イベントレポート
中井精也鉄道写真展:笑顔あふれる「ゆる鉄」ワールド
「1日1鉄!」10年以上の軌跡を見る
2018年4月13日 14:14
幅広い層に人気の鉄道写真家、中井精也さんの写真展が川崎市市民ミュージアムで6月24日(日)まで開催されている。展示名は「笑顔あふれる『ゆる鉄」ワールド」。その名の通り、中井さんならではの世界が縦横無尽に広がる会場だった。
「1日1鉄!」から選りすぐりの約150点
展示のメインは、中井さんが10年以上にわたって更新をして来たブログ「1日1鉄!」から選ばれた約150点。ファンなら掲載当時を思い出すこと必至だ。
季節感ある日本全国での作品に加え、海外での作品も多数展示。ウチの実家にほど近い北勢線からパリのサン・ラザール駅までと、地域性豊かなのも楽しい。中井さんのポエムも添えられるなど、「1日1鉄!」の世界が見事に再現されていると感じた。
10年以上もの間の軌跡とあって、デジタル一眼レフカメラがまだ進化の途上にある時代の作品もあったが、それほど画質にアラは見られない。中井さんの作風やプリント技術に追うところもあるのだろう。モノによってはかなり大きなプリントで展示されている。
客層は家族連れや女性が中心。一見すると鉄道写真の展覧会とは思えない、賑やかな空間となっていた。
三陸鉄道復旧を追ったシリーズも
となりのエリアでは、東日本大震災で被災した三陸鉄道が復旧する様を追った、一連の作品が並んでいた。苦難に遭っても前を向き続ける東北人の力強さと、その人たちと支えあう鉄道の関係が伝わってくる。
特別展示の「東急田園都市線開業50周年記念 DT moment」も印象深い。東急田園都市線溝の口駅〜長津田駅間が開業50周年を迎えた記念に中井さんが撮り下ろしたものだ。
関連展示の「川崎ヒストリー展 〜川崎の鉄道〜」は、川崎と鉄道の関わりを時系列で見せる展示だ。
盛況だったトークショー
会期初日の4月7日(土)には、中井精也さんによるギャラリートークとサイン会が開かれた。「1日1鉄!」は写真集として弊社インプレスから出版されており、トークショーの相手役はその縁で弊社刊行デジタルカメラマガジンの編集長、福島晃が務めた。
トークショーのステージ前には約200名の来場者が詰めかけた。目立つのは家族連れ。子どもたちは指をさして「ナカイセイヤだ!」「ナカイセイヤがいる!」と大喜び。こんな写真家はなかなかいない。改めて中井さんのファン層の広さに驚かされた。
トークショーは「1日1鉄!」の裏話から、撮影時のテクニックや苦労話などへと続いた。
意外だったのは、中井さんを持ってしても、被写体とのコミュニケーションに難しさを感じるというエピソードだ。撮影を断られることは少なくないとのことで、特徴的なファッションとキメの変顔は、被写体に高圧的なイメージを与えず、気持ちよく撮影に応じてもらうための工夫でもあるそうだ。
終了後のサイン会は、70名ほどが列をつくる盛況ぶり。ここでも家族づれが多く見られ、賑やかな雰囲気で行われた。
同様のトークショーとサイン会は5月5日(土)にも行われる。GW中、ゆる鉄ワールドに触れてみてはいかがだろうか。
中井精也鉄道写真展:笑顔あふれる「ゆる鉄」ワールド
会場
川崎市市民ミュージアム 企画展示室1、アートギャラリー2
神奈川県川崎市中原区等々力1-2
開催期間
2018年4月7日(土)〜6月24日(日)
開催時間
9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
休館
毎週月曜日(休日の場合は開館)
祝日の翌日(土・日の場合は開館)
5月1日
※4月30日は開館
観覧料
一般:600円
学生・65歳以上:450円
中学生以下:無料
ギャラリートーク&サイン会/講演会&サイン会
4月7日(土)終了しました
11時〜12時:ギャラリートーク&サイン会
14時〜15時:講演会&サイン会
5月5日(土)11時〜12時
11時〜12時:ギャラリートーク&サイン会
14時〜15時:講演会&サイン会