青も葉の緑も自然な鮮やかさです。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/70mm/絞り優先AE(1秒、F18、-0.3EV)/ISO 100

この写真のみ三脚を使用しています。観瀑台からのみ撮影できるというポジションが制限されるシチュエーションです。こういうときはズームレンズが便利ですね。シャッター速度を遅くして水の流れを表現しつつも、岩場はシャープに捉えることができました。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/70mm/絞り優先AE(1/160秒、F11、+0.3EV)/ISO 100

トンボの頭部にピントを合わせていますが、拡大してみると細部までくっきりと解像されていて、近接撮影時の画質の良さを感じました。さらに逆光気味の光ですが、フレアは目立って現れずクリアです。ボケも滑らかでありながら、ピント面の画質が高いというのがよくわかります。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/200mm/絞り優先AE(1/250秒、F4.0、+1.7EV)/ISO 125

高原は夏の花々で賑わっていました。奥の花にピントを合わせ、手前にあるピンクの花を前ボケにしました。絞りを開放から1段絞ったF5.6を選択しましたが、ボケの輪郭は滑らかですっきりしています。

α7R V/FE 70-200mm F4 Macro G OSS II/200mm/絞り優先AE(1/250秒、F5.6、+1.3EV)/ISO 800

まとめ

個人的に花の撮影では、標準ズームレンズ、望遠ズームレンズまたは望遠マクロレンズを持っていくのですが、このレンズがあれば、近接から遠景まで1本で済んでしまいそうです。

もちろん、花の水滴をアップで撮るとか、より明るい絞り値で等倍レベルの撮影をしたいとなるとマクロレンズは別途必要になってきますが、ある程度クローズアップできれば良いのなら、このレンズでまかなえそうです。今回は試しませんでしたが、テレコンバーターを併用することでさらに撮影範囲が広がるでしょう。

遠景はもちろん、いざとなればクローズアップもできる望遠ズームレンズ。機材の軽量化も図れて、とても便利な1本だと思います。

吉住志穂

1979年東京生まれ。高校入学後から本格的に撮影を始める。2001年日本写真芸術専門学校を卒業後、写真家の竹内敏信氏に師事。自然の「こころ」をテーマに、主に花のクローズアップを撮影している。2016年には和紙にプリントし、掛軸に仕立てた展示「花時間」を開催し、好評を博す。また各地での講演会や写真誌での執筆を行う。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。