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ライカMレンズの王者「ノクティルックス」が50周年を迎える

ライカカメラ社Webサイトのトップページ(10月6日現在)

独ライカカメラAGの海外Webサイトに、「50 years of the Leica Noctilux-M」というコンテンツが掲載された。M型ライカ用の大口径レンズ「ノクティルックス」の50年にわたる歴史を振り返る内容。

ノクティルックスは1966年の登場以来、M型ライカ用で最も明るい50mmレンズに伝統的に与えられてきた名前。その堂々たるスペックと製品価格で"ライカレンズの王者"といえる存在感があり、日本の愛好家からは"ノクチ"の愛称でも親しまれる。現行モデル「ノクティルックスM F0.95/50mm ASPH.」の実勢価格は税込138万2,400円。

初代の「ノクティルックスM 50mm F1.2」は1966年のフォトキナで発表。"世界で最も明るい35mmスチルカメラ用の非球面採用レンズ"として登場した。球面収差を抑えるために高屈折率ガラスを用いた非球面レンズを採用している。

当時は500gを超えるレンズ重量とM型カメラ本体を超える価格設定で、2,000本ほどしか生産されなかったと言われており、現在の中古市場では200万円以上の値を付けることも。

1976年には新設計の「ノクティルックスM 50mm F1」に一新。開放F1の高性能レンズをめざし、F1.2の初代で問題となった非球面レンズの製造コストも鑑みて球面レンズのみで設計された。フィルター径やレンズフードの仕様変更を経て長年生産され、2008年には生産終了前のラスト100本を特製ボックス入りで限定販売した。

2008年に発表された現行モデル「ノクティルックスM 50mm F0.95 ASPH.」は、再び非球面レンズを採用。新たに近距離撮影時の画質維持に有利なフローティング機構も取り入れている。2015年にはF0.95をモチーフにした「S.T. Dupont for 0.95」シリーズの万年筆やライターも発売された。

ライカ ノクティルックスM 50mm F0.95 ASPH.

開放F1を超える35mmカメラ用の大口径レンズは、国内メーカーではキヤノンが1961年にレンジファインダーカメラ「Canon7」用に50mm F0.95のレンズを発売し、"ドリームレンズ"と称されたのが最初とされる。現在ではミラーレスカメラ用をはじめとして開放F0.95(もしくはそれ以上の)レンズも珍しくなくなってきたが、その憧れの先には50年続くノクティルックスの存在がいまだ大きいだろう。

なお、2006年の「ライカM8」に始まるライカMデジタルも2016年に10周年を迎えている。