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最新「ライカM EV1」の推奨ユーザーは?/写真家・佐藤健寿氏のファーストインプレッション

ライカカメラ社が10月23日(木)に発表したミラーレスカメラ「ライカM EV1」。発売に先駆けて行われた報道向け内覧会の様子をお届けする。

「ライカM EV1」は、2022年1月発売のデジタルレンジファインダーカメラ「ライカM11」をベースとしたミラーレス機で、Mマウントカメラとして初めてEVFを採用したモデルとなっている。基本性能および各種スペック情報は既報記事を確認されたい。

製品発表会に登壇した、ライカカメラ社副社長 写真・デザイン担当のステファン・ダニエル氏。

EVFの新シリーズ

最大のトピックは先述した「EVFの搭載」につきる。高精細な576万画素のOLEDを採用し、Mマウントカメラとしてこちらも初めてのこととなる視度調整ダイヤルも搭載した。

色も含めて、カードに記録される画像そのものを確認しながら撮影できる点を強調。ミラーレスカメラとしての特徴であり、これまでのM型レンジファインダーカメラではなしえなかったことだ。

なお、これまでの光学ファインダーを代替するものではなく、あくまでも新シリーズとして展開することにも言及。光学ファインダーモデルも継続するとのこと。

マニュアルフォーカス機となるためピント合わせは“自力”で行う必要があるのだが、その点をサポートする機能もしっかり盛り込んだ。

コントラストの高い部分を赤くハイライトする“ピーキング機能”と、画面を1.3倍または1.8倍に拡大してピントを確認できる“拡大表示機能”だ。

撮影をサポートする各種機能
拡大表示機能を搭載
拡大表示機能で画面周辺を拡大しているとき、ワンボタンでフレームを中央に戻す機能も備えている

“ダイヤモンドパターン”

改めて外観を見てみる。ファインダー窓がなくなった様子は、これまでのレンジファインダーカメラとは大きく表情が異なるように思える。外形寸法はベースモデルのライカM11と同じとのこと。

外装にはQやSLシリーズに使われていたダイヤモンドパターンのレザーを採用している。言われてみると、手にしたときどこか既視感を覚えたような気がする。

ボディ前面のマウント部脇にはFnレバーを備えている。ここには、前出のフォーカスサポート機能も割り当てられる。左上にある黒い窓のようなものは、セルフタイマーランプだ。

背面のシンプルな操作系は、これまでのM型カメラシリーズのコンセプトを踏襲しているようだ。

写真家・佐藤健寿氏もインプレッション/「誰に向いたカメラか」

発表会には、写真家の佐藤健寿氏も登場。スリランカや沖縄を舞台に、普段使いの「旅の中」でライカM EV1を試用した感想を語った。

使用感についてはライカM11である程度慣れていたため、最初から大きな違和感はなかったという佐藤氏。電源を入れればすぐにEVFで撮影できる点はとてもシンプルで驚いたが、使っているうちに「やっぱりMだな」という不思議な感覚があったのだとか。

佐藤氏はEVF搭載によるメリットとして、パララックスがないことにも言及。構図についてレンジファインダーでは感覚に頼っていた部分もあったが、EVFではシビアに追い込んで撮れる。ファインダーに写るものがそのまま撮れるメリットを実感したという。

写真家・佐藤健寿氏

フォーカシングの補助機能としては、主に拡大表示を活用したという佐藤氏。ノクティルックスの75mmレンズを例に出し、ピント合わせが非常にシビアなレンズでも、旅に持っていきやすくなったと感じたそうだ。

そのほか、元来レンジファインダーカメラと相性が良いとは言いにくい、広角であったり望遠レンズに関しても、非常に使いやすくなったと佐藤氏は語る。オールドレンズなどの組み合わせも、最新技術により使いやすくなるのではないかと言及した。

話はライカM EV1を推奨するユーザー像に及んだ。

まずは従来のMマウントカメラユーザー。レンジファインダー機に50mmなどの常用レンズをつけ、ライカM EV1には今まで使うのをためらっていた超広角や望遠レンズつける「いいとこ取り」をする使い方だ。

そして初心者。いきなりレンジファインダー機を触るよりも、ライカM EV1の方が“入りやすい”のではないかと。ライカチャレンジの1台目としておすすめした。

最後に触れたのは“視力が低下してきた人”。EVFで見やすさを担保できるうえ、494gと軽量な点も、同じくEVFを採用するSLシリーズなどより選びやすいかもしれないとのことだった。

最後は「つまり全世代」に推奨すると話を締めた
本誌:宮本義朗