写真展告知
大和田良写真展:UNDERWATER
2023年7月15日 15:00

古来より、日本ではさまざまな芸術や意匠において、鯉を立身出世や富、繁栄、愛情などを象徴する縁起物として描いてきました。中国の黄河にある滝を登った鯉が龍になるという故事を由来とし、厳しい関門を突破する際に用いられる「登竜門」という言葉も残されています。また、鯉が公園の池や、日本庭園の池泉を泳ぐ姿を眺めることは、多くの人々にとって小さい頃から親しんだ風景のひとつとしても馴染み深いものではないでしょうか。
鯉に関心を持ち始めたのは、ライフワークのひとつとしている盆栽をモチーフとした制作に関して調べていたことからでした。庭園美術や、自然の縮図としての美術工芸と深い関係のある盆栽と、鯉は深く関係するモチーフであり、リサーチの一環として訪れた小千谷の鯉たちの姿が、本作のモチーフとなっています。そこで得られたイメージは、大海や大空を泳ぐ雄大な龍としての鯉でもあり、また暗い水面下で抗い、もがき、その先へ進もうと奮闘する1匹の魚の躍動的なシルエットでもありました。
はじめは、鮮やかな紋様に覆われた昭和三色や孔雀、黄金色に輝く山吹黄金、印象的な緋斑を有する丹頂紅白などに見る艶やかな色彩に魅了されましたが、撮影を続けるうちに、その斑紋と鱗が描く、まるで筆で描いた抽象画のような、線の流れに注目するようになりました。本作は、朧げながら力強いトーンの中で泳ぎ、躍動する鯉のイメージを、カリタイプと呼ばれる写真の古典技法を応用して再現しています。手作業の跡が感じられるプリントには、鯉の優美さと荒々しさが抽象化され、新たな、またどこか親しみのある視覚体験を楽しんで頂けるのではないかと期待しています。
会場
 hpgrp GALLERY TOKYO 
 東京都港区南青山5-7-17 小原流会館 地下1階 
 
開催期間
 2023年7月21日(金)~8月26日(土) 
 
開催時間
 12時00分~19時00分 
 
休廊
日曜日・月曜日・火曜日
作者プロフィール
 1978年 仙台市生まれ 東京在住 
 2004年 東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻修了 
 2023年〜東京工芸大学芸術学部写真学科 准教授 
 主な展示 
 2003年「World of ROUND」コニカミノルタプラザ 
 2003年「TPCC受賞記念展」東京写真文化館 
 2004年「StairAUG.photographics」コニカミノルタプラザ 
 2005年「SOURCE」ニコンサロン新宿・大阪 
 2005~9年「reGeneration 50 photographers of tomorrow」エリゼ美術館 他巡回 
 2006年「Kunst RAI」 ライ・パークホール 
 2007年「Strings of Life」B GALLERY 
 2007年「Making, Marking, Mapping」PGI 
 2009年「大和田良展」西武百貨店渋谷店 
 2010年「Log.」キャノンギャラリー 全国巡回 
 2010年「ノーツ オン フォトグラフィー」B GALLERY 
 2010年「Wine Collection」EMON PHOTO GALLERY 
 2011年「SAKURA」MICHEKO GALERIE 
 2011年「FORM」さいたま市大宮盆栽美術館 他巡回 
 2012年「Dots」Bright photo salon 
 2013年「StairAUG. photographics exhibition 2013」B GALLERY 
 2014年「Banknotes」B GALLERY 他巡回 
 2015年「TYPE」hpgrp GALLERY TOKYO 他巡回 
 2014~5年「剥製図」hpgrp GALLERY TOKYO他巡回 
 2016年「FORM」伊勢丹新宿店 
 2016年「Wine Collection」西武百貨店渋谷店 
 2017年「第8回世界盆栽大会 記念特別展」さいたま市盆栽美術館 
 2018年「叢本草」B GALLERY 
 2018年「LIVE HOUSE, TOKYO」B GALLERY 
 2020年「中正なる道」ESPACE KUU 空 
 2020年「五百羅漢を巡るふたつの視覚」天恩山五百羅漢寺 
 2020年「五百羅漢」tokyoarts gallery 
 2020年「y-Generation VI」西武百貨店渋谷店 
 2020年「R」B GALLERY 
 2020年「LIVE HOUSE, TOKYO 2」SLOPE GALLERY 
 2020年「東京好奇心 2020渋谷」Bunkamura ザ・ミュージアム 
 2021年「宣言下日誌」Roll 
 2021年「icon CONTEMPORARY PHOTOGRAPHY」田中八重洲画廊 
 2021年「Season's Greetings」hpgrp GALLERY TOKYO 
 2022年「Differential Notes(Case1_Nature)」エプサイトギャラリー 
 2023年「Behind the Mask」BOOKMARC 
 主な受賞 
 2003年 コニカミノルタフォトプレミオ 
 2003年 フォックスタルボット賞 
 2003年 TPCC award 
 2004年 ニコン ユーナ21 
 2005年 reGeneration 50 photographers of tomorrow選出 
 2011年 日本写真協会賞 新人賞 
 主な収蔵 
 東京工芸大学 
 エリゼ美術館 
 さいたま市盆栽美術館 
 さいたま市 
 主な出版 
 2007年「prism」青幻舎 
 2010年「ノーツ オン フォトグラフィー」リブロアルテ 
 2011年「FORM」深水社 
 2014年「Banknotes」アタリパブリッシング 
 2018年「叢本草」今朝パブリッシング 
 2018年「LIVE HOUSE, TOKYO」今朝パブリッシング 
 2020年「五百羅漢」天恩山五百羅漢寺 
 2020年「R -RYO OHWADA PHOTOGRAPHS OF ’98-‘20」今朝パブリッシング 
 2021年「宣言下日誌」今朝パブリッシング 
 2023年「Behind the Mask」(Chris Mosdell 俳句)スローガン