自作イベント「Make:Tokyo Meeting 05」に“手ブレ増幅装置”や“猫カメラ”が登場


 オライリー・ジャパンは22~23日にかけて、DIY、電子工作、サイエンスなどの自作イベント「Make:Tokyo Meeting 05」を東京工業大学大岡山キャンパス(東京都目黒区)で開催した。

Make:Tokyo Meeting 05の会場となった東京工業大学大岡山キャンパス会場の様子

 同イベントは、オライリー・ジャパンが刊行してしているハードウェアハッキング雑誌「Make: Technology on Your Time」の世界観を表現する人々の発表、交流の場として企画したもの。180近い個人および団体が出展したほか、各プレゼンテーションやワークショップも開催した。

 ここではデジタルカメラ関連の展示として、「上原ゼンジ写真実験室」と「猫カメラ」(Fenrir's Blog中の人)の2つを紹介する。

上原ゼンジ写真実験室

 自らを“実験写真家”と呼ぶ上原ゼンジ氏は、レンズの自作を始めさまざまな写真技法を試してこれまでにWebサイトや書籍で発表している。

 上原氏のブースでは、「宙玉(そらたま)レンズ」、「手作り蛇腹レンズ」、「手ブレ増幅装置」を展示。来場者が自由に操作を試すことができた。

宙玉レンズ「AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G ED VR」と組み合わせたところ

 宙玉レンズは、中央にアクリル球の付いた透明の板をポテトチップスの円筒容器に取付けたレンズ。アクリル球に写った広角レンズ的な映像が中央にあり、その周りは大きくぼけた不思議な写真が撮れる。アクリル球に映る映像にピントを合わせるため、カメラにはマクロレンズを装備しておく必要がある。一眼レフカメラで標準ズームレンズを使用する場合には、近距離にピントを合わせることができるクローズアップレンズを間に挟めば問題ない。コンパクトデジタルカメラにも応用できる。レンズ部分の販売も行なっていた。

アクリル球にピントを合わせるため、クローズアップレンズを挟んでいる宙玉レンズの撮影例

 手作り蛇腹レンズは、手作りの蛇腹にレンズとマウントを備えた交換レンズ。ピント合わせは蛇腹の長さで調節する。光軸をティルトさせることも可能だ。レンズには100円ショップで売っているおもちゃの双眼鏡などのレンズを使用する。「きちんとした光学レンズではないので、かえって収差のある描写が楽しめる」(上原氏)。マウントは各カメラのボディキャップに穴を開けて使用するため、ほとんどのレンズ交換式カメラに対応できる。ブースでは、蛇腹の折り方講座も実施していた。

「D100」に装着した手作り蛇腹レンズ蛇腹を動かすことで、さまざまな描写が可能
マウント部分はボディーキャップを使用マイクロフォーサーズ用も展示していた
手作り蛇腹レンズの撮影例

 手ブレ増幅装置は、パイプで作った四角の枠に輪ゴムを使ってカメラを吊したもの。手ブレが増幅して幻想的な写真が撮れるという。

手ブレ増幅装置。実際にはパイプの枠とカメラを輪ゴムで繋いで使用する手ブレ増幅装置での撮影例

 上原氏は、「いずれも安価に作れるものを紹介することで、こうした工作の裾野を広げたい」と話していた。

猫カメラ(Fenrir's Blog中の人)

猫カメラの装着例

 Fenrir氏のブースでは、猫が首から提げて撮影するという「猫カメラ」(CatCAM)の試作品を展示していた。

 猫カメラは、猫が行動している最中にインターバルで写真を撮影して記録する小型カメラ。

 従来から写真のみを撮影する同様のカメラは存在したが、Fenrir氏の猫カメラにはGPS受信モジュール、Blutooth、加速度センサー、猫顔検出などを実装しているのが特徴。GPSにより猫の動きをマッピングできるほか、Bluetooth機能を使えば猫カメラを提げた2匹の猫がすれ違った際に通信して“どの猫とすれ違った(あるいは会った)か”といった情報が記録できる。Bluetoothは、猫が飼い主の家に戻ってきたときに自動的に写真やログを転送することもできるとのこと。

 加速度センサーは、猫の動きを3軸で随時記録できる。加速度の変化パターンにより、「歩いている」、「走っている」、「餌を食べている」、「顔を洗っている」などの猫の特定の動作を特定することができるようになるという。行動を特定する機能は未実装だが、今後の搭載を目指している。猫顔検出は、カメラを提げた猫が出会った猫の顔のみを記録するための機能だ。

映像とともに加速度センサーの出力(画面下のグラフ)を記録できる猫の顔を検出する機能も備える
搭載するリチウムポリマー充電池カメラのみを搭載したモジュールを近くスイッチサイエンスで発売するとのこと

 カメラモジュールは携帯電話用のSTマイクロエレクトロニクス製「VS6724」(200万画素相当)を流用しているが、基板はオリジナル設計。基板のサイズは約51×36mm。画像や各ログはMicroSDカードに記録できる。バッテリーは600mAhのリチウムポリマー充電池で、約3時間ほど動作するという。将来的には市販に漕ぎ着けたいとのこと。


(本誌:武石修)

2010/5/25 00:00