オリンパス、「E-P1」とアーティストのコラボレーション企画
オリンパスは10日、レンズ交換式デジタルカメラ「オリンパス・ペンE-P1」とアーティストのコラボレーションWeb企画「OLYMPUS PEN artist's Life Project」のキックオフイベントを南青山ラ・コレッツィオーネで開催した。
OLYMPUS PEN artist's Life Projectは、STUDIO VOICE ONLINEとのコラボレーション | 会場には、E-P1の実機を用意。来場者が操作を体験した |
OLYMPUS PEN artist's Life Projectは、各界の著名アーティスト39名がE-P1を使用した作品やインタビューなどを一堂に集めたWebコンテンツ「artist's Life」を作るプロジェクト。Webサイトのオープンは31日13時。毎週1アーティストを紹介していく。キックオフイベントには多くの参加アーティストが駆けつけ、E-P1の実機にふれたほか、カメラのコンセプトや機能説明などを受けた。なお、参加アーティストの選出はWebサイト「STUDIO VOICE ONLINE」が選出した。
参加アーティストは次の通り(順不同、敬称略)。五月女ケイ子(イラストスプラッター)、秋山具義(アートディレクター)、手塚眞(ヴィジュアリスト)、Chim↑Pom(アーティスツ、6人組)、タナカカツキ(マンガ家)、坪井浩尚(プロダクトデザイナー、デザインディレクター)、しまおまほ(エッセイスト)、下野宏明(ファッションデザイナー)、SUZUKIKE(プロダクトデザイナー)、山下淳弘(映画監督)、デハラユキノリ(フィギュアイラストレーター)、青木淳(建築家)、カンノサカン(アーティスト)、megmuseum(アーティスト、デザイナー)、TONERICO:INC(インテリアデザイナー)、graf(クリエイティブユニット)、稲葉敦志(ゲームクリエイター)、MAYURI(イベント/音楽プロデューサー、DJ)、渡辺祐(編集者)、安齋肇(ソラミミスト)、松尾潔(音楽プロデューサー)、グエナエルニコラ(インテリアデザイナー)、ホンマタカシ(写真家)、トベタバジュン(音楽家)、直塚あゆみ(フードコーディネーター)、GOMA(ディジュリドゥ奏者)、高松聡(クリエイティブディレクター)、珍しいキノコ舞踏団(コンテンポラリー・ダンス・カンパニー)、IMALU、水野美紀(女優)、辻口博啓(モンサンクレール オーナーシェフ)、小野リエ(モデル)、DAISHI DANCE(DJ、サウンドプロデューサー)、佐藤まどか(プロダクトデザイナー)、隈健吾(建築家)、SABU(俳優、映画監督)、藤原ヒロシ(DJ、プロデューサー)、GAMO(東京スカパラダイスオーケストラ)、伊藤香織(建築家、東京ピクニッククラブ)。
■参加アーティストにも好印象のE-P1
キックオフイベントには、artist's Lifeの参加アーティスト30名以上が来場した。そのうち4人にE-P1の印象などを伺った。
手塚眞氏。「ちょうど今月旅行するので、E-P1でいろんなものを撮ってみたいです」 |
「写真は時々遊び程度で撮っているんですが、なかなか上達しなくて(笑)」とは手塚眞氏。「まずはこのカメラを持ち歩いて色々試してみたい。カメラって不思議な物で、こちらが撮りたいと思ってもカメラが撮ってくれないことも多い。“このカメラはこういうのが撮りたいんだな”という、カメラの言っていることがわかるようになるまでしばらくかかるんじゃないかな。(E-P1は)これだけ機能もしっかりしているし、仕事でも使えると思います」と興味津々だ。
手塚氏の専門である動画については、「通常、動画を出先で撮るとなると大がかりな装備が必要になるので、こうしたカメラでハイビジョン撮影ができるといいです。(動画でアートフィルターを試しながら)僕ら映像を作る人間にとっては、作品作りを料理にたとえると醍醐味は撮った後なんです。撮影は買い物の感覚ですね。いい生の素材をどう調理するかが楽しみで、そのときに特殊効果を仕上げとして施します。ですから、“買い物の時にその場で調理してしまう”というのがまだよくわからないですね。ただ、それを使ってみて、逆にどんな物が見つかるのかが楽しみです」とのこと。
「友達と旅行に行ったりしたときに、その場で撮って加工したものを、その場で見て楽しめる。“そのときの気持ちの高揚感を、そのとき表現して見せる”というのが、新しいカメラの使い方なのかもしれないですね。いつも写真って、楽しみは後じゃないですか。そうではなくて、“その場で楽しむためにカメラを使う”という発想になっていくかもしれません。その辺に、映像との新しい付き合い方があるのかもしれないですね」(手塚氏)との考え方を披露した。
ホンマタカシ氏。アートフィルターの使い方や多重露光の仕方などを熱心に質問していた |
ホンマタカシ氏は、「(E-P1は)先ほどちょっと触っただけですが、すごくおもしろそう。早く使ってみたいです」と気に入った様子。気になる機能は? の問いには、「動画ですね」と即答。アートフィルターを使った動画を試しながら、「いいじゃないですか! コマ数が落ちるところがまたいいですね」と話していた(編集部注:アートフィルタームービーのフレームレートは、「ファンタジックフォーカス」と「ラフモノクローム」は6fps、「トイフォト」は2fpsになる。それ以外は30fps)。
広角よりも望遠が好きというホンマ氏。焦点距離が2倍になるため、マウントアダプターでZUIKOレンズを使ってみたいとのこと。「25mm(50mm相当)くらいの単焦点レンズで使ってみたいです。ボディーの色ですか? ホワイトもいいんですが、僕はシルバーにします」
安齋肇氏。「(渡辺祐氏がラフモノクロームで撮った写真を見て)これは森山大道になれる。これで新宿とか撮ったら写真集が一冊できるよ」 |
すでにE-P1を使用しているという安齋肇氏。学生時代には写真をやっていたそうだが、ここしばらくはカメラを手にしたことはほとんど無く、E-P1で写真を再開したとのこと。「もうバリバリ使ってますよ。この間、10分間で200枚くらい撮りました(笑)。夜明けに家に帰るまでの道でずっと撮っていったんです。次の日180枚は消しましたが、すごいおもしろかったです。学生時代を思い出して撮ってます」
安齋氏はハーフサイズが好きで、以前は一眼レフタイプの「PEN F」を愛用。交換レンズ一式を持ってアフリカを訪れたこともあるそうだ。安齋氏の奥さんは写真家で、家には6台ものPEN Fがあるとのこと。安齋氏は、「(E-P1の軍艦部を指しながら)上から見たここ、この感じがいんですよね。PEN Fと機能は全然違うんだけれど、デザインが一緒なのがうれしい。本当だったらPEN Fの花文字が欲しかった。花文字入りのバージョンも出してくれないかなぁ(笑)」と楽しそう。
E-P1では専ら6:6で撮影しているとのこと。「正方形で撮ると、写真がみんなレコードジャケットみたいになって凄い。簡単に正方形の写真が撮れるのがおもしろくて盛り上がります」。今は、アートフィルターの「ポップアート」でいかにポップアートな写真が撮れるかに挑戦しているという。「普段持ち歩いていますが、この重さがまたたまらない。これから色々やっていきたいです」(安齋氏)
渡辺祐氏。「初めに手にしたPENもこのカメラ(E-P1)と同じくらいの重さでした。今回のカメラをペンと名付けた意味がよくわかる気がします」 |
編集者の渡辺祐氏は、「思ったより軽くて、でも、コンパクトデジタルカメラほど小さい感じではなく、持ち物として存在感のあるところが凄くいいと思いました。今は、これだけ写真をやりたがっている人が増えているから、抵抗感のあるサイズじゃないのがいいと思います。一眼レフカメラだとどこにでも持って行くという感じじゃないですね」とE-P1を評価。
「我々は写真のプロではないので、“カメラをどう設定したらこういう写真が撮れる”というイメージがなかなかできないですが、アートフィルターを使った場合でもすぐに結果を見ることができるので、自分の写真の感覚をカメラが引き出してくれる感じが凄くしますね。『こう写るんだったら今度はこうしよう』というアイデアが出てくると思います。一眼レフカメラほど本格的じゃないにしても、自分の中の本気に答えてくれそうなところがいいと思う。そうすると、『もっとレベルの高い写真を撮りたい』と思うようになってくるはず」(渡辺氏)
気になる機能を聞いてみると、アートフィルターの「ラフモノクローム」に惹かれたという。「コントラストの強いモノクロの感じが凄い好きですね。まず。“モノクロで撮ってみたい”と思いました。これで撮ると、写真に存在感があってかっこいい。(テーブルの料理を撮った画像を見ながら)ここは日本じゃ無いみたい(笑)」
「私は1959年生まれでPENと同じです。親にねだって買ってもらった最初のカメラもPENでした。そういう意味では、今回はなにか因縁めいたものを感じますね(笑)」と当時を懐かしんでいた。
■「artist's Lifeを通して写真文化の醸成を」
当日は会場に訪れた多くのアーティストを前に、オリンパスイメージング イメージング事業本部の小川治男副本部長がartist's Lifeの趣旨やE-P1について話した。
オリンパスイメージング イメージング事業本部の小川治男副本部長 | ぺんすなっぷめい作展には、石原慎太郎、遠藤周作、大宅壮一、黒柳徹子、高倉健、中曽根康弘、ハナ肇 、松本清張、棟方志功らが名を連ねている。作品集の表紙は棟方志功の版画だ |
オリンパスでは、初代PEN発売の翌年に当たる1960年に「ぺんすなっぷめい作展」を全国で11回実施した。ハーフサイズであっても、35mmカメラに劣らないことを実物を持って広く一般人に知らしめるのが目的で、当時第一線で活躍していた60人の文化人にPENでの撮影を依頼。「普段なら写される側に立つ人にPENを使ってもらおうという企画だった」(小川氏)。大規模な写真展を開催したほか、非売品ながら作品集も制作している。
オリンパスでは、今回のartist's Lifeをぺんすなっぷめい作展展を現代に甦らせる企画と位置づけており、小川氏は「皆様の手によって、写真文化、カメラ文化の醸成を一緒に盛り上げて行きたい」と話した。
E-P1については、「3日に発売したが、大変なご好評をいただいている」(小川氏)とのこと。「ホワイトカラーはアイキャッチとして用意したものだが、予想以上に売れている」(同)という。
E-P1のデザイン案 | E-P1の海外版CMも上映。「宮崎あおいさんが演じる国内版と全く同じテイストで、E-P1を世界中に広めていくという高い目標を持っている。artist's Lifeもいずれ世界に発信していきたい」(小川氏) |
続いて、同イメージング事業本部デザインセンター プロフェッショナルグループの加瀬賀子課長代理がE-P1におけるユーザーインターフェース(UI)の考え方を解説した。
同イメージング事業本部デザインセンター プロフェッショナルグループの加瀬賀子課長代理 | ライブコントロールは、案3をベースに実装した |
UIについては、写真を撮る楽しみとシンプルで直感的な操作感を念頭に置いて検討を始めたという。その上で、ライブビューを生かし、自分の意志を直感的に伝えることができる「ライブコントロール」を開発したとのこと。「ライブビューを邪魔しないなかにもモノとしての質感を求めたデザインになった。E-P1では、ライブコントロールという新しい価値を提供できたと考えています」(加瀬氏)。
ライブコントロールを実演 |
同DI事業本部SB推進部 市場開拓グループの小松聰子プロジェクトリーダー |
また、同DI事業本部SB推進部 市場開拓グループの小松聰子プロジェクトリーダーが、E-P1のアクセサリーの開発課程を話した。
ストラップ、ケース、バッグなどのアクセサリーで、E-P1の世界観を広げて新しいユーザー層を取り込むため、プロジェクトチームを作り、デザインコンペをして作り上げていったという。
ターゲットとなるユーザー層は、ハイアマチュアのパーソナルカメラといった、従来からのカメラユーザーと、コンパクトデジタルカメラからステップアップを望む女性などの2つを想定して開発を進めたという。アクセサリーのなかでも、茶色のストラップは人気で、現在品切れになっているとのこと。
会場にはデザインの検討過程でできたアクセサリーの試作品を展示していた。参考出品で発売は未定だが、多くの来場者が足を止めていた。
E-P1が想定するユーザー層 | 各チームごとにアクセサリーのデザインを考案していった |
ストラップとボディジャケットのデザインが決定した | 商品化は未定だが、さまざまなアクセサリーの案も |
会場に参考出品(以下同)していたアクセサリー | ボディジャケット |
ラインストーンをあしらったレンズキャップ | さまざまなスタイルのストラップとボディジャケットも展示 |
サードパーティとなる「アクリュ」(Acru)のアクセサリーも展示していた。こちらは、E-P1のためにデザインしたというストラップ(販売中、以下同) | そのほか、カメラケースや編ひものストラップなどもあった |
会場となった東京・南青山のラ・コレッツィオーネ |
2009/7/13 12:50