フォトアプリガイド

カメラZOOM FX(Android)

ド定番カメラアプリを再検証する

今回紹介するのは、“Googleのおすすめ”アプリにも選ばれ、今や定番中の定番カメラアプリともなった「カメラZOOM FX」だ。

カメラアプリというジャンルは、人気のジャンルということもあり、配信されている数は膨大。だからこそ、多くの人が名前だけでも知っているというのは案外凄いことなのだ。

とはいえ、“Googleのおすすめ”に明確な基準はない。なにをもってしてGoogle Playチームが選んだのか。その辺をちょこっと紐解いてみよう。

価格は300円。試用したのはバージョン5.0.0。

「カメラZOOM FX」はいわゆる置き換え型のカメラアプリだ。フィルター・エフェクト系のカメラアプリとは異なり、本アプリで撮影から加工まで一通りサポートしているのが特徴。

アプリを起動すると、画面下部に機能アイコンが並び、上部にはフラッシュやフロントカメラ切り替えなどが並ぶ。

まずチェックしたいのが、本アプリの基本設定。撮影画面下部最左にある「設定」アイコンをタップすると、設定メニューが表示できる。

メニューの一番上にある「レベルを調整する」では露出が調整できるほか、フォーカスモードやシーン、ホワイトバランスなどが指定できる。

「設定」の右隣にあるのは「撮影モード」アイコン。「バーストモード」(連写)や「ステイブルショット」(手ブレ防止)、「ボイスアクティベーション」(音声シャッター)といった撮影モードを選択できる。

本アプリの“キモ”となるのが「fx」。つまりフィルター効果・エフェクト機能部分だ。

「フレーム」や「コンポジット」、「クロップ」といったカテゴリに分けられており、タップしてさらに細かな機能にアクセスできるようになっている。

例えば「フレーム」なら、「シンプル」や「ビネット」といった内容が表示され、それぞれ収録した機能を呼び出せる。

「フレーム」-「シンプル」では、その名の通り“シンプルなフレーム”を付加できる機能だ。細枠、太枠といったフレームの太さや白、黒といったオーソドックスな色が選択できる。

写真では「太枠 白」を選択しているが、撮影画面に反映されているのがわかると思う。

後述する各種フィルター・エフェクトにもいえることだが、「fx」で選んだコンテンツは撮影画面にリアルタイムで反映され、写真の完成イメージが付けやすいという特徴がある。

フレームを予め設定しておけば、“フレームありき”の構図で写真が撮れるというわけだ。

もちろん「ビネット」などのエフェクト機能も撮影画面に反映される。「フレーム」と「ビネット」を組み合わせた場合でも、2つの要素を反映させた状態で撮影が行える。

「コンポジット」には、「テクスチャー」「漏れ」「ぼけ味」という3つのカテゴリが収録されている。

それぞれ個別に指定できるのはもちろんのこと、「ランダム コンポジット」をタップすれば、収録した3つの要素をランダムに組み合わせ、撮影画面に反映できる。

「テクスチャー」は、「傷」「テクスチャ-1」「テクスチャ-2」の3種類がプリセットされている。こうしてみると、収録数は少ない。

「漏れ」というプリセットも。「テクスチャー」と比べれば数は多いが、それでも5種類しかない。

「ぼけ味」の収録数は、「漏れ」と同様に5種類。こうしてみると、昨今登場したカメラアプリと比べて、どうもパンチが弱いというか、“収録数”という意味では少々物足りなさを感じる。

しかし、それは初期状態の話。追加要素として、「フレーム」や「コンポジット」といった内容が用意されており、Google Playストアを介してアプリに追加できるようになっている。

最近のスマホは十分な保存容量があり、多少アプリが重くなっても問題ない。正直にいえば、はじめからプリセット機能を充実してもらえればと思う。

ちなみに、追加した要素は、各カテゴリの「その他」に収録されている。

「クロップ」は縦横比の指定機能。1:1の「スクエア」や「10×8」「7×5」「16×9」「8×3」といった比率を選択できる。

ここで指定した比率は、そのまま撮影画面に反映されるので、より完成写真をイメージしやすくなる。

ちなみに、フィルターやエフェクトを撮影前に付加しなくても、撮影後の後加工で対応可能だ。撮影直後のプレビュー画面で画面右下の「編集」アイコンをタップすると、編集画面へと切り替わる。

編集画面も基本的なインタフェースは「fx」と同じ。ただし、選択できる項目が大幅に増えているので、じっくり編集が行えるだろう。

撮影時に選べなかった機能としては、「色」や「効果」などがある。特に「色」では、「Lomo」や「ヴィンテージ」、「シネマ」、「カラースプラッシュ」といった実用的なフィルターが選択できる。

ちなみに「カラースプラッシュ」とは、いわゆるパートカラー。特定の色だけを残すことで、効果的にアピールできるという特徴がある。

「効果」では、上下左右の要素をコピーして反映させる「ミラー」、フィッシュアイや曇りガラス、モザイクといった加工が行える「ディストート」、シフトレンズで撮った様な効果を付加できる「ティルトシフト」という、どれも加工色の強い機能を収録している。

「明度」「コントラスト」「彩度」といった一般的な編集は、「レベル」から調整できる。それぞれスライドバーを利用して調整できるため、操作は簡単。

本アプリは、「フレーム」「コンポジット」「クロップ」といった要素を撮影前に指定でき、それぞれ反映させた状態で撮影できることから、作品性の高い写真を撮るのに向いている。

また、後加工にも対応しており、撮影後に細かく調整するといった使い方も可能だ。追加要素も用意され、拡張性・進化に含みを持たせている点もよい。

カメラアプリとしての使い勝手はクセがなく、トータルとして可もなく不可もなくといったところだが、その分、ユーザーを選ばない手軽さがある。その辺が“Googleのおすすめ”になったのだろうか。

ともあれ、はじめてのカメラアプリとしては十分であり、たくさんあるカメラアプリの中から何を選んでよいかわからないといった人なら、まず本アプリを使ってみるのもよいだろう。

飯塚直