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1.4型センサー搭載のレンズ一体型カメラ「PowerShot V1」発表会詳報

動画・静止画を1台で 「デュアルピクセル CMOS AF II」も搭載

既報の通り、キヤノンがレンズ一体型デジタルカメラ「PowerShot V1」を2月20日に発表した。発売は4月下旬で、直販価格は14万8,500円となっている。

ここでは同日に開催された発表会の内容をまとめた。

今度はコンベンショナルな“カメラ”スタイルに

PowerShot V1は、2023年に発売されたVlog向けカメラ「PowerShot V10」の上位モデルという位置づけだ。

1.0型センサー、単焦点レンズ、手のひらに収まる大きさという仕様のPowerShot V10に対し、本機は3.1倍のズームレンズ、1.4型イメージセンサー、カメラらしいトラディショナルなデザインなどと特徴とする。

いわゆる“高級コンパクトデジカメ”に共通するシルエットを踏襲している
1台で完結できるというキャッチコピー
PowerShot V10(右)との比較
背面のボタン類もキヤノンのカメラではおなじみのものだ
液晶モニターはフリーアングル式

グリップを新設計

通常撮影のほか自撮り撮影でも使いやすいようにグリップ形状を新たにデザインした。自撮りでもシャッターボタンなどが押しやすいという。

グリップはラバー素材で滑りにくい
構えたところ
自撮り用に持ったところ

モードダイヤル部分に静止画と動画の切り換えスイッチを設けた。シャッターボタン部分にズームレバーを配したほか、その横に録画ボタンを装備している。

静止画/動画切り替えスイッチが操作しやすい位置にあった
ストラップホールは細ひも用だ
タリーランプはL型に配置し、撮影者と被写体の両方から見えやすくした

新開発の1.4型センサーを搭載

キヤノンでは初となる1.4型サイズのセンサーを搭載した。このサイズの採用理由について、高級スマホで使われる1型センサーのちょうど2倍の面積にすることで、スマホよりも画質を追求できるためとしている。

1/2.3型を基準としたとき、1.4型は面積で8倍、APS-Cサイズが同11.5倍。1.4型はAPS-Cサイズにも迫るサイズとなっている

イメージセンサーのアスペクト比は3:2とレンズ交換式カメラでは主流のタイプを採用した。キヤノンでは1型以上のセンサーは3:2を採用しているが、伝統的な写真のアスペクト比を意識してのことだという。

動画は4K60pに対応するが、このときはセンサーの読み出し速度の関係でクロップとなる。クロップファクターは約1.4倍で、ほぼ23-71mm相当の画角になるとのこと。

また、4K30pでは5.7Kからのオーバーサンプリングとすることで高画質を実現する。

「デュアルピクセル CMOS AF II for PowerShot」を搭載しトラッキング性能などを向上させた
メカシャッターも搭載するためローリング歪みを抑えられる

16mm相当からの超広角ズームレンズ

静止画で16-50mm、動画で17-52mmという超広角レンズを搭載する。ズームレンズの一般的なコンパクトカメラでは珍しい焦点距離だ。

動画撮影時は電子手ブレ補正などによるクロップもあるため、広角のレンズを採用したとのこと。手ブレ補正を使用しても20mm相当程度の画角は確保できるようにしたという。

静止画と動画で画角が異なるのはアスペクト比の違いによるもの(動画は16:9になる)。レンズの明るさはF2.8-4.5となっている。

望遠端は50mmと控えめだが、静止画、動画とも1.4倍クロップが使えるのでおよそ”24-70mmレンズ”の感覚で使える。

また、16mmスタートの理由の一つとして交換レンズの広角ズームが16mmスタートのものが多く、写真愛好家になじみのある焦点距離という点を考慮した面もあったとのことだ。

沈胴式のレンズ。レンズバリアも備えている
機能を割り当て可能なコントローラーリングを装備。クリックは設けられていない

被写体位置を自動補正

人物などの被写体を希望する位置に保持し続ける「被写体追尾IS」も搭載した。被写体位置は中央か画面をタッチして任意の位置を選べる。するとカメラが多少動いても画像切り出しと動画電子ISにより被写体の位置を安定させる。

4K60pはもともとクロップなのでこの機能は使用できないが、5.7Kから切り出すことで4K30pでの記録は可能となっている。

被写体追尾ISの設定画面
中央と任意の位置が選べる

PowerShotでは初めてとなる商品レビュー用の撮影モードも搭載した。カメラから一番近い被写体にピントが合うため、カメラ初心者でもピンボケの心配が無く撮影できるとしている。

商品撮影用の「レビュー用動画」機能を搭載
PowerShot V10同様、大量のカラーフィルターも

本体に冷却ファンを内蔵

イメージセンサーや画像処理エンジンで発生した熱を冷ますファンを搭載したことで、長時間の動画撮影が行えるようになった。

ファンの動作モードはオートのほか、マニュアルで回転数も設定可能となっている。

クリップと反対側に通気口がある。側面下側の穴から給気して、上部の2つの穴から排気する
ファンの設定画面。ファンの音は録音で目立たないように調整したとのこと
各モードで2時間以上の動画撮影が可能としている

Log撮影にも対応

Canon Log 3での収録に対応した。編集で比較的破綻が起きにくい4:2:2 10bitで記録可能となる。

上面のシューはマルチアクセサリーシューとなっており、対応のストロボやアクセサリーが使える。従来タイプのシンクロ接点を使用するストロボはオプションのアダプターを併用することで使用可能だ。

一般的なシンクロ接点は装備していない
シューに装着するタイプの風防が同梱される

USB Type-C端子を搭載し、PCと接続することでライブ配信もできる。USB端子からは充電、給電のほか、撮影しながらの充電も可能となっている。

USBとPCを直結してのライブ配信も可能
端子は側面に配置
バッテリーは「EOS R8」「EOS R10」などと共通の「LP-E17」となる

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。