デジタルカメラマガジン

沼澤茂美さんが全方位解説「夜の絶景写真 星空風景編」

星の基礎知識から、より美しく仕上げるコツまで、これ1冊

沼澤茂美さんの作品(「夜の絶景写真 星空風景編」に掲載)。

弊社インプレスの最新刊「夜の絶景写真 星空風景編」が8月10日に発売されました。著者は天体写真家の沼澤茂美さん。デジタルカメラマガジンの担当編集者に見どころを聞いてきました。

本書は「星空のことを知って撮ろう」をコンセプトに、星空の基礎知識からスタート。夜に撮る被写体の中でも、星空風景というジャンルは特に「知らないと撮れない」と言われるほど、事前の下調べが大事だそうです。

その理由は、主題となる被写体が(例えば日中の風景のように)目に見えていないから。作品の主題を決めるにも、星座などの基本的な知識が欠かせません。そのため、カメラの機材チョイスや撮影設定だけでなく、狙った星空がどの方角にいつどのように見えるのかも計算して撮影に臨みます。

季節ごとの星座を図解。

そう聞くと難しそうですが、下準備が必要ということは、やりがいがあって、撮る楽しみを味わえるポイントが盛りだくさんだということ。周りと差を付けやすい撮影ジャンルとも言えるでしょう。本書では、そうして「考えながら撮れるようになる」までをサポートしています。

天の川を撮るには、いつ、どのようなレンズがあれば好ましいのか。
本書の解説イラストは、全て沼澤さん自身によるもの。

最初の基礎知識として解説されている「夜はどれぐらい暗いのか」「星はなぜ動くのか」といった科学的な原理は、写真撮影を抜きにしても面白いテーマではないでしょうか。勉強になって、人にも話したくなるような、科学の本みたいな楽しさも併せ持った本に仕上がっています。

夜の暗さを科学的に考える。郊外の星空を写すには、快晴の風景に比べて数百万倍の露出が必要になるという。

この「夜の絶景写真」シリーズの書籍では、先に発売された「工場夜景編」「花火編」も人気を博しています。星空風景編を含めた3冊とも、被写体を知って、実際に撮って、作品に仕上げるまでを1冊でカバーしているのがウリです。

天の川を輝かせる画像補正のコツ。

最近は巷でも人気の「天体ショー」と呼ばれるような現象も、テレビで話題になるころには準備万端で、しっかり作画意図を込めたオリジナルの作品を残せるようになるでしょう。

「夜空を彩るさまざまな天体ショーを写す」のコーナー。

最初に「(星空風景は)知らなければ撮れない」と書きましたが、まずは作品例を見ながら時間も方角も気にせず撮ってみて、自分が撮りたい方向性がわかってから基礎知識のページに戻ってもいいでしょう。本はいつでも読み返せます。

まさに「星空風景」といった雰囲気。
軌跡の写し方を解説。

これから秋〜冬に向けて、天体撮影は(外が寒いから)人気がなくなるそうです。とはいえ写真的には空気が澄んで好ましい季節。せっかくこのタイミングで出た本ですから、今年の冬ぐらいにはバッチリ作品撮りができるよう、今から仕込みを始めてみてはいかがでしょうか。

冬といえば、オリオン座。