リコー、「銀座写真選手権」入賞者の表彰式を開催


 リコーは17日、学生対抗フォトイベント「銀座写真選手権」の入賞作品展を開催した。会期は28日まで。

 銀座写真選手権では、2009年9月20日から11月8日までの期間に全国の大学・専門学校生による3名1組のチームを対象として、特定のテーマを設けず作品を募集。21チームが予選を通過した。入賞作品展では1位の「People」、2位の「24」、3位の「K」の作品45点に加え、個人の優秀作品12点を展示している。

 写真展の概要は下記の通り。

  • 会期:2010年2月17日~2月28日
  • 時間:11時~20時(最終日17時まで)
  • 場所:RING CUBEギャラリーゾーン
  • 所在地:東京都中央機銀座5-7-2 三愛ドリームセンター8および9階(受付9階)
  • 休館日:火曜日
  • 入場料:無料

今後も若い人たちを支援していきたい

 開催初日となる17日、RING CUBE9階のギャラリースペースにおいて、銀座写真選手権の表彰式を行なった。

 表彰にあたり式辞を述べたのは、リコーRING CUBE運営リーダーの橋本正則氏。「RING CUBEでは当初より、ほかでは見られないようなものをやっていこう、という考えのもと、企画を行なってきました。今回の『銀座写真選手権』では第1回目にもかかわらず、非常に良い写真が集まったと思います。今後もこのような形で若い人たちを支援していきたいと考えています」と挨拶した。

リコーRING CUBE運営リーダーの橋本正則氏会場の様子
グランプリ受賞チーム「People」表彰の様子Peopleの田ボラ(チョン ボラ)さんは個人でも優秀賞を獲得した

 表彰式には、審査員を務めたデザイナーの川上俊氏、写真評論家の小林美香氏、写真家のハービー・山口氏もかけつけ、参加者にエールを送った。

「僕はデザイナーという立場から『デザイナーが使いたくなるような写真』を選びました」(川上氏)

「写真を撮るにあたり大事なのは、シャッターを切る前に『何を撮ろうとしているのか』という意思をはっきりさせることです。これからも、何を撮りたいのか、というこだわりをしっかり持っていてほしいと思います」(ハービー・山口氏)

「普段全く接点のない人たちが集まって、互いの写真について話ができるという場があるのは素晴らしいことだと思うし、これをきっかけに交流の場が拡がっていけばと思います」(小林氏)

川上俊氏ハービー・山口氏
小林美香氏

「People」は同じ学校の同級生

 今回は銀座写真選手権のグランプリ受賞チーム「People」の3人に、受賞の感想や作品に対する考え方をうかがった。3人は東京写真芸術専門学校の同級生。「働く人々」をテーマに選び、各自で作品を持ち寄って応募した。銀座写真選手権のために撮り下ろした作品以外に、もともと撮っていたネガから新たに焼いたプリントもあるそうだ。(以下敬称略)

「People」の3人。左から林奎兌(イム ギュテ)さん、田ボラ(チョン ボラ)さん、山口康仁さん応募作品はすべてモノクロで構成した

――写真選手権に出場しようと思ったきっかけについてお聞かせください。

山口:「僕が2人に声をかけたのがきっかけです。2人とは話も合うし、作品もお互いに認め合える仲ということもあって、一緒に出てみようという話になりました」

――この3人で参加しようと思ったのはなぜでしょうか。

山口:「2人とも写真が上手いというのはもちろんですが、こだわりのある作品を見せてくれるというのが決め手ですね」

田:「まず、2人の写真が好きだし、3人ともフイルムで撮っていたので、この3人で何かやってみたら面白いのではないかと思って、参加することを決めました」

林:「以前から一緒に写真を撮っている人は何人かいたのですが、チームで参加するということを考えたときに、この3人の写真が一番合うと思ったので参加しました」

――銀座写真選手権に向けてメンバーが各自の作品を持ち寄ったとのことですが、提出する作品はどのようにして決めたのですか。

山口:「作品のセレクトに関しては、実際に作品をいくつか焼いてみて、1人が焼いたプリントをあとの2人に見せて意見を聞く、といったことを3人で何度も繰り返して、決めていきました」

山口:「セレクトの基準としては、見やすいように、コントラストやトーンを合わせるという点に気を遣いました。作品集はブックにして提出するということだったので、特に写真の順番についてはかなり話し合いましたね」

――作業していく中で、苦労したことはありますか。

林:「これもやはりセレクトの段階で、自分が出したい作品について主張しても、ほかの2人に受け入れられないということがあって、そういう意見のすり合わせが一番苦労した点ですね」

山口:「プリントを作るという部分でいえば、たとえば僕のプリントで一部焼き込むところがあって、『そこはもっと焼き込んだ方がいい』、『いや焼き込まない方がいい』といったふうに言い合いになったこともありました」

Peopleの予選応募作品「達成感」

――今回の「銀座写真選手権」では、自分たちの作品のどういうところが評価されたと思いますか。

林:「『働く人々』っていうテーマは狭いと思うんですよ。でも、同じテーマを3人で撮ったものは、個々の様々な表現というか、様々なイメージが出てきて、それが良かったのではないかと思います。1人ではなく3人だったからこその結果だといえるのではないでしょうか」

山口:「3人で話し合って作品を作り直して行く中で、結果的に1人でプリントしたときより良くなった作品もありますね」

――チームで作品を作るという試みについて、どう思いますか。また、参加して良かったと思うことは何かありますか。

山口:「みんなでひとつのものを作る、ひとつの目標に向かえるというのは、苦労もありますが、その分、達成感もありますね。参加して良かったと思ったことは、自分の写真について意見してもらえるということです。写真って個人の作業ですから、どうしてもひとつの方向に行きやすい。そういった部分を、話し合うことで軌道修正できるというメリットがありますね」

田:「チームだと、自分の弱いところを2人に頼れるというのは感じました。私は自分の写真を誰かに見せるのはあまり好きではなかったのですが、このイベントを通して、全く知らない人に評価してもらえたのはすごく良かったと思います」

林:「僕も自分の至らない部分を2人が手伝ってくれるという点にありがたみを感じました。今まで、自分の作品は自分だけが好きだったのだけど、ほかの人も僕の作品を気に入ってくれるというのがわかって、良かったです」

――みなさんの今後の写真活動についてお聞かせください。

山口:「今制作しているものとしては、本選にも少し出しましたが、電車のシリーズを撮っていきたいです。駅というのは人が行き交う場所で、上京して一番びっくりしたのは物と物がぶつかり合うような空気だったので、そういう雰囲気を撮っていけたら面白いのではないかと思っています」

田:「今回の作品も人物を撮影したものですが、これからも人物を中心に撮っていきたいです」

林:「よくあるような目立つ、素敵な写真ではなくて、たとえば写真家が見たら写真を撮りたいと思うような、歌手が見たら音楽を作りたいと思うような、人を触発するような写真を撮りたいと思います」



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2010/2/25 00:00