サムヤン、「14mm F2.8 ED AS IF UMC」

~コストパフォーマンスの高い超広角レンズ

 サムヤン(Samyang Optics)の超広角レンズ「14mm F2.8 ED AS IF UMC」がこの秋発売になったので採りあげたい。国内では先にレビューをお届けした「85mm F1.4 Aspherical IF」「8mm F3.5 Fisheye CS」に続き、3本目のサムヤンブランド製品だ。実勢価格は3万9,800円前後。新東京物産が正規輸入を行なっている。

14mm F2.8 ED AS IF UMC

 35mmフルサイズのイメージサークルをカバーするMFの超広角レンズで、開放F2.8と比較的明るい。14mmは対角魚眼レンズに多い焦点距離だが、本レンズは魚眼レンズではない。国内ではキヤノン用、ソニー用、ニコン用、ペンタックス用、フォーサーズ用をラインナップしている。

 ざっとスペックを挙げると、レンズ構成は非球面レンズ2枚を含む10群14枚。最短撮影距離は28cm。最小絞りはF22。フードは組込みで、フィルターは使用できない。サイズと重量は87×93.6mm、530g(いずれもニコン用)。これまでのサムヤンレンズと同様に、CPUは非搭載。絞りは絞りリングで設定する。レンズキャップは被せ式。

 外観も従来のサムヤン製品と共通の仕上げ。ピントリングはグリスの粘りも良く、また幅も広いので操作しやすい。ピントリングの回転角は、240度ほどあるので微妙なピント調整も可能だ。絞りリングはF2.8~16までは1/2段ステップのクリックストップが付いている。

 近いスペックのレンズ(35mmフルサイズ用)としては、キヤノン「EF 14mm F2.8 L II USM」(32万2,350円)、ニコン「Ai AF Nikkor 14mm F2.8 D ED」(24万7,800円)、同「AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8 G ED」(28万5,600円)があるが、いずれも高価。その点、14mm F2.8 ED AS IF UMCは4万円を切る価格とあって、サイフに優しいと言えそうだ。

 今回はニコン用をお借りしたので、35mmフルサイズセンサー(FXフォーマット)搭載の「D700」で試用した。

D700に装着したところ
絞りはレンズのリングで設定する最小絞りにしたところ。綺麗な六角形になっている

 D700の場合「レンズ情報手動設定」を行なうことでEXIF情報に絞り値が記録されるほか、RGBマルチパターン測光が利用可能になる。ただし、レンズ情報手動設定に14mmはないため13mmに設定している。

今回のレンズ情報手動設定

 画質に関しては実写作例をご覧いただきたいが、絞り開放の最短撮影距離で撮影した郵便ポストを見ると開放絞りでもさほど甘いという印象は無かった。また、東京スカイツリーのサンプルではクレーンのワイヤーなども良く描写できているように思う。

 周辺光量低下も絞り開放ではそれなりにあるが、F5.6で大きく改善する。F11ではほぼ目立たなくなる。

まとめ

 使用する上で注意しなければならないのはピント合わせだろう。D700であっても、ファインダーでピントの山を掴むのは難しい。また、D700ではフォーカスエイドが機能するがピントが合ったと表示される範囲は広く、ピント位置の決定には気を使う。手間はかかるが、ライブビューの拡大表示でピントを合わせれば確実になる。

 CPU非搭載、AF非対応、ボディで絞り値を変更できないなどのウィークポイントはあるが、割安感は大きい。F2.8なので超広角ながら、背景をある程度ボカした絵も撮れる。超広角レンズの購入を考えている向きは一考してみては如何だろうか。

レンズキャップはプラスチックの被せ式

実写サンプル

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

D700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mmD700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/1,000秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm
D700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mmD700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/4,000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mm
D700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/800秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 14mmD700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/400秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mm
D700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/200秒 / F5.6 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mmD700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mm
D700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mm

絞り別の周辺光量

※共通設定:D700 / 14mm F2.8 ED AS IF UMC / 4,256×2,832 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 14mm

F2.8F4F5.6
F8F11



(本誌:武石修)

2010/12/2 00:00