写真展レポート

秘蔵の未公開作品が見られる「もう一度、植田正治」展が開催中

東北・北陸で撮影したカラー作品も

会場の様子

新宿 北村写真機店は、写真展「もう一度、植田正治―発掘されたカラー作品とオリジナルプリントから、植田正治を再発見する―」を地下1F「ベースメントギャラリー」にて7月1日(水)から開催している。本展は、同店のオープン6周年を記念するイベント「Connect」の一環として企画されたもの。

本展では、複数点の世界初公開となる未公開作品が展示されている。植田氏の関係者の自宅に残されていることがわかり、今回の展示につながったという。

会場には「砂丘シリーズ」や「パパとママとコドモたち」といった代表的なモノクロ作品と、松尾芭蕉の「おくの細道」をテーマに東北・北陸で撮影したカラー作品が展示される。会場には全30点が並び、半分には長年親しまれてきたモノクロの代表作、もう半分にはカラー作品が並ぶ構成となっている。

松尾芭蕉の「おくの細道」をテーマに東北・北陸で撮影した作品たち

こうした構成も「Connect」というテーマを踏まえたもので、長年のファンにも新しい視点や作品との出会いを楽しんでもらい、新たな繋がりを生み出したいという意図があるという。過去の代表作と、今回初めて披露される作品を同じ会場で見せることで、来場者と作品との結びつきを生む展示を狙ったとしている。

会場では植田氏が使用していたというHasselbladや作品制作時の絵コンテなども紹介されている。

植田氏が使用していた「Hasselblad 503CX」
作品制作時の絵コンテ

今回の展示は、2026年5月にカメラのキタムラ大阪・なんばCITY店で開催された「植田正治が見た情景」を発展させたもの。植田正治氏の出身地が西日本の鳥取県であることから、まず関西の店舗からスタートし新宿へと巡回したという。なんばCITY店ではイベント史上最大の動員を記録したとのことで、新宿の展示ではなんばCITY店で好評だったオリジナルプリントの作品数を増やしている。

なお、なんばCITY店と新宿店では一部の初公開作品が異なっており、新宿店で初めて披露される作品がある一方、なんばCITY店のみで展示された未公開作品もあるという。

会場

新宿 北村写真機店 地下1階 ベースメントギャラリー
東京都新宿区新宿3-26-14

開催期間

2026年7月1日(水)~7月31日(金)

開催時間

10時00分~19時00分

作者プロフィール

植田正治
1913年、現在の鳥取県境港市に生まれる。幼少の頃から”写真道楽”と呼ばれる程ほど写真にのめり込む。鳥取県立米子中学校卒業後、米子写友会に入会。その後上京し、オリエンタル写真学校へ入学し、卒業後は故郷へ戻り、営業写真館を開業。戦前から演出写真で注目を集め、戦後は砂浜や砂丘に人物を配置した独自の作品で高い評価を得る。1954年に二科賞を受賞し、1958年にはエドワード・スタイケンの企画によりニューヨーク近代美術館の展覧会に出品され、国際的にも知られるようになった。その後も写真集「童暦」や「小さい伝記」などで活躍し、「植田調」と呼ばれる独自の作風を確立。一環して故郷から離れずに鳥取にて活動を続ける。晩年まで国内外で高く評価され、2000年に死去した。

本誌:佐藤拓