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記憶に残りやすい写真を見ると“瞳孔が大きくなる”…新潟大学が研究成果を発表
2025年2月14日 18:21
新潟大学は2月14日(金)、写真を見ているときの“目の瞳孔の大きさ”についての研究成果を発表した。人文学部で認知心理学を専攻する新美亮輔准教授による研究で、記憶に残りやすい写真を見ているときに、そうではない写真を見ているときと比べて瞳孔が少し大きくなることが分かった。
「一度見ただけでも記憶に残る写真と、すぐ忘れてしまう写真があるのはなぜなのでしょうか」という問いから、人間の視覚的記憶の仕組みに注目した研究。
人間はもともと視覚的情報の記憶が得意だが、その仕組みについてはこれまで研究が進んでいなかったという。また「写真の記憶しやすさ」についても、被写体などさまざまな側面が組み合わさって決まる複雑な性質があり、その要因は明確になっていない。
視覚的記憶の仕組みの調査で瞳孔を調べた理由は、瞳孔の大きさの変化が「心理的・認知的活動」の高まりに影響を受けると知られているから。明るくてまぶしいといった自律神経によるものだけでなく、怖いなどの感情や、数字などを意図的に記憶しようとする行為によっても瞳孔の大きさが変化するため、それは心理的・認知的活動によって身体にあらわれる生理的現象の1つと捉えられている。
そこで、記憶しやすい写真とそうでない写真を見ているときに瞳孔の大きさに違いがあらわれれば、脳の中に起きている認知的活動に違いがあることの証拠になると想定した。
調査は、記憶しやすい写真や記憶しにくい写真をパソコン画面に2.5秒ずつ表示し、それを見たときの瞳孔の大きさを、瞳の映像解析により測定。結果、記憶しやすい写真を見ているときは瞳孔の大きさがより大きく変化することが分かった。
新美準教授は、瞳孔が大きくなること自体が写真を記憶しやすくしたとは考えにくく、覚えやすい写真を見ることで脳内に起こる認知的処理の副産物として瞳孔が大きくなったと推測。「記憶しやすい写真と記憶しにくい写真が脳の中で異なった認知的処理を受けていることを示す生理的証拠」と結論付けた。
今回の研究により、人間の視覚的記憶のしくみを調べるために瞳孔の計測が有用であると判明したことから、今後も瞳孔に着目した新しい研究が進むことが期待できるとしている。