写真展

立木義浩写真展「北へ」

(JCIIフォトサロン)

©立木 義浩

立木義浩氏は、1958年に東京写真短期大学(現・東京工芸大学)技術科を卒業してから現在まで、広告、出版、雑誌、映像などで幅広く活躍し、とくに都会的で明瞭な女性写真で知られてきました。

本展では、1986年に立木氏がテレビ番組の企画で東北と北陸を巡った際、番組撮影の合間や移動中に撮影した風景やスナップなどを中心に未発表作品を展示いたします。

雪深く、閉ざされたかに見える風土の東北と北陸の地は、人と人との繋がりが深く、そこに踏み込んで写真を撮ることは、はにかみや含羞に出会うことでした。しかし、閉鎖的にならざるを得ない環境だからこそ、時代が変わり、文明が発達しても“変わらないもの”があると感じ、氏はシャッターを切りました。氏は「仕事の合間に自由に写真を撮るのは難しかったが、それでも写真家として撮らずにはいられなかった。」と語っています。

雪の中を走る馬、結露した列車の窓からこちらを見る女性、冬の海に向かい仕事をする漁師たちなど、厳しさと闘いながらも自然と共に生きる人々の暮らしや温かさに感応した、立木氏の美意識が浮かび上がります。

現在も写真界の第一線で活躍する立木義浩氏がとらえた、雪国ならではの寂しさ、厳しさや、人恋しさ、そしてその奥深くに見える古き良き文化など、まぎれもない日本を目にすることができるでしょう。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:JCIIフォトサロン
  • ・住所:東京都千代田区一番町25番地JCIIビル
  • ・会期:2015年4月28火曜日〜2015年5月31日日曜日
  • ・時間:10時〜17時
  • ・休館:月曜日
  • ・入場:無料

関連イベント

  • 講演会:2015年5月24日日曜日13時~15時(開場12時30分)

作者プロフィール

1937年、徳島県・徳島市の写真館に生まれる。1958年、東京写真短期大学(現・東京工芸大学)技術科卒業。その後、広告制作会社アドセンター設立時にカメラマンとして参加。1969年、フリーランスとなり、女性写真の分野で多くの作品を発表する一方、広告・雑誌・出版など幅広い分野で活動し、現在に至る。

〈主な個展〉
1998年 「立木義浩の世界」 JCIIフォトサロン、1999年 「東寺」 日本橋三越、2003年 「桂林」 キヤノンギャラリーS、2008年 「時代のおとこ」 コニカミノルタプラザ、2010年 「風の写心気」 JCIIフォトサロン、2012年 「小女」 Paul Smith SPACE GALLERY、2013年 「PIECE OF CAKE」 キヤノンギャラリーS、「WINK AND BLINK」 キヤノンギャラリー銀座、2014年 「迷路」 B GALLERY

〈主な写真集〉
1971年 『GIRL』(中央公論社)、1971年 『私生活・加賀まり子』(毎日新聞社)、1980年 『MY AMERICA』(集英社)、1990年 『家族の肖像』(文藝春秋)、1998年 『東寺』(集英社)、2000年 『世界ウィスキー紀行』(同文書院)、2001年 『KOBE・ひと』(「KOBE・ひと」実行委員会)、2002年 『およう』(ミリオン出版)、2004年 『里山の肖像』(自費出版)、2007年 『ありふれた景色』(ピエ・ブックス)、2010年 『REBORN』(講談社)、2012年 『小女』『Tokyoto』(少年写真クラブ)

〈主な受賞〉
1965年 第9回日本写真批評家協会新人賞、1987年 第18回講談社出版文化賞、1997年 日本写真協会賞年度賞、1998年 徳島文化賞、2010年 日本写真協会賞作家賞、2014年 第27回文化庁長官表彰

(本誌:河野知佳)