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ソニー、世界初「2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサー技術」を開発。フォトダイオード部分の拡大で、広ダイナミックレンジ化に寄与

構造のイメージ図

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は12月16日、世界初という2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー技術の開発に成功したと発表した。スマートフォン撮影などにおける“高画質化”の実現に寄与するものとしている。12月11日から開催されているIEDM(国際電子デバイス会議)での発表。

従来は同一の基板上で形成していたフォトダイオードと画素トランジスタの層を別々の基板に形成して積層。従来比で約2倍の飽和信号量を確保でき、ダイナミックレンジの拡大とノイズの低減により撮像特性が大幅に向上するという。同社は、本技術の採用により「従来の画素サイズに加えて、今後の更なる微細画素においても、画素特性の維持・向上を可能にします」としている。

積層型CMOSイメージセンサーは、裏面照射型画素が形成された画素チップと信号処理回路が形成されたロジックチップを積層した構造を採用したセンサー。従来のセンサーはこの画素チップ上に、光を電気信号に変換するフォトダイオードと信号を制御するための画素トランジスタが並列して配置されている。飽和信号量を大きくしてダイナミックレンジを拡大するには、フォトダイオードの部分を拡大することが課題だった。

2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー技術では、フォトダイオードと画素トランジスタを別の基盤に形成して積層することで、それぞれの層の最適化が可能になった。これにより従来比約2倍という飽和信号量を実現し、ダイナミックレンジを拡大。明暗差が大きいシーンでも白飛びや黒潰れのない撮影が可能になるとしている。

また、ノイズの低減は、転送ゲート(TRG)以外のリセットトランジスタ(RST)、セレクトトランジスタ(SEL)、アンプトランジスタ(AMP)などの画素トランジスタをフォトダイオードと別の層に形成し、アンプトランジスタのサイズ拡大が可能になったことで実現している。

本誌:宮本義朗