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ニコンクリエイツ、ボリュメトリックビデオ撮影のサービス開始。100台以上のカメラで撮る“次世代自由視点3D映像”

株式会社ニコンクリエイツは10月13日、東京・平和島の複合型撮影施設にて、次世代自由視点3D映像ボリュメトリックビデオ撮影システム「POLYMOTION STAGE」を用いたサービスの提供を開始した。

「POLYMOTION STAGE」は、100台以上のカメラで被写体を撮影し、それによって得られた動画データをもとに3Dデータ映像を生成するシステム。360度すべての映像データが撮影されるため、撮影後もアングルやズームを自由に変更して合成することが可能という。

ボリュメトリックビデオ撮影システム

例えば、再撮影が不可能なタレントの撮影でも、すべてのアングルが映像データとして残っているため、撮影後の修正や変更が容易に可能になる。また、全員が揃うことが難しいグループであっても、1人ずつ撮影してグループとしての映像を作成できるという。

すべての3Dデータが1回で撮影できるため、何度もカットを変えて撮影する必要がなく、演者や現場スタッフの拘束時間が低減され、編集の際に「違うアングルから撮っておけばよかった」ということも無くなると説明する。

撮影スタジオにて撮影
3D空間に再現
編集する際は360度、全ての映像角度を使用することができるという

このほど、同社は「POLYMOTION STAGE」を活用したボリュメトリックビデオの企画・撮影・編集を担うプロダクションサービスの提供を開始。12月には「ボリュメトリックビデオ」に加えて、「バーチャルプロダクション」の稼働も予定する。

同社によると、ボリュメトリックビデオの3Dデータそのものを活用することで、MR(複合現実)分野やメタバースへの可能性も大きく広がるという。今後CM・PR動画・ミュージックビデオなどの制作をはじめ、文化遺産のアーカイブなど幅広い領域で活用してもらえるように活動していくという。

なお、同社Webサイトでは、4人組バンド「SPiCYSOL」を同システムで撮影し、その映像素材を3人のディレクターがそれぞれ活用して制作したボリュメトリックビデオ3作品のショーリールを公開している。

株式会社ニコンクリエイツは、株式会社ニコンが次世代映像コンテンツの企画・撮影・制作を担う新事業のために立ち上げた100%子会社。4月1日より営業を開始している。また、高品質な3Dデータ映像の生成が特徴の「Microsoft Mixed Reality Capture Studios」(米国Microsoft Corporation)の日本初のパートナー企業でもある。

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。