写真展告知

小林紀晴写真展:深い沈黙

ニコンプラザ東京・大阪 THE GALLERY(7/20〜8/16・9/30〜10/13)

写真家・小林紀晴さんの作品展「深い沈黙」が、ニコンプラザ東京および大阪のTHE GALLERYで開催される。会期は東京会場が7月20日〜8月16日、大阪会場は9月30日~10月13日にかけて。

冬枯れした山を見て育った。冬のあいだ、どんよりと曇った空の下に、色のない風景が広がっていた。すべての視界をそれらに包まれ、幼いながら死の匂いを濃厚に感じた。誰かに教えられたわけでもなく直感としてあった。だからだろうか、みずからそのことについて口を開いたことも言葉を交わした記憶もない。

できることなら、目を背けたかった。でも視界を覆っているのだから、そうすることはできない。それでいて不思議なことに、ずっと凝視していると妙に心が穏やかになっていくのだった。何故なのか。どうしても自分では説明がつかなかった。

あるとき哲学者、文学者のヴァルター・ベンヤミンが著した文章に触れたとき、やっと答えにたどり着いた気がした。

「植物がわずかに葉の音をたてているところにさえ、つねにその嘆きが共鳴している。自然は黙するがゆえに悲しむのである。」

多くのことが腑に落ちた。

引用:ヴァルター・ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」
『ベンヤミン・コレクション1 近代の意味』久保哲司訳、ちくま学芸文庫

(小林紀晴)開催内容

会場情報

ニコンプラザ東京 THE GALLERY

会期:7月20日(火)〜8月16日(月)
所在地:東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階
開館時間:10時30分~18時30分※最終日は15時まで
休館日:日曜日、8月12日~8月15日

ニコンプラザ大阪 THE GALLERY

会期:9月30日(木)~10月13日(水)
所在地:大阪府大阪市中央区博労町3-5-1 御堂筋グランタワー17階
開館時間:10時30分~18時30分※最終日は15時まで
休館日:日曜日

作家プロフィール

小林紀晴(コバヤシ キセイ)
1968年長野県生まれ
東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。新聞社カメラマンを経て1991年独立。アジアを多く旅して作品を制作する。また近年は日本国内の祭祀、自らの故郷である諏訪地域などを撮影している。
紀行、ノンフィクション、小説なども執筆。近著に『まばゆい残像』『孵化する夜の啼き声』『深い沈黙』など。
1997年『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞、2013年『遠くから来た舟』で第22回林忠彦賞を受賞。2021年に初監督映画作品『トオイと正人』で国際ニューヨーク映画祭、南京国際映画祭入賞。
東京工芸大学芸術学部写真学科教授。