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岩谷産業、蛍石の合成技術を世界で初めて確立

天然蛍石を越える光学性能

 岩谷産業株式会社は10月14日、光学レンズの原料となる蛍石(フッ化カルシウム)の合成技術を世界で初めて確立したと発表した。レンズメーカーなどに訴求し、早期の事業化を目指す。

合成した高純度蛍石

 今回の技術を用いることで、高純度な製品を安定的に供給できるとする。現在、光学結晶材料の原料となる蛍石は中国から全量輸入に頼っているが、品質のばらつきや価格変動が激しく、光学結晶材料メーカーや光学レンズメーカーでは安定的な蛍石の調達が課題だったという。

 粉末の炭酸カルシウムを、特殊バインダーを用いて直径5mm、長さ10mm程度の円柱形状にし、これをフッ化水素ガスと反応させ高純度の蛍石を人工的に合成する製造方法を確立した。

 岩谷産業によると、今回製造した蛍石を大手光学レンズメーカーで評価したところ、天然の蛍石を使用した場合と比較して光学特性が良好との結果が得られたとしている。レンズメーカーが要求する可視光領域での光透過性90%以上を有していることが確認されたという。

 光学レンズに使用される高純度品(特別選別品)グレードの天然蛍石は1,000円/kg以上なのに対して、今回の合成蛍石は2,000円以下/kgとする。将来は1,000円/kg以下を目標とする。

 今回の技術は、名古屋工業大学安井晋示准教授の技術指導を受けながら、上田石灰製造株式会社と共同で開発した。

 蛍石を使用したレンズは分散が小さく、色収差を抑えられることから、望遠レンズや天体望遠鏡などに採用されている。

(本誌:武石修)