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ソニー、網膜投影型ビューファインダー採用の「DSC-HX99 RNV Kit」

ロービジョン者の写真撮影を支援

ソニーは、網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV Kit」を3月24日に発売する。コンパクトデジタルカメラ「サイバーショットDSC-HX99」に、レーザ網膜投影方式のビューファインダー「RETISSA NEOVIEWER」を組み合わせた製品。デジタルカメラの表示画面を網膜に直接投影することで、従来製品ではビューファインダーが見えづらいロービジョン者に向ける。

見え方に個人差があるという商品特性から、全国5か所のソニーストア直営店舗で実機体験したユーザーのみ購入可能。価格は税込10万9,800円。ソニーが一部費用を負担して実現した価格だという。原則1名につき1台の購入に限定している。本製品は医療機器ではなく、日常生活用具(日生具)として認定されるかは各自治体の判断としている。

DSC-HX99は、1/2.3型・有効約1,820万画素の裏面照射型CMOSセンサーと、35mm判換算24-720mm相当のズームレンズを搭載したコンパクトデジタルカメラ。4K動画の記録にも対応。小さく軽いこと、高倍率ズームを持っていること、HDMIでパススルー出力できることなどから選ばれた。発売は2018年11月。

ビューファインダー「RETISSA NEOVIEWER」は、DSC-HX99に固定してケーブルを接続することで使用可能。解像度は1,280×720。ファインダー像を網膜に投影するため眼のピント調節能力の影響を受けにくく、ロービジョン者でも周辺まで明るく綺麗に見られるとしている。バッテリーはカメラ/ファインダー双方で必要となる。カメラ本体とビューファインダーを組み合わせた重量は約500〜600gだという。

サイバーショットDSC-HX99
RETISSA NEOVIEWER

ソニーストアでの体験開始日は3月24日。Webサイトから体験会を予約する。同製品の販売にあたり、Webサイトのロービジョン対応や、ソニーストア店頭の接客スタッフがユニバーサルマナー検定を受けるといった取り組みも実施。また、日本の「CP+2023」、米国アナハイムで開催されるアクセシビリティに関する国際会議「CSUN」にも出展予定としている。

ソニーの発表によると、ロービジョン者の定義は「何らかの原因により視覚に障がいがあり、メガネやコンタクトレンズを装着しても『見えにくい』『まぶしい』『見える範囲が狭くて歩きにくい』など日常生活での不自由さをきたしている状態」。世界で2億5,000万人、日本国内では145万人と推定されているという。

株式会社QDレーザは、2006年に富士通研究所からのスピンオフベンチャーとして設立され、2008年に量子ドットレーザを世界で初めて量産化。2015年にレーザ網膜投影技術の事業化を開始し、網膜走査型レーザアイウェア(HMD)の「RETISSA」シリーズを開発・発売してきた。2020年12月に賛同企業と「ロービジョン者の“見えづらい”を“見える”に変えるプロジェクト With My Eyes」を開始。ソニーは2021年5月に参加し、2022年3月から主要賛同企業となっている。

本誌:鈴木誠