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ウォーカー・エヴァンス所有のライカM2ブラックが出品
落札予想80万〜100万ユーロの"ヌル・ライカ"試作機も
2020年5月27日 00:00
Leica Camera AGは、写真関連用品専門のオークション「Leitz Photographica Auction」(ライツ・フォトグラフィカ・オークション)を、オーストリアのウィーンで現地時間6月13日11時に開催する。
第36回の出品物もライカまたはライツが製造した製品が多く、400点以上のコレクターズアイテムが出品予定だという。
なお、出品物の中から「Leica M10 Prototype P01」(予想落札価格8,000〜1万ユーロ)の落札金を慈善団体のカリタス・ウィーンに寄付することが決まっている。この個体は製品版のライカM10と比べ、ISO感度ダイヤルの並びとローレットの形状ほか、前面のフォーカスボタンがない、バッテリースロットの設計が異なるといった差違がある。
ウォーカー・エヴァンス氏が所有していたライカM2ブラック
予想落札価格:4万〜5万ユーロ
主に母国アメリカで活動した写真家/フォトジャーナリストのウォーカー・エヴァンス氏が1962年に購入し、1973年まで使用したライカ。エヴァンス氏のアシスタントが譲り受けたものが今回のオークションに出品されることとなった。
ライカM2グレーの試作機
予想落札価格:40万〜50万ユーロ
今回のオークションの目玉のひとつというアイテム。グレーペイントのライカM2は、1960年にライツが20台製造し、ドイツのアメリカ空軍に納入された。現存は10台ほどとされ、最も珍しいライカのひとつと言われている。
出品される個体は、1958年から1962年にかけて製造されたライカM2の試作機(シリアル番号2001〜2082)のうち、唯一知られているグレーペイントの個体だという(2071番)。
"ヌル・ライカ"の試作機
予想落札価格:80万〜100万ユーロ
"ウル・ライカ"(Ur-Leica)と呼ばれる35mmカメラの試作機と、製品版のライカへと続く"ヌル・ライカ"(Leica 0-serie)と呼ばれる工場試作機の中間に位置する1921年の個体。何度か改良された形跡が残り、テスト機として数年使用されたと推測されている。
この個体は、現所有者であるオットマール・ミヒャエリー氏が著名なライカ研究家のラーズ・ネトピル氏から購入したもので、ミヒャエリー氏による解説文が付属。ポール=ヘンリー・ヴァン・ハスブルック氏を含む多くのライカ研究家が、この歴史的価値を認めているという。ハスブルック氏の著書「The Leica – A History Illustrating Every Model and Accessory – Revised Edition」の序文にも本個体が掲載されている。
これと同様の試作機は2台知られており、もう1台は書籍「Barnack’s Erste Leica」(Dr.Günter Kisselbach)で取り上げられているブラス仕上げのもの。出品される本個体は、1938年に展示用として現在の形に仕上げられたと見られている。