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ソニー「α7R VI」「FE 100-400mm F4.5 GM OSS」の実機をチェック。進化の理由を聞いてきた

α7R VI。装着レンズはFE 24-70mm F2.8 GM II

ソニーが5月13日(水)に発表し、6月5日(金)に発売するフルサイズミラーレスカメラ「α7R VI」および交換レンズ「FE 100-400mm F4.5 GM OSS」の実機をチェックしてきた。いずれも5月15日から銀座、札幌、名古屋、大阪、福岡天神のソニーストアで発売前先行体験・展示を行う。

左からα7R VI、α7R V(2022年発売)
右手側上面にボタンイルミネーションのボタンが追加。モードダイヤルも小変更。背面のボタンレイアウトと4軸マルチアングル液晶モニターは同様
USB端子がUSB Type-C×2になった
マウント部の側面に標点が付いた(指で示した部分)

キーワードは「決定的瞬間に応える高解像」

α7のRシリーズ

2013年発売の「α7R」でα7シリーズが始まって以来、常に「解像」(Resolution)をテーマに進化を続けてきた“R”シリーズ。今回で6世代目となるα7R VIでは、描写力と機動力にフォーカスしている。

その中心となるのは、新開発された有効約6,680万画素の積層型CMOSセンサーと、画像処理エンジンBIONZ XR2だ。

α7R VIの進化ポイントは多岐に渡る
作品を100%、200%といった倍率で示し、高い解像性能をアピール

高解像度のメリットには、撮影画像を大きく拡大してもディテールが存在し、トリミングの実用性も高い点がある。加えて、ダイナミックレンジの高さもアピール。α7R VIでは最大約16ストップという広いダイナミックレンジを持つ。

また、高い解像性能を手持ち撮影でも発揮するための手ブレ補正を強化。オートホワイトバランスも可視光+IRセンサーを活用し、「α7 V」より高精度化。特に、深い緑の中などマゼンタが乗ってしまいがちなシーンで改善が見られるという。

イメージセンサーの解像性能を生かすために強化された各機能
α7R Vとの比較。ディープラーニング技術による光源推定で、見た目に近い色味が再現されている
2つ並んだ丸のうち、右側が可視光+IRセンサー。これにより、先に光源推定に対応していたα7 VよりもさらにAWB精度が高いという
付属ソフト「Imaging Edge Desktop」の活用で、より高度なRAW記録・処理にも対応
エクステンデッドRAW処理のイメージ

AF機能は、遮蔽物や遠距離、被写体同士の交錯にもより強くなったという「リアルタイム認識AF+」を搭載。AF/AE追随で最高約30コマ/秒のブラックアウトフリー連写も可能となっている。シャッターボタンの全押しから遡って記録できるプリ連写も搭載されていた。

従来モデルのα7R Vはブラックアウトフリーに非対応で、AF/AE追随ではメカシャッターで最高約10コマ/秒か、電子シャッターを使ったサイレント撮影で最高7コマ/秒のスペックだった。解像重視の“R”でもαらしいスピード性能を実現してきたのがα7R VIと言えるだろう。

AF機能の進化ポイント

ちなみにα7R VIの電子シャッター撮影は、ソニーのいう「アンチディストーションシャッター」ではない。その点では「α1 II」といったスピード重視の機種に分がある。

なぜ、積層型センサー機どうしで違いが? “最大16ストップ”を生かすには?

フルサイズでは高速機の「α9」から採用が始まったことから、「積層型センサーなら、もれなくブラックアウトフリーでアンチディストーションシャッターなんじゃないの?」と思った方もいるかもしれない。詳しく聞いてみた。

積層型センサーでも、α1 IIのような機種では「メモリー内蔵の積層型センサー」になっていることがポイントだ。詳しく聞くと、積層型センサーの読み出し自体は高速だが、それを画像処理エンジンに送るときに“交通整理”のような役割が必要で、内蔵されたメモリーがその仕事をするという。メモリーがあることで大量のRAWデータを一時的に溜めつつ、画像処理エンジンの処理状況に合わせて送れるため効率が良く、結果として速いのだという。

α7R VIは積層型センサーではあるもののメモリー内蔵ではないため、画像処理エンジンでデータが渋滞する可能性がある。それが、積層型センサーでありながらα7R VIではアンチディストーションシャッターを実現していない理由だそうだ。

α7R VIが搭載する積層型CMOSセンサー「Exmor RS」と、AI処理機能を内蔵した画像処理エンジン「BIONZ XR2」

ちなみにアンチディストーションシャッターは、正確に言えば何らかの機能やデバイスが“搭載”されているわけではない。電子シャッターでありながらメカシャッター並みにローリングシャッター歪みが抑えられていることを示す言葉で、ソニーが基準を設けている。アンチディストーションシャッターを名乗るかどうかは、ローリング歪みの量、いわば“電子シャッターの幕速”で決まるような感覚と言えばわかりやすいだろうか。

α7R VIはこれらの理由で、積層型センサーでありながらアンチディストーションシャッターのレベルは実現していない。それでも、BIONZ XR2の威力によりローリング歪みは比較的抑えられており、ここに「メモリー内蔵ではなくても積層型センサーを搭載するメリット」があるとのことだった。

なお、フルサイズ以外ではメモリー内蔵でなくてもアンチディストーションシャッターを実現している機種があるため、「メモリー内蔵=アンチディストーションシャッター」というわけでもない。

また、積層型センサーというと「スピード優先でノイズレベルが高いのでは?」というイメージを持っている方もいるかもしれない。それも初代α9(2017年)の世代に比べれば技術が進化しており、いまや問題はないとのこと。改めて、現在の実力を自分の目で確かめてみる必要がありそうだ。

なお、静止画撮影時の「最大16ストップ」という広ダイナミックレンジの恩恵を受けやすいのは、ISO 12800ぐらいまでの低感度域におけるRAW撮影だそうだ。もはやISO 12800が低感度域なのか、という驚きもあるが、これも技術の日進月歩を実感させられるところ。特に暗部階調の豊富さが見どころで、室内から明るい屋外を撮ったようなシーンで、屋内の暗い部分をかなり“持ち上げられる”とのこと。

新バッテリー採用の理由

α7シリーズのユーザーが気になるのは、新バッテリー「NP-SA100」の採用ではないだろうか。近年のモデルで多く採用していたZバッテリーは非対応になった。従来のZバッテリーのままでは高性能化に限界が来ていたからだという。

左からNP-SA100(2,670mAh、7.82V)、NP-FZ100(2,280mAh、7.2V)
別売のバッテリーチャージャー「BC-SAD1」(バッテリーは付属しない)。45W以上のACアダプターと対応するUSBケーブルを用意すれば最高速で充電できる

最大のメリットは急速充電への対応。PD対応チャージャー「BC-SAD1」(別売)を使うと、バッテリー1本を80%まで充電するのに約55分、2本を満充電するまでに約115分だという。加えて、バッテリーの状態(いわゆる寿命)を見られる機能も実現した。

これに伴い、別売の縦位置グリップも新型の「VG-C6」となった。バッテリーが2個入る。

縦位置グリップVG-C6装着例

また、ファインダー(EVF)は約944万ドットというスペックを維持しつつ、α7R Vと比べて約3倍の輝度になり、DCI-P3相当の広色域と10bit階調表示にも対応した。

静止画に強いイメージの“R”でありながら、動画機能もアップグレードされている。最大で7,680×4,320・30pの8K動画や、クロップなしの4K・120p記録に対応。別売のXLRアダプター「XLR-A4」との組み合わせでは、最大96kHzの32bit float録音に対応。32bit float録音とは、編集耐性の高さから実質的に“音割れしない”と言われている方式だ。動画・音声記録の進化点は僚誌AV Watchに詳しい。

XLRアダプター「XLR-A4」とXLRマイクの装着例
動画撮影中を示すタリーランプも備わった
暗所で背面ボタンが光る機能も
α7R VIのマグネシウム合金ボディ

格上げされた新たな“100-400mm”レンズ「FE 100-400mm F4.5 GM OSS」

FE 100-400mm F4.5 GM OSS。装着カメラはα9 III

ズーム全域で開放F4.5通しの望遠ズームレンズ。既に「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」(2017年発売・直販40万400円)があるが、新たな「FE 100-400mm F4.5 GM OSS」(市場推定73万円前後)が上位機種として加わり、併売されるという。

ポイントは、最新性能と進化したAF、機動力も兼ね備えた超望遠レンズであること。「ズーミングしてもシャッター速度を変えたくない」という声からF値固定に取り組み、インナーズームで重量バランスの変化も抑えた。1.4倍、2倍のテレコンにも対応し、テレコン装着時でも周辺まで均質性の高い画質が得られるという。

作品の例
上の画像で囲んだ部分を拡大
テレコン使用時でも周辺までシャープ
背景の玉ボケもG Masterレンズらしい美しさをキープ

ズームリングを幅広にした点もポイント。指一本でも回せるような操作感を意識したという。実際に操作してみると、鏡筒の伸縮を伴わないインナーズームのレンズらしく一定のトルクで細かく操作できた。また、三脚座のフット部分もプロユーザーからの多くの意見を取り入れ、手が痛くない形状にリファインしているとのこと。

新採用の技術としては、新たにED XA(特殊低分散超高度非球面)レンズを用いている。XAレンズとは高精度な金型でボケの輪線を徹底的に抑えたモールド非球面レンズ。これにEDガラスを使いつつ精度を担保するところに難しさがあったという。

これらのプロフェッショナルな要素を盛り込んだことで、いわゆる“100-400mm”のレンズでありながら、超望遠レンズの定番・王道である300mm F2.8のようなクラスに格上げされたのが本レンズの個性だ。

操作パネル
フィルターはドロップイン式
フードを外したところ
マグネシウム合金の部品を多用したことでも軽量化を実現

実写サンプル

体験会場にはいくつかの被写体が用意されていた。

高解像×高速を体験するリボンダンス。照明のフリッカーが出るとしてメカシャッターで撮影。画面内に占める顔の大きさが小さくても、腕やリボンが顔に掛かっていても、問題なくAFが追い続けた
DSC03996.jpg(11.96MB)
DSC04025.jpg(10.73MB)
FE 100-400mm F4.5 GM OSSの解像と前後のボケを試した
DSC02905.jpg(19.01MB)
DSC02891.jpg(17.50MB)
ブツ撮りセット。オレンジにピントを合わせた。絞り込んで手持ち撮影をするため、手ブレ補正が有効だった
DSC09583.jpg(43.40MB)
DSC09589.jpg(42.18MB)

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究