ペンタックス、「PENTAX Q」の発表会を実施
ペンタックスは23日、レンズ交換式デジタルカメラ「PENTAX Q」の発表にあわせ、都内で新製品発表会を実施した。
PENTAX Q | 中央がPENTAX Q |
PENTAX Qは、1/2.3型センサーのイメージサークルに最適化したペンタックスQマウントを採用するレンズ交換式デジタルカメラ。レンズ交換式で世界最小最軽量としている。対応交換レンズは「高性能レンズシリーズ」、「ユニークレンズシリーズ」であわせて5本を発表した。近日発売としており、詳細な発売時期は未定。仕様や詳細などは既報の記事を参照されたい。
ペンタックス、レンズ交換式で世界最小最軽量の「PENTAX Q」ペンタックス、Qマウント用の交換レンズ5本
■レンズ交換式デジカメの“購入検討者”がターゲット
発表会では、HOYAペンタックスイメージング・システム事業部長の井植敏彰氏が登壇。いわゆるミラーレス機を含むレンズ交換式デジタルカメラの市場動向などについて説明した。
HOYAペンタックスイメージング・システム事業部長の井植敏彰氏 | 壇上では新製品が布に覆われていた |
同社がコンパクトデジカメの所有者に行なったという調べによると、ミラーレス機の登場やレンズ交換式デジタルカメラの低価格化により、2009年以来「購入検討者」が急激に増加しているという。しかし購入に至らない理由として、「本体が大きい」、「持ち運びにくい」、「操作が難しい」といった点が挙がった。
一方、「画質が優れている」、「レンズを交換できる」、「自由な撮影設定」などを魅力として挙げており、画質やレンズ交換によるメリットにも注目しているとした。
デジタル一眼の購入意向者 | コンパクトデジカメ所有者がレンズ交換式デジカメを購入しない主な理由 |
デジタル一眼の魅力 | レンズ交換のイメージ |
井植氏は、これらの市場環境やユーザー動向を踏まえた「New Concept一眼」として新製品を紹介。壇上でアンベールが行なわれた。
短い映像が流れるのに合わせ、壇上で布をかけられていた新製品を披露した |
PENTAX Qを手にする井植氏 |
同製品は、7月9日と7月10日に新宿高島屋1Fの特設会場で行なう「PENTAX Q体感イベント」において一般向けに披露すると告知した。
PENTAX Q体感イベント | ペンタックスのレンズマウントは3つになった |
井植氏は、新たにQマウントが加わったペンタックスのレンズシステムについて触れ、「3つのマウントでどんどんユニークなことに挑戦していきたい」と締めくくった。
■デジタル一眼レフカメラに迫る画質
続いてPENTAX Qの開発責任者であるHOYAペンタックスイメージング・システム事業部 副事業部長の北沢利之氏が登壇。新製品の仕様説明を行なった。
HOYAペンタックスイメージング・システム事業部 副事業部長の北沢利之氏 |
北沢氏は、PENTAX Qが世界最小最軽量を実現した理由として「1/2.3型裏面照射型CMOSセンサーの採用」、「センサーサイズに合わせたQマウント」、「光学ファインダーとミラーを持たない本体構造」を挙げた。
センサーと周辺回路の小型化により、メイン回路はデジタル一眼レフカメラ「K-r」と比べて面積比で約半分という。マウント口径は約2/3、フランジバックは約1/5に短縮し、K-r比で体積1/5、重さ1/3を実現。他社小型ミラーレス機と比較してもサイズや質量の全てにおいて小型軽量で、「より気軽にカメラを持ち運ぶことができる」と語った。
新しいQマウントを同社デジタル一眼レフカメラが採用するKマウントと比較 | デジタル一眼レフカメラ「K-r」と比較 |
他社小型ミラーレス機との比較 |
またPENTAX Qは「APS-Cサイズのセンサーを採用したデジタル一眼レフカメラに迫る高画質」を実現したとし、解像性能を重視した光学設計の「高性能レンズシリーズ」と、デジタル一眼レフカメラ「645D」や「K-5」の技術を用いた新開発の画像処理エンジンの採用を挙げた。
発表会では、他社の高級コンパクトデジカメおよびレンズ交換式デジタルカメラとの解像性能比較を紹介。周辺画質や、高感度時の輝度ノイズ・カラーノイズ抑制について自信を見せた。
ISO200の解像性能比較 |
ISO6400の輝度ノイズ比較 | ISO6400におけるカラーノイズ比較 |
交換レンズは、「高性能レンズシリーズ」と「ユニークレンズシリーズ」の2種類をラインナップ。いずれもレンズ名から焦点距離の表記を省き、通し番号と「STANDARD PRIME」などといった表記を採用。気軽にレンズ交換を楽しんでもらうための新しい提案としていた。
高性能レンズシリーズの特徴 | ユニークレンズシリーズの特徴 |
高性能レンズシリーズは電子マウント制御で、EDレンズ、ガラスモールドレンズ、ハイブリッドレンズなどを採用。高コントラストな描写を実現したという。
一方ユニークレンズシリーズは、プラスチックマウントなどの採用により小型軽量化を図った。「レンズを交換すると写真が変わる」という楽しみを多くのユーザーに実感してほしいとの思いだという。
「本格性能」の追求もPENTAX Qのポイント。モードダイヤルにP/Av/Tv/Mの露出モードを設け、RAW(RAW+)撮影も可能。「一眼らしい写真表現」が可能としていた。
基本性能の高さも特徴という |
また、トップカバーと前後カバーにはマグネシウムを採用し、剛性感を高めたという。手ブレ補正機構「SR」や超音波式のセンサークリーニング機構「DRII」も搭載する。
撮影時には一眼レフ同様というコントロールパネルを利用可能。リモコンの受光部は背面にも備えた。リトラクタブル式のストロボは28mm相当の画角に対応し、収納時も発光させられる。
エフェクト機能の搭載も特徴。ペンタックス機が採用する「カスタムイメージ」と「デジタルフィルター」をリファインして搭載したほか、これらに続く第3のエフェクト機能という「スマートエフェクト」を新搭載。全9種類から選択でき、「ほのか&トイカメラ」といった任意の組み合わせをユーザー設定として記録可能。ボディ前面のクイックダイヤルに設定を割り当てることもできるという。
カスタムイメージとデジタルフィルターを利用可能 | 新たに「スマートエフェクト」を搭載。レトロな雰囲気という「Auto110」を利用できる |
そのほかにも、画像処理で後ぼけ・前ぼけの描写を楽しめるという「ボケコントロール」(モードダイヤル表記「BC」)や、±1EVの手持ち対応HDR機能を搭載。動画記録はH.264のフルHDに対応するなど、撮影機能の多彩さを強調していた。
ボケコントロール | 動画にもスマートエフェクトを適用できる |
■エフェクトの掛け合わせが魅力的
発表会では続いて、モデルの里織さんと写真家のテラウチマサト氏を壇上に招き、PENTAX Qにまつわるトークセッションを実施した。
里織さん(左)とテラウチマサト氏(右) | 司会はアナウンサーの中井美穂さん |
2人の子どもを持つ里織さんは、普段からカメラで撮影することが多いといい、バッグにいつも入れられるサイズのカメラを歓迎。「カメラの大きさや威圧感には最初はドキドキする」と話していた。
PENTAX Qについては「かわいくて働き者で、私たち主婦のようだなと思った」とコメント。毎日近くにいてほしいな、と印象を述べた。
「かわいい」とPENTAX Qの印象を語る里織さん |
テラウチマサト氏は、試作段階のPENTAX Qを使ってニューヨークで撮影を実施。開口一番に「悪女みたいなカメラでした」と感想を述べ、会場の笑いを誘った。試作機ならではの不具合にも遭遇しつつ、「別れようと思うと優しくしてくれるかのように良いカットが撮れる。エフェクトも、冷たくされたあとの微笑みに感じた」のが悪女のようと評した理由だという。
テラウチマサト氏がニューヨークで撮影した作品を上映。写真はセントラルパークで、「ハイコントラスト」と「リバーサル」を適用したもの | ペインターが売っているTシャツ。どのエフェクトで撮ったかは忘れてしまったという |
魚眼レンズを用いた作品。場所はニューヨークのゲーム屋だという |
エフェクトを「掛け合わせる」のが魅力的と語るテラウチ氏。実際に見ている景色とは違っても、驚くような結果が得られたという。ボディが小さいため、撮影中に「こんなので撮れるの?」と言われたこともあったそうだが、それが却ってリラックスした空気を生んだという。ニューヨークは怖いところだが、カメラを持っていっても「ウェルカム」な雰囲気だといい、実はニューヨーカーは写真を撮られるのが好きかもしれないと話した。
撮影を終えた感想として「歩きながら撮っていても苦にならなかった」と話すテラウチ氏。いいね、かわいいね、などと話しかけられることが多く、そのまま持っていかれるのではと思いつつ「使ってみる?」と渡してみたりもしたという。
テラウチマサト氏 |
最後にテラウチ氏はPENTAX Qについて「インターフェースがよくできている」と評価。「このまま悪女のように終わってもらっても困るので、新製品登場の時にはぜひ“良い子”になっててほしいと思ったが、それだけ魅力的なカメラでした」と思いを語った。
左から北沢利之氏、里織さん、井植敏彰氏 | PENTAX Qを手にする里織さん |
発表会終了後の会場にはタッチ&トライコーナーを設置。いくつかの交換レンズなどと共にPENTAX Qの実機に触れることができた。外観写真などを中心に、追って掲載する予定だ。
2011/6/23 18:56