写真展レポート

「映像も写真も、レンズに対する自分の見方は一緒」。川口紗弥加×福島裕二写真展 -DISCLOSURE01-

AtelierY -恵比寿-にて10月10日まで

俳優の川口紗弥加さんと、写真家の福島裕二さんの写真展「川口紗弥加×福島裕二写真展-DISCLOSURE01-」が9月30日に始まった。会場はAtelierY -恵比寿-。会期は10月10日まで。ここでは、自身初めての写真展となった川口さんにお話を聞いた。

映画やCMなどで活躍する川口さんは、弊誌デジカメ Watchでも何度かモデルとして登場していただいている。そんな川口さんが、SNSをきっかけに福島さんと知り合ったことからセッションが始まったという。会場では2017年から3回にわたって撮影された、4年分の写真から35枚が展示されている。

「自分をさらけ出してレンズに向き合った」――川口紗弥加

――簡単に自己紹介をお願いします。

映像を中心に俳優活動をしています。最初に舞台に立ったのが2012年でした。映画をやっていきたいと思っていて、小さい作品にも関わっているのですが、なかなか映画祭に引っかからなくて、出演していても表に出ていない作品も多いんです。それ以外は広告写真やCMのモデルもしています。

――今回の写真展のきっかけは?

一緒に仕事をしている大村さん(福島裕二さんと同じ事務所に所属している写真家の大村祐里子さん)の師匠ということで福島さんの話はよく聞いていました。すごい人だと(笑)。どんな人なのか気になってSNSでフォローしていたのですが、福島さんが4年前にモデルを募集した時があったんです。

その時に「やってみたい」と思って応募して撮影してもらうことになりました。それが最初の撮影で、作品を見たら自分でもびっくりするぐらい女性らしく写っていて、印象に残っていたんです。その時の写真も今回展示してあります。

――写真を撮られることについての思いは?

写真はセリフがありませんが、写真家が相手役という感じですね。写真家に委ねる部分もありますが、基本的には映像の時の役者と同じだと考えています。映像も写真もレンズに向き合いますから、レンズに対する自分の見方は一緒だと思っています。

私が普段心がけているのは、カメラの前では嘘をつかないようにすること。なるべく自分をさらけ出した状態になるようにしています。

――初めての写真展が実現した思いは?

これまで福島さんに撮影していただいた作品はどこにも出していなかったのですが、せっかく見せるならWebなどではなくて展示としてしっかり見て欲しいと考えていました。それで福島さんと話をしてギャラリーを押さえて写真展を開催することにしました。

ある人の言葉に「演技はセルフディスクロージャーだ」というのがあって、つまり自己暴露の芸術だと。私はその言葉を大切にしていて、そこから写真展のタイトルを「-DISCLOSURE 01-」にしました。

福島さんの写真は「私を私」として撮ってくれているので、この言葉が合っていると思いました。30年生きてきて「これが自分自身だ」と言える展示ができるのは凄いしありがたいことだと思って、自分の歩みとして感動しています。

展示作品より

――一番見て欲しいところは?

福島さんはプロの写真家で、表情の引き出し方は心得ていると思いますが、それだけではこれらの写真は撮れなかったと思います。そこに私がいて、そういう気持ちにならなかったら撮れなかったんじゃないかと。ですから、お互いしっかり見つめ合った結果としての写真ということです。

3回の撮影を通して培われたお互いの信頼感の中で、さらけ出された自分自身の魅力と福島さんの撮った作品という点をぜひ見てもらえればと思います。

展示作品より

――お気に入りの1枚は?

2019年が2回目の撮影でした。実はある撮影監督に依頼して、長かった髪を切るという映像作品を撮ろうと思っていたところでした。それで、どうせなら髪を切る前の姿も福島さんに撮ってもらいたいと思って声をかけたんです。

夜の撮影だったのですが、いろいろと感極まって途中で涙が出てしまいました。モデルさんみんなに対して同じだと思いますが、レンズを通して福島さんに愛されているなというのが伝わってきたからだと思います。この写真がすごく好きなんです。自分1人ではこういう風にはならないですからね。

お気に入りの1枚(左下)と

――撮影はどんな感じでしたか?

全部委ねようという気持ちよりも、「福島さんに負けちゃいけない」という気持ちが最初は強かったですね。いつも相手と対等でいないといけないという思いが強いので、緊張もしていました。

私自身、被写体活動をしているプロのモデルではないので自信が無くて、結果的に防御する気持ちがあったのだと思います。その思いから色々な撮影のプランを考えて提案したのですが、福島さんは「そういうのはいいから」という感じでかわされたりもしましたね(笑)。

――最後に読者にひと言お願いします。

展示した以上は特に私から言うことはないと思っています。音声ガイドも用意してありますが、それよりもとにかく写真を見てもらえさえすれば良いと思います。見て楽しいかは分からないですが、何かを味わってもらえたらと思います。

図録やグッズの物販コーナーも

写真展概要

会場

AtelierY -恵比寿-
東京都渋谷区東3-25-6 楠ビル2階

開催期間

9月30日(木)~10月10日(日)

開催時間

平日:15時00分~21時00分
土日祝:13時00分~20時00分

休館日

10月4日(月)、10月7日(木)

入場料

無料

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。