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タムロン、ミラーレス対応の新「90mmマクロ」を披露

タムロンは9月27日(金)、東京都内で「メディア向け新製品体験会」を開催した。9月26日(木)に発表された新製品「90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Model F072)」こと通称“タムキュー”が展示され、開発背景や製品特徴について詳しい説明を聞くことができた。

会場には歴代の“タムキュー”が並んだ

体験会では、映像事業本部 マーケティング企画部の三澤幸大氏が登壇し、新製品の開発背景について語った。「2016年にデジタル一眼レフカメラ用の90mmマクロレンズを発売してから長い時間がかかりましたが、妥協なく理想を追い求めた結果です」と述べ、45年にわたるタムロンのマクロレンズの歴史を継承しつつ、最新技術を融合させた製品であることを強調した。

映像事業本部 マーケティング企画部 三澤幸大氏

新製品については、高速・高精度なAF性能、12枚羽根の円形絞りによる美しいボケ味、そして軽量コンパクトな設計を挙げた。三澤氏はさらに「マクロ撮影だけでなく、ポートレートやテーブルフォト、風景撮影など、あらゆるシーンで特別な写真表現をお楽しみいただけます」とも語っている。

レンズフードにはフィルター回転用の窓が追加された

映像事業本部 開発推進部 商品企画課の市川浩氏は、製品開発におけるこだわりの点として、特にフォーカスリングの操作性に言及した。「マクロレンズはマニュアルでピント合わせをする機会が多いため、長時間使用しても指や手が疲れないよう追求しました」と説明。具体的には、フォーカスリングの下のグリスを何度も変更し、開発チーム全員で理想的な操作感を追求したという。

映像事業本部 開発推進部 商品企画課 市川浩氏

その結果、指1本で出だしがすっと動き出し、滑らかに回せてかつピントがきちんと止まるフォーカスリングが実現した。市川氏は「高級感を出すために重くするのではなく、実際の使用感を重視しました。このフォーカスリングは写真撮影はもちろん、動画撮影時にも非常に使いやすいはずです」と自信を示した。

ピントリングはかなり軽く、撮影時の負担が少なそうだ

写真家の並木隆氏も登壇し、実際の使用感を語った。1996年発売の「SP AF 90mm F/2.8 MACRO[1:1](Model 72E)」から“タムキュー”を愛用するという並木氏。今回のモデルについて「AFの速さが格段に向上し、今までのマクロレンズのイメージを覆すほどです。同時に、タムロンらしい柔らかなボケ味や色再現性もしっかり継承されています」と高く評価した。

写真家の並木隆氏

さらに、色再現性にも触れた。「タムロンレンズの特徴である色の再現性の高さは健在です。特に青い花を撮影した時、その鮮やかさと繊細な色の階調の表現されました。後処理での色調整もほとんど必要ありませんでした」とコメントした。

会場には実機が多数用意され、自由に触れて撮影することができた。今回は新レンズで実写をしてきたのでそちらもお届けしたい。

近接撮影時のAF中抜けを防止するため3段階のフォーカスリミッタースイッチを搭載した
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/60秒、F4.8)/ISO 250
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/125秒、F5.3)/ISO 900
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/100秒、F5.6)/ISO 400
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/640秒、F3.2)/ISO 800
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/250秒、F3.2)/ISO 64
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/200秒、F4.8)/ISO 6400
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/200秒、F4.5)/ISO 4000
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/200秒、F4.5)/ISO 3600
ニコン Z9/90mm F/2.8 Di III MACRO VXD/90mm/マニュアル(1/200秒、F3.2)/ISO 320
本誌:佐藤拓