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1,100年に1度の撮影チャンス/「レモン彗星」が10月21日に最接近

提供:国立天文台

2025年1月に発見されたLemmon彗星(レモン彗星)が、10月下旬から11月上旬にかけて観察の好機を迎える。国立天文台によると、最も明るくなる時期の等級は3~4等程度と予想され、条件が良ければ肉眼での観察も期待できる。カメラで彗星の姿を捉えるチャンスとなりそうだ。

レモン彗星は2025年1月に、米アリゾナ州のLemmon山天文台で発見された。当初はそれほど明るくならないと予想されていたが、8月中旬に急増光。現在では肉眼で見える可能性がある明るさまで達することが期待されている。

彗星の地球への最接近は、10月21日(火)の10時00分頃(日本時間)。これらの条件を考慮すると、10月下旬から11月上旬が最も観察しやすい時期になるという。

観察のポイント

10月中旬

東の空で観測可能としている。明け方と夕方の1日2回観察チャンスがあるものの、地平高度が低く観察は困難としている。望遠鏡や双眼鏡の使用が推奨される。

日の出1時間前(東京の場合)
日付時間方位と地平高度明るさ
10月17日(金)4時49分北東19°4〜5等
10月19日(日)4時51分北東13°4〜5等
日の入り1時間前(東京の場合)
日付時間方位と地平高度明るさ
10月17日(金)18時03分北西12°4〜5等
10月19日(日)18時01分西北西15°4〜4.5等

10月下旬~11月上旬

夕方の西の空で観察が可能。10月23日(木)から11月2日(日)までは日の入り1時間後の地平高度が20°以上を保ち、観察好期となると予想される。明るさは3~4等程度で、よく晴れた暗い場所では肉眼でもぼんやりとした姿を確認できる可能性があるという。

日の入り1時間前(東京の場合)
日付時間方位と地平高度明るさ
10月21日(火)17時58分西北西18°3.5~4.5等
10月23日(木)17時56分西北西20°3.5~4.5等
10月25日(土)17時54分西22°3.5~4.5等
10月27日(月)17時51分西22°3~4等
10月29日(水)17時49分西22°3~4等
10月31日(金)17時47分西22°3.5~4.5等
11月2日(日)17時45分西南西20°3.5~4.5等
11月4日(火)17時43分西南西19°3.5~4.5等

11月中旬以降

彗星が太陽と地球から遠ざかり、徐々に暗くなる。地平高度が低く観察は困難という。

日の入り1時間前(東京の場合)
日付時間方位と地平高度明るさ
11月6日(木)17時41分西南西17°3.5~4.5等
11月8日(土)17時40分西南西15°4~4.5等
11月10日(月)17時38分西南西14°4~5等
11月12日(水)17時36分西南西12°4~5等
11月14日(金)17時35分西南西10°4.5~5等
11月16日(日)17時34分西南西8°4.5~5.5等

尾が伸びた状態で撮影できる可能性も

適正な設定をしたカメラでは、彗星の姿を写すことができそうとのこと。特に10月下旬から11月上旬にかけては、彗星の尾が伸びることも期待されている。

デジカメ Watchでは、約1年前の2024年10月に観測された「紫金山・アトラス彗星」の撮影テクニックを紹介した記事を公開している。ぜひ参考にしてほしい。

観察には双眼鏡や望遠鏡の使用が推奨されるが、十分に暗い場所での観察なら肉眼でも確認できる可能性がある。まずは双眼鏡で位置を確認してから肉眼で探すと見つけやすくなるという。

レモン彗星は撮影された写真では緑色っぽく写る特徴がある。これは彗星に含まれる炭素成分が分解した生成物によるもので、淡い光を蓄積できる写真では見た目以上に色鮮やかに写し出される。今後太陽に近づくにつれ、ダストの放出により白っぽい色に変化していく可能性もある。

次回は1,100年後

レモン彗星は細長い楕円軌道を描いて公転しており、公転周期は1,000年以上の長周期彗星に分類される。前回の太陽接近は約1,300年前、次回は約1,100年後と推測されており、現世代にとっては一生に1度の観察機会となる。

本誌:佐藤拓