「PENPAL PP-1」(以下PENPAL)は、28日に発売する同社のマイクロフォーサーズ機「E-PL2」に対応した画像転送ユニットだ。Bluetoothを使用してカメラから対応するスマートフォンに画像を転送できる。オリンパスでは“コミュニケーションユニット”として訴求していく。価格は8,820円。
PENPAL PP-1。E-P2と同じく28日に発売する |
今回はPENPALをお借りすることができたので、使い勝手などを試してみた。
PENPALの本体は全長3cm弱、重さ13gほど。E-PL2のホットシューに装着して使用する。PENPALはアクセサリーポートの最新規格「AP2」の機種でないと使用できないため、当面E-PL2のみが対応機種となる。
E-PL2に装着したところ |
これまで、無線LAN内蔵デジタルカメラ、Eye-Fi、Transfer JetといったPCまたはサーバーに無線で転送する仕組みはあったが、いずれも直接スマートフォンに転送することはできなかった。PENPALはBluetoothでスマートフォンに取り込んでからWebにアップロードできるため、無線LANの環境がない場所でも使用できる。スマートフォン側で使い慣れているアプリを使用できるのも特徴だ。
不用意に落ちないようロック機構が付いている。外すときは「UNLOCK」ボタンを押しながらずらす | 重さは13gと軽量だ |
PENPALはアクセサリーポートの上位規格「AP2」対応製品。今のところAP2を搭載しているのはE-PL2のみとなっている |
外付けEVF「VF-2」(右)との比較。PENPALが比較的小さいのがわかる |
オリンパスによるスマートフォン側の動作確認済み機種は、au「IS03」、「IS02」、「IS01」、NTTドコモ「SC-02B」(GALAXY S)、「SO-01B」(Xperia)、「BlackBerry Bold 9700」、「BlackBerry Bold」、「SH-03C」(LYNX 3D)、「SH-10B」(LYNX)、「T-01C」(REGZA Phone)、「T-01B」(dynapocket)、「F1100」、「HT1100」、ソフトバンクX06HT II(Desire)、「X06HT」(Desire)、X05HT(TOUCH PRO)、X02T(dynapocket)、X01T、X01SC、ノキア「6700 slide」。
残念ながらプロファイルの関係でアップルの「iPhone」や「iPad」では使用できない。今回はNTTドコモのSC-02B(GALAXY S、サムスンモバイル製)に画像を転送してみた。
今回はOSにAndroidを採用しているSC-02B(GALAXY S)で試した | GALAXY Sには500万画素のカメラが付いているが、画質やレスポンスなどはデジタルカメラに遠く及ばない |
■まずはPENPALとスマートフォンのペアリングを行なう
では、実際に画像を転送してみたい。まずは、E-PL2にスマートフォンを登録するセットアップ(初回のみ)を行なう。
メニューから、アクセサリーポートの項目を表示させ、[OLYMPUS PENPAL通信]→[アドレス帳]→[新規登録]を実行する。このときGALAXY S側ではBluetoothをONにし、「デバイスの公開」を実行する。
メニュー画面でアクセサリーポートの項を開いたところ。PENPAL関連の項目が出る | [OLYMPUS PENPAL通信]→[アドレス帳]を選ぶ |
GALAXY Sの[Bluetooth設定]では、[デバイスの公開]をチェックしておく | E-PL2に戻り[新規登録]を選択する |
するとしばらく検索したのち、E-PL2の[送信先選択]画面にGALAXY Sを表す「SC-02B」が出てくるので、これを選びOKボタンを押す。GALAXY Sのほうにも、ペアリングの承認確認ダイアログが出るので[承認]を選ぶ。するとE-PL2に登録したとの画面が出て登録が完了となる。
E-PL2にGALAXY S(SC-02B)を含む周辺のBluetooth機器が表示される |
ここでSC-02Bを選択するとGALAXY Sとのペアリングが完了する | アドレス帳にGALAXY Sが登録された |
GALAXY S側でもPENPALとペアリングしたことが表示される |
■転送の実際
PENPALを使用した画像転送は大まかには、「撮影」→「再生モードから画像を送信」となる。では、順を追ってやってみよう。
撮影が終わったら、再生ボタンを押して再生モードに入る。この状態でスマートフォンに送りたい画像を表示させてOKボタンを押し、そのときに表示される項目から[画像を送る]を選択する。すると[送信先選択]で先に登録しておいたスマートフォンが出てくるので、それを選ぶと転送が始まる。筆者が試したところ転送終了までは10秒ほどだった。
カメラの再生モードで転送したい画像を表示させ、OKボタンを押して送信のメニューを出す | 先ほど登録したGALAXY Sが出るのでそのままOKを押す |
すると転送が始まる |
GALAXY Sでは、「ギャラリー」というアプリで画像を見ることができる。自動的に「bluetooth」というフォルダができており、その中にPENPALから送られた画像が入っているという具合だ。
GALAXY Sでは最初から入っている「ギャラリー」というアプリで写真を閲覧できる。ちなみに隣のアイコンは、Impress Watchの記事が読める公式アプリだ。iPhone版もあるので活用してみよう | bluetoothフォルダを開いたところ。E-PL2のアートフィルターで撮影した画像が転送されていた |
なお、送信時の画像サイズは640×480ピクセル(サイズ1)と1,920×1,440ピクセル(サイズ2)、1,280×960(サイズ3)から選ぶことができる([OLYMPUS PENPAL通信]→[送信画像サイズ])。転送後の用途に応じて使い分けたい。
【2011年1月26日】送信時の画像サイズで、「1,280×960(サイズ3)」も選択できることを追記しました。
■撮影後すぐにアップロードできるのが魅力
撮影後すぐにスマートフォンに転送できるので、撮影しながら画像共有サイトやTwitterなどに投稿することができるわけだ。転送のために一旦家に帰ったり、ノートパソコンを持ち歩く必要がない。ここでは、GoogleのPicasaウェブアルバムにアップロードできるアプリ「Picasa Tool Pro」を使用してみた。
フリーのアプリ「Picasa Tool Pro」(ColifeR Lab)で簡単にアップロードできる | パソコンから見たところ。きちんとアップロードされていた。もちろんPicasa Toolからも閲覧できる |
こちらはフリーの画像編集アプリ「PHOTOSHOP EXPRESS」(Adobe)。こうした画像アプリを使えば、撮影してすぐにレタッチできる |
■PENPAL自体にも画像を記録可能
さて、PENPALはそれ自体に画像を記録する機能「PENPALアルバム」も持っている。自分のPENPALに画像を保存しておいて友人のE-PL2に装着して自分の写真を見せる、といった使い方ができる。
メニューの[アクセサリーポートアイコン]→[OLYMPUS PENPALアルバム]→[全コマコピー]を実行すると、これまでSDメモリーカードにあった画像が縮小されてPENPAL内のメモリーにコピーされる。PENPALにコピーする際の大きさは、オリジナルサイズ(サイズ1)と1,920×1,440ピクセル(サイズ2)が選択できる。
ちなみに、[OLYMPUS PENPALアルバム]→[アルバム保存状況]を参照すると、PENPAL内の画像枚数および残りの保存可能枚数を知ることができる。1,920×1,440ピクセルで保存した場合、2,600枚以上をPENPALに保存可能だ。
[全コマコピー]ではSDメモリーカードからPENPAL本体に画像を転送できる。またその逆も可能 | PENPALの記録枚数も確認できる。実際には四角の中にグラフも出る |
E-PL2では、再生モードで再生ボタンを押すごとにPENPALアルバムとSDメモリーカードの画像を切替えて表示できる。なおSDメモリーカードの元画像が無くとも、PENPALアルバムにコピーしておけばそこからもスマートフォンへの転送は可能となっている。
また今回は試していないが、PENPAL同士で画像のやり取りをすることもできる。PENPALを持っている知り合いと気に入った画像を交換し合うのも楽しそうだ。
SDメモリーカードを再生したところ(左)。右はPENPAL内の画像を再生したところ。それぞれ[SD」と[PENPAL]のアイコンが出る |
■まとめ
これまでスマートフォンでは、内蔵カメラで撮影した画像をオンラインアルバム、SNS、Twitterなどに送るという使い方が一般的だったと思う。PENPALを使用すれば、内蔵カメラよりも画質の良いな写真をすぐにアップロードできるのが強みだ。E-PL2はレンズ交換式なので、内蔵カメラよりも画角の自由度が高いのもメリット。何より、撮影時のレスポンスには圧倒的な差がある。
フル画素のファイルはSDメモリーカードに記録されるわけだが、今撮ったばかりの会心の一枚を即座に共有できるのはこれまでにない体験だろう。PENPALからの送信は1枚ずつしかできないため、Webアルバムに大量の画像をアップロードする場合はパソコンのほうが便利だが、リアルタイムに近いスピードでのアップロードでは活躍するだろう。スマートフォンとの連携で写真をさらに楽しみたい人は検討してみては如何だろうか。
2011/1/26 00:00