キヤノン、Inter BEE 2011でEFマウントの新シネマレンズを参考出品
Inter BEE 2011(国際放送機器展)が、16日に幕張メッセで開幕した。ここではデジタルカメラ関連の展示をお伝えする。
会場の幕張メッセ | 会場の様子 |
Inter BEEは、業務向け映像および音響機器に関する国内最大のイベント。会場は千葉県の幕張メッセ。期間は11月16日~11月18日。時間は17日が10時~17時30分、18日が10時~17時。入場料は無料(登録制)。主催は社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)。
■未発表のシネマレンズを参考出品したキヤノン
キヤノンのブースでは、シネマ用EFレンズ4本を参考出品していた。いずれも2012年に発売するが、価格や詳細なスペックは未定。新レンズは単焦点レンズが2本とズームレンズが2本。
キヤノンブース | 今回初めて展示したシネマ用EFレンズ4本 |
単焦点のシネマレンズは24mm、50mm、85mmをすでに発表しているが、今回の新レンズは24mm以下の広角レンズと85mm以上の望遠レンズになるという。また、新しいズームレンズは、発表済みのトップエンドズームシリーズより廉価なシリーズになるという。この2本のズームレンズで広い画角をカバーできるようになるとする。
参考展示の単焦点レンズ | 参考展示のズームレンズ |
キヤノンブースには、2012年3月下旬に発売するデジタル一眼レフカメラのフラッグシップモデル「EOS-1D X」も展示してあった。録画操作は試せるが、今回は動画機能の展示とあって、連写も含めた静止画の撮影は行なえない。
動画用のセッティングで展示されていたEOS-1D X |
静止画撮影を試すことはできない |
2012年発売予定の4K動画対応デジタル一眼レフカメラもケース内に展示されていた |
4日に発表したデジタルシネマカメラ「EOS C300」も多数実機が並んでいた。シネマレンズや既存のEFレンズで撮影を体験することができる。トップエンドズームレンズは、国内の新製品発表会でも実機展示がなかったものだ。
トップエンドズームレンズの2本も試せる |
単焦点のシネマレンズも用意 | EFレンズで試せるEOS C300もあった |
■デジタル一眼レフカメラをウエストレベルで構えられるファインダー
韓国BARAVON(バラボン)は、デジタル一眼レフカメラのライブビューをウエストレベルで見ることができる「PRO FINDER」を出品していた。12月の発売で3万円ほどになるという。
PRO FINDERを装着したところ | 真上からライブビュー映像を見ることができる。左右は反転していない |
液晶モニターの映像を上向きに表示する装置。ローアングルでの撮影などがやりやすくなるという。電源は不要。キヤノンEOS 5D Mark II、EOS 7D、ニコンD7000用などを用意する。
後部には3倍のルーペ付ファインダーも備えており、ウエストレベルと排他利用でストレート型としても使用できる。カメラの三脚ねじ穴を利用して装着する。
蓋を閉じるとルーペ付のファインダーとしても使える |
■マンフロットは小型のLEDライトなどを展示
マンフロットではデジタル一眼レフカメラにも適するという動画用三脚の新製品「MVK502AM」を参考出品していた。2012年1月の発売で、価格は未定。既存の「504HD」の下位モデルに当たる。
MVK502AM |
MVK502AMは、カメラを安定して保持できるという「ブリッジングテクノロジー」やアクセサリーを装着できる「イージーリンクコネクター」などを上位モデルから継承。カウンターバランスやドラッグ機構も備える。
また、カメラのホットシューに装着できるLEDライト(名称未定)を参考展示していた。価格や発売日は未定。同社が扱っているライトパネルズ社のLEDライトよりも安価になるという。LEDの個数別で5モデルを用意する。ライト同士を接続できる機能も有する。電源は乾電池。
マンフロットブランドのLEDライト。複数を繋げることもできる | こちらは最も小型のタイプ |
■ザハトラーで最も安い動画用三脚
ザハトラー・ジャパンは、デジタル一眼レフカメラなどに適したエントリー向け三脚「Aceシリーズ」を展示した。発売は2012年1月。雲台「Ace M」(75mmボール)、アルミ製脚、バッグのセットパッケージのみ用意する。価格は9万4,500円で、グランドスプレッダー仕様とミッドスプレッダー仕様を選択できる。
Ace |
これまでのラインナップでは最も安価な雲台でも9万円近くだったが、Aceは脚などもセットで価格を抑えた。ザハトラーを使いたいが、高価で手が出なかったという人などに向けるという。
耐荷重は最大3.5kg(重心高75mm時)。5段階のカウンターバランス(フリー含む)と3段階のドラッグを備える。新採用の「SA-ドラッグ機構」を搭載するのが特徴。既存の同社製三脚のフィーリングに近づけながらも、価格を抑えることができるという。
雲台部分。コストを抑えるために外装を樹脂にしているが、グラスファイバー入りで強化しているという | デジタル一眼レフカメラを搭載したところ |
カメラプレートは104mmの移動幅を持つ。使用温度範囲は-30~60度。全高は173cm、最低高は57cm、縮長は87cm、重量は4.6kg(いずれもグランドスプレッダー仕様の値)。
■比較的低価格の動画用三脚を展示した昭特製作所
放送用の三脚やペデスタルが主力の昭特製作所は、積載重量2~4kgのデジタル一眼レフカメラでも使える動画用三脚「SP20」(2万5,000円)、「SP40」(4万7,000円)を展示していた。ともに5月に発売した。
SP20 | SP40 |
いずれも同社のエントリークラスに当たる。カウンターバランスとドラッグの強さを固定とすることでコストを抑えた。ただ、国産の内部機構を使うなどしており「故障が起きにくい」(説明員)のが特徴だとする。ともに雲台、3段アルミ脚、バッグがセットになっている。
SP20の雲台部分 | SP40の雲台部分 |
SP20は、2~3kg以下のシステムに対応する最廉価なモデル。全高1,510mm、最低高674mm、縮長775mm、重量3.5kg。ボール系は60mm。SP40は、2~4kg以下のシステムに対応するSP20の上位版。全高1,570mm、最低高740mm、縮長862mm、重量4.5kg。ボール系は60mm。
■雲台や壁などに取り付けられるスライドプレート式クイックシュー
リーベック(平和精機工業)では、アダプタープレート「AP-5」を参考出展していた。発売は2012年2月で、価格は9,450円。クイックシューシステムのシューとプレートのセット。
AP-5。シュープレートの抜け止めロック機構も備える |
既存の雲台やリグなど三脚ねじ(1/4インチ、3/8インチ対応)のあるものにベースプレートを装着して使用できる。プレートは前後に80mm移動できるためリグなどに装着した際に、バランスを取るのが容易だとする。ベースプレートの側面には1/4インチと3/8インチのねじ穴があり、アクセサリーアームなども装着可能。また、ベースには4つの穴があり、木ねじで壁などに取り付ける、といった使い方もできるという。シュープレートは同社の雲台RSシリーズとも共通。
裏面に三脚用ねじ穴を装備 | ベースプレートには4つの穴があり板などに取り付けられる。予備のカメラネジも備える |
■プロ機材ドットコムはローポジション撮影対応の小型ドーリーなどを出品
地面を這うような動画を撮影できるという「ミニドーリースライダー」(TMD-119)。価格は1万9,740円で、15日から発売している。
ミニドーリースライダーの操作風景。ポールの操作で自在に走行できる | カメラの搭載例 |
デジタル一眼レフカメラなどを載せられる台車と付属のポールを組み合わせて、押したり引いたりしてローポジションの動画を撮影できる。ポールを回転させると台車の舵が切れる。狭い場所でも自在に走れるという。ポールの長さは2m。
低価格だというデジタル一眼レフカメラ向の「スモールジブアーム」も15日に発売した。価格は4万6,200円。小型クレーンの一種で、三脚の雲台に装着して使用する。アームの高低差は150cm。高さを変えてもカメラの角度は水平を保てるほか、マニュアルでチルトすることもできる。カメラの取り付けはクイックシュー式。ウエイトは別売。
スモールジブアーム |
■EFレンズの絞りを動かせるマウントアダプターの実機を置いたライトアップ
マイクロフォーサーズのボディでEFレンズの絞りを動かせるマウントアダプター「LiveLens MFT Active Lens Mount」をデモしていた。価格は6万8,355円で、21日に発売する。
LiveLens MFT Active Lens Mountを介して、AG-AF105にEFレンズを装着したところ | コントローラー部分に絞り値が表示される。絞りは2つのボタンでコントロールする |
EFレンズの電磁絞りを1/3段ステップで任意に設定できる。絞り値は液晶パネルに表示される。ライトアップでは、既にEFマウントを所有しているユーザーに向くのではないかとしている。電源は9Vのバッテリー(006P)。会場ではマイクロフォーサーズマウントのデジタルシネマカメラ「AG-AF105」に装着していた。
またフジヤカメラ店のブースではLiveLens MFT Active Lens Mountを介して、EFマウントのシグマ製超望遠ズームレンズ「APO 300-800mm F5.6 EX DG HSM」をAG-AF105に装着していた。シグマ製ながらEFマウントのため絞りを動かすことが可能だった。
APO 300-800mm F5.6 EX DG HSMでの使用例 | コントローラー部分 |
望遠端(35mm判換算1,600mm相当)では、遠くにある模型の車両を画面いっぱいに写すことができる |
なおこれらライトアップとフジヤカメラ店はInter BEEには出展しておらず、幕張メッセの国際会議場(コンベンションホールB)で行なわれているパナソニックのテクニカルスイート会場に出展している。同スイートは誰でも入場可能。
パナソニックテクニカルスイートの入り口 |
■MTF ServicesもEFレンズの絞り制御対応マウントアダプターを予告
インテックスでも、キヤノンEFマウントのレンズを装着して、絞りを動かせるマウントアダプターを展示していた。メーカーは英MTF Services。ソニーEマウント用、マイクロフォーサーズ用、ソニーPMW-F3(デジタルシネマカメラ)用をラインナップする。現在開発中だが、年内の発売を目指しているという。価格はマウントアダプターが10万円、コントローラーが20万円。
MTF Servicesses製のマウントアダプターでソニーPMW-F3にEFレンズを装着したところ。PMW-F3のPLマウントは取外してある | コントローラー部。ダイヤルで絞りを調節する |
EFマウントの電磁絞りをコントローラーのダイヤルで調節できる。絞り値のほか、焦点距離もコントローラーに表示される。
■寒冷地向けデジタルカメラ保温バッグを展示したポータブレイス
三友ブースでは、米ポータブレイスの「デジタル一眼レフカメラポーラベア」(POL-DSLR2)を展示していた。価格は4万3,600円。10月に発売した。気温の低い場所でカメラを暖めておけるというバッグ。低温下でカメラが動作しなくなるのを防げるという。
デジタル一眼レフカメラポーラベア | 内部。使い捨てカイロもいくつか付属する |
内部に使い捨てカイロを入れて使用する。ミラーファブリックと呼ばれる内装により熱が内部で反射し、保温できるという。腕が入る袖も備える。
キヤノンEOS-1D系、ニコンD3系、ハッセルブラッドH4Dシリーズ、マミヤ645DFといった大きめのカメラから、パナソニックLUMIX DMC-GH2といったカメラまで対応する。
■フォステクスのミキサー内蔵レコーダーも実機を展示
銀一のブースでは、発表済みのフォステクス製ミキサー内蔵レコーダー「DC-R302」を展示していた。発売は2012年1月上旬で価格は9万9,750円。
DC-R302 | 録音レベルも液晶パネルで表示できる |
入力端子 | 出力端子 |
3チャンネルのアナログミキサーとデジタルレコーダーを組み合わせたもので、レコーダーに接続したマイクの音声を記録できる。DC-R302はフォステクスと銀一の共同開発によるもので、今回は銀一ブースに展示しているという。
ワイヤレスレシーバーを加えた3チャンネルでのセッティング例 |
■アツデンは2チャンネルのデジカメ用ミキサーを展示
放送用のマイクやミキサーを手がけているアツデンは、デジタルカメラ用の2チャンネルミキサー「FMX-DSLR」を展示していた。2012年夏の発売で、価格は5万2,500円。
カメラに装着したFMX-DSLR |
カメラの三脚穴を利用してカメラに直付けできるミキサー。入力はXLR×2または3.5mmステレオジャック。出力は3.5mmステレオジャックと3.5mmヘッドホンジャック。ファンタム電源も供給できる。
カメラの自動録音レベル調整機能(AGC)をキャンセルし、録音レベルを一定にできるAGC無効化機能も備える。同機能ON時は出力に20kHz、-50dBuの信号を流すことで、AGC機能を“騙す”仕組み。
端子部分 | コントロール部分 |
ミキサー本体の底面に三脚穴を備える。電源は単3電池×4本。連続使用時間は15時間以上(アルカリ乾電池、ファンタム電源OFF時)。サイズは105×105×44mm、重量は375g。
■ドイツB+Wのフィルターはコーティングがリニューアル
ケンコー・トキナーブースでは、シュナイダー・クロイツナッハが展開するドイツB+Wのフィルターのリニューアル品を展示していた。発売は2012年春で価格は未定。
MRC nanoコーティングになったフィルターの一例。左はプロテクトフィルター、右はPLフィルター | こちらはNDフィルター。左はND64、右はND100 |
新製品はコーティングを従来の「MRCコーティング」から「MRC nanoコーティング」に変更。防湿、防塵性能を高めたほか、透過率の向上や細かいキズか付きにくいといった特徴を備える。プロテクトフィルター、PLフィルター、NDフィルターなどを揃える。フィルター径も各種ラインナップする
また、同じくB+WのNDフィルターにND64とND1000が加わった。これらはケンコーブランドでもラインナップしていない減光量となっている。発売は同じく2012年春で、価格は未定。
2011/11/17 14:13