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キヤノン初の非球面レンズ採用「FD55mm F1.2AL」が発売50周年を迎える

公式サイトに技術解説と効果作例も

FD55mm F1.2AL(1971年)

キヤノンは5月27日、同社で初めて非球面レンズを採用した一眼レフカメラ用交換レンズ「FD55mm F1.2AL」の発売から50周年を迎えたと発表した。

非球面レンズは、通常複数枚を用いて平行光線を1点に収束させる球面レンズの特性に対して、1枚で同等の補正効果を得られるメリットがあるとされている。同社では1963年から、この非球面レンズの開発に着手していた。

1971年に同社初の非球面採用レンズとなる「FD55mm F1.2AL」(AL=Aspherical Lens)を発売。同レンズは一眼レフカメラ「F-1」「FTb」と同時発売だったという。なお、写真用レンズとして初めて非球面レンズを採用した製品としては「ライカ ノクティルックスM f1.2/50mm」(1966年発表)が知られている。

FD55mm F1.2ALに用いられた非球面レンズ(第2レンズの第1面)は、研削加工によるもの。現在キヤノンでは、ダイヤモンドの入った工具でガラスを削って磨く研削非球面のほか、非球面の金型で直接ガラスをプレスする「ガラスモールド非球面」、非球面の金型で球面ガラスの面上に非球面の樹脂を形成する「レプリカ非球面」、非球面の金型に樹脂を充填して成形する「プラスチックモールド非球面」の4種類の加工技術を有している。

同社Webサイトの「キヤノンカメラミュージアム」では、記念コンテンツ「超精密加工への挑戦が生んだ非球面レンズ」を公開。非球面レンズの原理、球面収差や歪曲収差の補正効果を示す作例、それぞれの加工方法に関するより具体的な解説を掲載している。

現行レンズの採用例。左からRF70-200mm F2.8 L IS USM、RF24-70mm F2.8 L IS USM、RF15-35mm F2.8 L IS USM。非球面レンズの採用枚数はそれぞれ2枚、3枚、3枚。
本誌:鈴木誠