写真展告知

大和田良写真展:Differential Notes(Case1_Nature)

(エプサイトギャラリー)7月22日~8月31日

写真には、フレーミングされた目の前の光景が余すことなく記録されますが、私の眼はそのディテールのほとんどを明確に認識してはいません。つまり、眼で見た光景とレンズを通して定着された像には、差異があると言えるでしょう。

それでは、忠実に描くという点において、写真表現とはどのようなものであると考えれば良いのでしょうか。

このことは、19世紀後半に起こったヘンリー・ピーチ・ロビンソンとピーター・ヘンリー・エマーソンによる論争をひとつの起点として、時代によって再解釈を重ねながら、時には鏡と窓だとか、主観主義とリアリズムであるとかに言葉を変えつつ、現代に至るまで常に探求されてきました。

本シリーズでは、光学的、機械的な忠実さと、自らの反応と記憶への忠実さには、どのような差が現れるのかを、さまざまなモチーフを通して眺め、自分なりに映像化してみようと試みました。私にとって、写真について考えるためのフィールドワークのような作品でもあります。

今回の展示では、多くの被写体の中から、まずは自然物を撮影したものをまとめています。大型プリントを中心とした視覚的な体験を通して、写真について共に考えるきっかけになれば幸いです。

大和田 良

作家コメント

この度、エプサイトギャラリーは、雑誌『写真』(発行:ふげん社)とのコラボレーションにより、写真家・大和田良氏の特別企画展『Differential Notes(Case1_Nature)』を開催します。

大和田良氏は、2005年にスイスのエリゼ美術館主催「reGeneration」展で、21世紀初頭を牽引する50人の写真家に選ばれるなど、国内外で高い評価を得て活躍する写真家です。
大和田氏の最新作『Differential Notes(Case1_Nature)』は、眼で見た光景とレンズを通して定着された像の差異を映像化して見ることで、写真表現とはどのようなものかを考えるひとつのきっかけとして取り組まれている作品です。さまざまなモチーフを対象とする本作の中から、今回は自然物を対象とした作品を厳選し、エプサイトギャラリーに展示します。

雑誌『写真』は本年1月に創刊、注目される新しい写真雑誌です。写真文化を紙に残していくことにこだわりを持つ雑誌『写真』と、数多くの写真家と一緒に「写真をカタチにすること」を大切にし、写真展を創り上げてきたエプサイトがともに取り組み、大和田氏の作品世界とその魅力を「誌面記事」、「本展のWEBスペシャルページ(7月中旬公開予定)」、「写真展」で展観します。

ギャラリーでの視覚的な体験を通して、大和田氏の作品世界の本質に迫り、「写真とは何か?」という問いを皆さまと共に考える新たな機会になれば幸いです。本展にどうぞご期待ください。

写真展情報

会場

エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1階

開催期間

2022年7月22日(金)~8月31日(水)

開催時間

11時00分~18時00分
※8月4日はオンライントークイベントのため15時00分でギャラリーは閉館

休廊

日曜日、8月11日~8月16日

オンライントークイベント

日時:8月4日(木)19時00分~
登壇者:大和田良×村上仁一(雑誌『写真』編集人)
※参加費は無料
※事前申込制(アーカイブ配信あり)

作者プロフィール

1978年仙台市生まれ、東京在住。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、同大学院メディアアート専攻修了。2005年、スイスエリゼ美術館による「reGeneration. 50 Photographers of Tomorrow」に選出され、以降国内外で作品を多数発表。主な作品に、盆栽をモチーフとした『FORM』、ワインの色を捉えた『Wine Collection』等。最近の著書に『R』(2020年/kesa publishing)、『五百羅漢』(2020年/天恩山五百羅漢寺)、『宣言下日誌』(2021年/kesa publishing)、『写真制作者のための写真技術の基礎と実践』(2022年/インプレス)。2011年日本写真協会賞新人賞受賞。東京工芸大学芸術学部非常勤講師。日本写真芸術専門学校講師。