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「EOS C50」「RF85mm F1.4 L VCM」「IXY 650 m」発表会レポート
7K60p対応の小型動画カメラと中望遠Lレンズ コンパクトデジカメも
2025年9月12日 07:00
小型になったCINEMA EOS「EOS C50」
業務用動画カメラとして展開している「CINEMA EOS」シリーズのボトムラインに投入されるのが「EOS C50」だ。RFマウントで35mmフルサイズセンサーを搭載する。
上位モデルの「EOS C80」などよりも小型のボディを採用し、ドキュメンタリー、ウェディング、イベント記録といった用途に向ける。発売は11月下旬で、直販価格は55万4,400円。
こうした用途では昨今ローバジェット化が進み、少人数での制作が増えているという。EOS C50は小型ボディを採用することや音声入力を充実させることで、特にワンオペのユーザーをターゲットにするとしている。
同社によると、ローバジェット分野でも映像としてはシネマライクなものが求められる傾向があるため、シネマカメラの需要が高まっているという。
こうした小型シネマカメラはすでに市場にあるが、カメラ内RAW記録、オープンゲート記録、縦動画に対応したクロップ同時記録、コントローラー付きの同梱ハンドルなどで差別化を図るとしている。
シネマカメラでもRAW記録に外部レコーダーが必要な機種もあるが、本機は7K60pをRAWで内部収録が可能となっている。また4K記録時も7K解像度からオーバーサンプリングすることで高精細な撮影ができるとする。
オープンゲート記録は、3:2のイメージセンサー全面を使って動画を記録できる機能。CINEMA EOSでは初めての機能となる。従来、3:2のセンサーのうち例えば16:9エリアしか使っていなかったところを、イメージセンサー全面を使うことで上下に余裕ができ、編集時のフレーミング調整に余裕が生まれる。アナモフィックレンズの使用も想定しているとのこと。
加えて、縦動画または正方形動画と横長の動画を同時に記録できる「クロップ同時記録」機能も初めて搭載した。本編は横長で記録しておき、SNSには縦動画を掲載したいといった場合に便利だとする。メディアスロットはCFexpress Type BとSDメモリーカードのデュアル仕様だが、クロップ同時記録の画像はそれぞれ別のスロットに記録することもできる。
一般的なミラーレスカメラ同様のグリップを備えており、しっかりホールドできる。持った印象は見た目ほど重さは感じず、小型のボディと相まって取り回しはしやすそうに思った。
同梱のハンドルユニットは録画ボタンやズームスイッチなども備えている。他のCINEMA EOSシリーズのハンドルにはこうしたコントロール機能は付いていないそうだ。
ハンドルを持ったまま、その手で録画の開始/停止などができるため、業務用ビデオカメラのような操作性が実現されていた。ズームレバーもハンドルと本体では別々のスピードを割り当てられる。
ハンドルユニットにはXLR端子の2チャンネル音声入力機能が搭載されている。ラインとマイクのレベル切り換えができ、ファンタム電源も供給できる。録音レベルのマニュアル調整ボリュームも備えるなど、この辺りも業務用ビデオカメラ同様の仕様になっている。
本体上部には1/4ネジ穴が2カ所あるほか、ハンドルユニットにはアクセサリーシューと1/4ネジ穴が1つずつある。そのため同社によると、リグを組まずともある程度の拡張性があるとしている。
なお、動画向けのレンズ交換式カメラとしては「EOS R50 V」が5月に発売されている。EOS R50 VはミラーレスカメラのEOS Rシリーズであり、またAPS-Cサイズセンサーを搭載していることから、キヤノンではこれから初めて本格的に動画を撮りたい一般の人にはEOS R50 Vを勧めるとのこと。
一方、プロなど高度な使い方が必要な場合は、EOS C50が向くというすみ分けができるとする。
中望遠の定番に…「RF85mm F1.4 L VCM」
35mmフルサイズ対応のRFレンズで、85mmの大口径中望遠タイプとなっている。発売は9月27日(土)。直販価格は23万6,500円。
85mmの単焦点RFレンズとしては、これまでに「RF85mm F1.2 L USM」、「RF85mm F1.2 L USM DS」、「RF85mm F2 MACRO IS STM」が発売済みだった。F1.2タイプとF2タイプの間を埋めるのが本レンズになる。
85mm F1.4はポートレート撮影用の定番レンズとして、各社が特に性能を競うジャンルでもある。RF85mm F1.4 L VCMではUDレンズで色収差を抑制したり、非球面レンズによって画面全体の高画質化を実現したとしている。それにより、プロなど高度な使い方にはEOS C50が向くというすみ分けができるとする。ƒ
また今回、手ブレ補正機構は非搭載ながらEF85mm F1.4L IS USMに比べて約33%の軽量化を実現した。並べて見ると一回り小さく見える。
本レンズは、外観を統一した「F1.4シリーズ」に加わる1本だ。ジンバル搭載など動画でも使いやすいようにフィルター径を67mm、長さを約99.3mmに共通化してある。
このシリーズは20/24/35/50/85mmの5本が揃ったが、広角側に新レンズが追加されることも同日発表された。
若者向けにコンデジを再登板
コンパクトデジタルカメラ「IXY 650 m」は12倍ズーム搭載のコンパクトカメラ。発売は10月下旬で、直販価格は5万5,000円。
昨今、若年層の間ではコンパクトデジカメでの撮影が流行しており、中古品を求める姿もしばしば話題に上がる。コンパクトデジカメの国内出荷台数は2024年から増加に転じ、2025年も増加が見込まれている。
そうした需要をメインにしたのがIXY 650 mとなる。基本スペックは2016年発売の前モデル「IXY 650」を踏襲している。IXY 650は生産を終了し、市中在庫もなくなりつつあったとのことだが、昨今の需要に応えて実質的な再登板という形になった。
IXY 650との主な違いは、上面の機種名表示、SDカードからmicroSDカード対応への変更、Wi-FiでのPC転送やPictBridgeでのプリント機能の省略などが挙げられる。
イメージセンサーは1/2.3型高感度CMOS(裏面照射型)で、画素数は約2,020万。レンズは35mm判換算25-300mm相当の光学12倍ズームとなっている。
バッテリーとメモリーカードを含む重量は約146g。軽量なため、メインターゲットの若年層以外でもスマートフォンでは難しいズーム撮影ができる軽量カメラとしてもおすすめできるとのことだ。