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ライカMシリーズ初のEVF内蔵機「ライカM EV1」。ライブビュー撮影専用のMマウントカメラ

ライカカメラジャパン株式会社は、ライカMマウント採用のミラーレスカメラ「ライカM EV1」を11月1日に発売する。直販価格は10月24日(金)10時00分に公開される見込み。

デジタルレンジファインダーカメラ「ライカM11」の基本性能をベースに、光学式のファインダーをEVF(電子ビューファインダー)に置き換えている。EVFまたは背面モニターのライブビュー画面でピントを見ながらフォーカシングして撮影する。距離計も省略した。

ライカカメラ社では、被写界深度の浅い大口径レンズのピント合わせや、超広角・望遠レンズを使った場合のフレーミングしやすさにメリットがあるとしている。また、視力に左右されず、より信頼性の高い快適なピント合わせを可能にするという。

576万ドットのEVFを内蔵

同社によると、本機は従来のM型ライカを置き換えるものではなく、並行する新シリーズのカメラとして展開。ファインダーがEVFになったことで軽量化され、ライカM11のブラックと比べて本体重量が42g減少。レンズを除く撮影時重量で500gを切る約484gとなった。本体の幅、高さ、厚さはライカM11と同じ。

ライカM11譲りの基本性能

イメージセンサーは35mmフルサイズ、6,030万画素、ローパスフィルターレスの裏面照射型CMOSセンサー。画像処理エンジンはMaestro III。DNGの記録サイズを6,000万画素、3,600万画素、1,800万画素の3通りから選べる「トリプルレゾリューション技術」を搭載している。

保存先はSDカードスロットと64GBの内蔵メモリー。Bluetooth、Wi-Fi、USBケーブルによりスマートフォンアプリ「Leica FOTOS」と連携し、撮影転送やリモート撮影が可能となっている。

また、ライカM11-PやライカM11-Dと同様、コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)の規格に準拠したライカコンテンツクレデンシャル機能に対応し、改ざん不可能なデジタル署名を撮影画像に付与できる。

ライカMレンズならではのMFアシストも

本機はM型ライカの基本となる二重像合致ではなく、ライブビュー画面でピントのヤマを見ながらマニュアルフォーカシングを行う。そのためのアシスト機能として、ミラーレスカメラに広く搭載されているフォーカスピーキングとライブビュー拡大表示機能が備わっている。

拡大表示機能はボタン操作で呼び出すほかに、フォーカシング時にレンズの繰り出しを検知する「オート」が設定可能。マウント内部にM型ライカと似たアーム(コロ)が備わり、レンズのフォーカスリングを動かすとカムの動きを検知。フォーカシング中と判断して、自動的にライブビュー表示を拡大する。ライブビュー搭載のM型ライカにも備わっていた機能だ。

見慣れたデザインを生かした機能配置

本体前面に備わるレバーは、左右方向にそれぞれ機能を割り当てられるFnレバーとなった。通常のM型ライカではファインダー内に表示されるブライトフレームを切り替えるプレビューレバーとして使われている。

また本体正面の左上には、距離計の窓のような形でセルフタイマーランプが備わる。これも通常はファインダー下部に備わっていたため、光学ファインダーの省略に伴って移設された。

距離計窓のディテールをセルフタイマーランプに流用

そのほかの各部スペック

EVFは576万ドットの有機EL。倍率は0.76倍。-4dpt〜+2dptの視度調整機構が備わる。背面にはタッチパネル式の2.95型モニターが搭載され、EVF横のアイセンサーで表示先が自動的に切り替わる。

測光はライカM11と同様に、イメージセンサーを使ったTTL方式。スポット、中央重点、多点、ハイライト重点のモードが選べる。

バッファメモリーは3GB。

バッテリーはライカM11用と同じBP-SCL7。CIPA基準での撮影可能枚数は、背面モニター使用時で約244枚、EVF使用時で約237枚。USB Type-C端子からの充電・給電に対応する。

別売のハンドグリップ。ライカM EV1の外装に見られるダイヤモンドパターンとマッチしている
底面はフタが開く仕組み。フィンガーループも装着可能
  • イメージセンサー:35mmフルサイズ、裏面照射型(BSI)CMOSセンサー、9,528×6,328(6,030万画素)
  • プロセッサー:ライカ マエストロ シリーズ(Maestro III)
  • EVF:576万ドット、60fps、倍率0.76倍、視野率100%
  • 背面モニター:2.95型、233万2,800ドット
  • シャッター速度:フォーカルプレーン60分~1/4,000秒、電子60秒~1/16,000秒
  • 感度:ISO 64~ISO 50000
  • フラッシュ同調速度:1/180秒
  • バッテリー:ライカ BP-SCL7
  • 撮影可能枚数:約244枚(モニター使用時)、約237枚(EVF使用時)
  • 外形寸法:約139×80×38.5mm
  • 質量:約484g(バッテリーあり)、約402g(バッテリーなし)

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究