イベントレポート

野鳥撮影のレンズ・カメラが集合した「ジャパンバードフェスティバル2023」

各社が新製品を披露 体験型の催しも

「鳥」をテーマとする国内最大級のイベント「ジャパンバードフェスティバル2023」が、11月4日(土)・5日(日)の2日間にわたり、千葉県我孫子市にある手賀沼周辺の関連施設にて開催された。

ジャパンバードフェスティバル(Japan Bird Festival/略称:JBF)は、2001年より年1回のペースで開催されている鳥関連のイベント。

コロナ禍でのオンラインイベントを経て、昨年は現地開催が復活。今年もオフラインイベントとして開催された。光学機器関連メーカーや観察用品メーカーなどが「鳥」を意識した機器を出展。さらには、NPOや任意団体、学生などによる鳥・自然環境に関する研究・活動発表、展示などが行われている。

規模縮小をともなった2022年は手賀沼公園(アビスタ)をメイン会場としていたが、2023年はコロナ禍以前と同様に、水の館、オオバン広場、手賀沼親水広場をメインに、鳥の博物館、山階鳥類研究所、手賀沼公園(アビスタ)で開催された。

光学機器メーカーの場合、製品のタッチ&トライに加えて、ブースによっては機材の貸し出し、アウトレット販売、セミナー・フォトウォークなども実施していた。

機材の貸し出しやセミナーなど、現地で受け付けている事もあるが、来年以降参加する場合は、事前受付の有無を確認しておきたい。

※価格表記はすべて税込

OMデジタルソリューションズ株式会社

鳥認識AF(AI被写体認識AF)を搭載した「OM SYSTEM OM-1」や「OM SYSTEM OM-5」などのボディおよび、「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」などを展示。

野鳥愛好家に人気だという「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」

また、参考出品として、「OM SYSTEM OM-1」対応のドットサイト照準器「EE-1」ブラケットを展示していた。カメラのペンタ部に設けられたアクセサリーシューではなく、カメラボディの側面に照準器を配置したいという要望を受けたもの。発売日・価格などは未定。調節幅があり、他のボディでも利用できそうだ。

参考出品の「OM SYSTEM OM-1」対応のドットサイト照準器「EE-1」ブラケット
現段階では調節の幅があり、「OM SYSTEM OM-1」以外にも装着できそう

写真家の菅原貴徳氏による体験撮影会「OM-1 野鳥撮影のコツ」(事前予約制)も両日実施。

体験撮影会「OM-1 野鳥撮影のコツ」で講師を務めた菅原貴徳氏

このほか、防水コンパクトデジタルカメラの「Tough TG-7」や、双眼鏡のアウトレット販売などが行われていた。

10月に発売されたばかりの「Tough TG-7」

アウトレット販売については、保証期間(1年間)があり、新古品・ほぼ未使用品・旧商品を意味する「Sランク」品が並んだ。1日目は複数種類が用意されていたが、2日目には1種類になるなど、人気があったようだ。

公式オンラインストアでは1万890円のスタンダード双眼鏡「8×40 S」だが、Sランクのアウトレットということで7,650円になっていた

キヤノンマーケティングジャパン株式会社

イベントの2日前にあたる11月2日に発表されたばかりのRFマウント交換レンズ「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」や、パワーズームアダプター対応の標準ズームレンズ「RF24-105mm F2.8 L IS USM Z」、APS-C広角ズームレンズ「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」を展示。

発表されたばかりの「RF24-105mm F2.8 L IS USM Z」
こちらも会期2日前に発表された「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」
10月27日に発売されたばかりのAFズームレンズ「RF10-20mm F4 L IS STM」

ブースの設営準備中にも人が来るほど「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」は注目度が高かったようで、実際のブースでも質問・試用する人が途切れない様子だった。

とにかく人気だった「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」

また、野鳥撮影のオススメ機材として、「EOS R6 Mark II」や「RF1200mm F8 L IS USM」「RF100-300mm F2.8 L IS USM」を紹介。「RF600mm F4 L IS USM」を合わせた計3本は、ブースから手賀沼方向に向けた三脚に装着、実際に撮影できるタッチポイントを設置していた。

右奥から「RF100-300mm F2.8 L IS USM」「RF600mm F4 L IS USM」「RF1200mm F8 L IS USM」。野鳥撮影にオススメとされていたレンズだ

そのほか、望遠鏡スタイルのデジタルカメラ「PowerShot ZOOM」や双眼鏡なども並んでいた。

株式会社ケンコー・トキナー

今年は双眼鏡の新製品を多数発表しているが、新製品として持ち込まれたのは「ZEISS SFL 10×30」(4月21日発売)や、「KTA-Flat Plate 双眼鏡ホルダー」(10月13日発売)、「KTA-Quick01 三脚ホルダー」(5月26日発売)など。

今年発売の新モデル「ZEISS SFL 10×30」
双眼鏡を三脚などに固定するための汎用アクセサリー「KTA-Flat Plate 双眼鏡ホルダー」。面ファスナーによる固定なので、三脚ネジ穴を備えていない双眼鏡に利用できる
対応する双眼鏡の前面に専用のオスネジを装着することで、素早い脱着を可能とする三脚用ホルダー
新旧の双眼鏡が並ぶ

さらに他社ブースとは異なり、アウトレット販売がとにかく旺盛。ブースの3分の2が販売品の陳列で占めていた。手頃感のある双眼鏡などが豊富にあり、もはやバードフェスの名物と言っても過言ではないかもしれない。

アウトレット販売品はとにかく種類が豊富

ソニーマーケティング株式会社

ブース内では、超望遠レンズ「FE 600mm F4 GM OSS」や「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」、10月13日に発売されたばかりの「α7CR」や「α7C II」などが用意されていた。

展示の様子
超望遠レンズ「FE 600mm F4 GM OSS」
手賀沼方向に向けて設置していた「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」
スタッフがオススメだという組み合わせが「α6700」+「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」
新製品の「α7CR」「α7C II」

また、ソニーストアで接客をしているスタイリスト(αアカデミー講師)が同行し、ブースの外で実際に試せる体感会なども実施。

そのほか、「α7CR」「α7C II」や各種レンズ、バッテリー、メモリーカード、フロントキャップ、MCプロテクターなどの販売も行われていた。「My Sony ID」の取得で10%OFFで購入できるなど、お得に買えたようだ。

フォトグラファーの山田芳文氏を講師に迎え、ジャパンバードフェスティバル2023 連動特別講座として、「ワンランク上の野鳥撮影を目指したい方へ」と「山田芳文先生と手賀沼周辺フォトウォーク」を実施。

座学となる「ワンランク上の野鳥撮影を目指したい方へ」では、水の館(3階 研修室)にて、作品を用いた具体的な撮影の秘訣、構図やタイミング、レンズの使い分け、最新の撮影機材情報などが、プロならではの視点で語られたという。

また、手賀沼周辺にて撮影を実践する「山田芳文先生と手賀沼周辺フォトウォーク」では、参加者が所有するαシリーズ、RXシリーズ、VLOGCAMなどを利用し、アドバイスを受けながら撮影を実施。レンズなど、機材の貸し出しにも対応していた。

「山田芳文先生と手賀沼周辺フォトウォーク」の様子。左が山田氏。野鳥の見つけ方や、特徴などを語りながら手賀沼周辺を散策していた
フォトウォーク中は、野鳥撮影ついてアドバイスが受けられた

株式会社タムロン

野鳥の生態観察に最適な交換レンズとして、超望遠ズームレンズ「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」や、大口径望遠ズームレンズ「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」などを展示。

ブースの様子
10月31日に発売されたばかりのニコン Z マウント用「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」
大口径望遠ズームレンズ「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」

会場内限定ながら、ソニーEマウント、ニコン Z マウント、富士フイルムXマウント用などのレンズを貸し出していた。

株式会社ニコンイメージングジャパン

ファームウェア Ver.4.10の適用(10月4日公開)により、[鳥]モードに対応したミラーレスカメラ「Z 9」をはじめ、「Z 8」「Z f」などの最新のカメラを展示。

また、超望遠レンズ「NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S」「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」「NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S」「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」や、超望遠ズーム「NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S」「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」などの超望遠レンズをラインナップした。

ブースの様子
超望遠ズームレンズおよび、超望遠レンズは手賀沼方向に設置され、タッチアンドトライが可能
10月27日に発売したばかりの「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」
野鳥・動物・飛行機向けとされる超望遠ズームレンズ「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」
小型・軽量を特徴とする超望遠レンズ「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」
「Z f」(10月27日発売)と「NIKKOR Z 70-180mm f/2.8」(7月14日発売)の組み合わせ

このほか、根強い人気があるコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX P950」「COOLPIX P1000」や、双眼鏡「WX 10x50 IF」などを展示していた。

会場内で携行する人をみかけるほど人気のあるCOOLPIXシリーズ
「WX 10x50 IF」をはじめとして、双眼鏡も並ぶ

ハクバ写真産業株式会社(スワロフスキー オプティック)

スワロフスキー オプティックブランドの双眼鏡とフィールドスコープを展示。今年発売の新モデルこそないが、バードウォッチング向けの製品が並んだ。

基本的に、型番は製品自体にプリントされていることが多いが、同社のフィールドスコープはそれが見当たらない。接眼部を取り外すことでプリントが見える(ないモデルもある)という、デザインへのこだわりが光る。

競合製品との違いを掘り下げて聞くような、熱心なファンをよくみかけた
一見するとボディには型番のプリントが見当たらない
一部モデルは、接眼部を外すことで型番を確認できる

株式会社ビクセン

5月11日に発売した双眼鏡「APEX J HR10×42WP」をはじめ、防振双眼鏡「ATERA II」シリーズや、フィールドスコープなどを展示。

新製品の双眼鏡「APEX J HR10×42WP」

また、2020年5月29日発売の双眼鏡「hoop H8×25WP」のブラックモデル(参考出展)もあった。野鳥観察時にシルバーは目立つということから、ブラックモデルを用意したという。年内の発売を予定。

「hoop H8×25WP」のシルバーモデルとブラックモデル
野鳥観察向けに用意したというブラック

富士フイルムイメージングシステムズ株式会社

連写・AF性能を特徴とする「X-H2S」と900mm相当(35mm判換算)を超える焦点距離をカバーする「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」による超望遠セットや、小型軽量な「X-S20」とズームレンズ「XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR」によるコンパクトな望遠セットという2セットを貸し出しで用意。

展示品と共に貸し出し機材が並ぶブース
貸し出し対象になっている「X-H2S」と「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」の超望遠セット

「FUJIFILM MEMBERS」への登録で限定キーホルダーのプレゼントも実施。キーホルダー自体は各種イベントなどでも配布しているもので、歴代のXボディがプリントされたアクリルキーホルダーとなっている。

歴代のカメラがプリントされたアクリルキーホルダー

ティアック株式会社

8月26日に発売したピンマイク フィールドレコーダー「DR-10L Pro」をはじめ、キヤノン、富士フイルム、ニコンとの協業により開発したというミラーレスカメラ対応のXLRマイクアダプター「CA-XLR2d」などを展示。野鳥愛好家へのアプローチとして、前回開催から出展しているという。

ミラーレスカメラ対応XLRマイクアダプター「CA-XLR2d」にショットガンマイクを装着したところ

野鳥向けには、タイマー録音機能がある「DR-05」などが人気だという。早朝など、野鳥が活動する時間帯に設置しておき、録音するといった使い方をするそうだ。実際に録音し、簡易的にノイズ除去したものを、その場で聞くことができた。

新製品のピンマイク フィールドレコーダー「DR-10L Pro」

興和オプトロニクス株式会社

9月発売の新型スコープ「TSN-66 PROMINAR」をはじめ、既存のフィールドスコープや双眼鏡などを展示。

2024年1月からは、FacebookやInstagramなどで公式アカウントを運営するということで、情報配信にも力を入れていくそうだ。

ブースの様子
新型スコープ「TSN-66 PROMINAR」

日本望遠鏡工業会

双眼鏡の使い方や仕組みなどを紹介している一般社団法人日本望遠鏡工業会。屋外では、太陽の黒点観察用望遠鏡を設置しており、子連れの来場客をよくみかけた。

黒点観察用の望遠鏡
飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。