ブラックラピッド「R-ストラップ」

~“逆さ吊り”で安定感と速写性を両立~

R-ストラップ(RS-5)

 米ブラックラピッド社のカメラストラップ「R-ストラップ」は、カメラの取り付けに三脚穴を用いる斜め掛けストラップ。その“逆さ吊り”スタイルによる「世界一すばやいカメラストラップ」を謳っているのが特徴だ。

 製品は全部で3タイプ。価格はいずれもオープンプライスだが、正規輸入代理店のオリエンタルホビーでは、ダブルポケットを備える「RS-5」が7,560円、カーブパッドを採用する「RS-7」が7,350円、ベーシックタイプの「RS-4」を6,615円で販売している。

 R-ストラップは通常のカメラストラップと異なり、三脚穴を利用してカメラをカラビナで吊り下げる。あとはストラップの長さやストッパーの調節でカメラを任意のポジションに落ち着ければ装着完了。当然ではあるが、R-ストラップの使用中は三脚への取り付けができなくなる。


ロック式のカラビナに取り付けるカメラを好きな位置に落ち着かせることができる。黒いプラスチックの部品がストッパー

 取り付け具の輪がストラップに沿って自在に動くことにより、撮影体制に移る際にストラップと衣服の摩擦抵抗を受けない。これが“世界一すばやい”という速写性の秘密である。次の動画で実際にR-ストラップ(RS-5)を使用している様子をご覧いただきたい。

 

 腰の辺りに上下逆さに落ち着いたカメラは、右手を伸ばすと自然にグリップを握ることができる。望遠レンズを利用する場合は、三脚座に取り付け具を装着するとバランスがよい。しかしオリエンタルホビーのホームページに装着可能な最大重量の記載はなく、重い機材を扱う際は自己責任で使用されたい。

収納力重視のタイプも

 3タイプを比較すべく、同条件でモデルに着用してもらった。ショルダーパッド部の厚さなどにより、見た目の印象が多少異なる。

RS-5RS-7RS-4

 それぞれの具体的な違いは、ポケットの配置やショルダーパッドの形状。上位のRS-5は、ショルダーパッドにマグネット式のフラップが覆いかぶさる2層式。ショルダーパッドとフラップ裏のそれぞれにジッパー式ポケットを持ち、フラップの表側にはマチ付きの携帯電話ホルダーも備える。ただしマグネットの固定力が強く、磁気カードを入れるのはためらわれる。

RS-5のパッド側のポケットRS-5のフラップ裏のメッシュポケット
RS-5の携帯電話ホルダー

 カーブした形状のショルダーパッドを特徴とするRS-7は、パッド部の収納ポケットを持たない。ストラップの中間にバックルを備え、長さ調節で余ったストラップは先端のパーツを利用してメインのストラップに束ねることができる。また、このモデルのみRS-5およびRS-4とは異なる素材を採用している。

 ベーシックモデルのRS-4は、ショルダーパッドにCFが横に2枚、縦に3枚入るほどのポケットを装備する。ストラップ周りはRS-5と同様で、長さを調節して余った部分はショルダーパッドの内部にまとめる仕組み。

 求める収納力や着用感によって選択は変わってくるだろう。だが「世界一すばやいカメラストラップ」という基本性能はすべて共通である。

RS-7のみ装備するストラップ中間のバックルRS-4のポケット
3モデルを並べたところ。左からRS-5、RS-7、RS-4

“逆さ吊り”のメリット

 カメラを構える際、特に縦位置撮影ではストラップに邪魔をされ、とっさにファインダーを覗けないことがある。R-ストラップでは、体とストラップの位置関係はそのままにカメラ装着部のみがスライドするため、そうした不都合が起こらない。

 移動時も、首に掛けたカメラが腹部で跳ねたり、肩に掛けたストラップがずり落ちる心配をする必要がない。安心して両手をフリーにすることができる。重力で腰のあたりにカメラが落ち着くため、自転車などに乗る際も邪魔にならないだろう。

 また、片手がふさがっていてもカメラを扱えるメリットの実例として、一脚との併用を試してみた。こうすると、望遠レンズで遠くを撮りながら、片手で一脚を保持しつつ、広角レンズか標準レンズで広い画も撮ることができる。ストラップの取り回しを気にする必要がないため、撮影に集中できるのも利点に感じた。

左手で一脚を保持しながら、右手でもう1台のカメラを容易に扱える

 個人的には、クリップオンストロボを装着してもカメラが回転しないことにも好印象を持った。ストロボを装着したカメラを肩に掛けると、ストロボの重さでレンズが下を向いてしまう。そしていざカメラを構えるとズームレンズが自重で伸びていて……といった不都合がよくあるが、仕方のないことだと諦めていた。

 そうした不都合が解消されることでカメラの取り回しがよくなり、ポケットを備えたモデルならちょっとした小物も一緒にまとめることができる。衣服のポケットが少なくなる春から夏に掛けて、さらに威力を発揮しそうな一品だ。



(本誌:鈴木誠)

2010/1/5 00:00