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5月末開催のフォトキナ2020「現段階で中止する理由はない」
新型コロナウイルス感染拡大を受け、記者会見で説明
2020年2月28日 14:09
ケルンメッセは、5月27日からドイツ・ケルンで開催する「フォトキナ2020」に関する記者会見を2月26日に都内で行った。2月27日から横浜で開催予定だった「CP+2020」が新型コロナウイルスの感染拡大を鑑みて開催中止となったことから、フォトキナもカメラ業界の大型イベントとしてその動向が注目されている。
新型コロナウイルス感染拡大について
ケルンメッセ フォトキナ事業本部長 クリストフ・ヴェルナー氏は、WHO、ドイツ連邦保健省および地域の保健機関の勧めを踏まえた判断から「現時点では、ケルンメッセのような大規模イベントを中止する理由はありません」と説明。
ケルンメッセの全てのイベントとフォトキナの準備を予定通りに進める一方で、消毒薬を会場に用意したり、会場内の清掃頻度を高めるなどの予防措置を予定。感染の疑いのあるケースが出た場合に備え、救護ステーションには専門の医師や救護アシスタントが待機するという。
また、ドイツ写真工業会 会長のカイ・ヒレブラント氏は、「保健当局が"ヨーロッパでも見本市を中止すべき"とアナウンスしない限りは、出展各社の判断に委ねられる」とコメント。中国企業の出展可否についても、3か月先の予測は難しいと前置きしつつ、「(中国企業の)出展を前提として準備は進んでいる」とした。
開催規模や新たな取り組みについて
ケルンメッセのヴェルナー氏は、1950年の創設から36回目になるというフォトキナ2020の新企画について紹介。開幕前日の5月26日に行う「イメージング・イノベーション会議」と5月27日の「オープニング・キーノート」は、イメージング全体に関わる大きな変化に焦点を当てるという。
また、今回も開催する「IMAGING LAB」(ホール4.2)では、スタートアップ企業や大学、開発者などが一堂に会し、写真と映像のみならず、モバイル、VR/AR/MR(ミックスド・リアリティ)、3D、AI、クラウドなどの先進技術によるビジネスモデルを発表する場となる。
加えて会場全体にフォトスポットを設けるなどの施策により、25際未満のターゲットグループも狙う。数年前から若者にマーケティングの焦点を当てたことで、フォトキナにおける30歳未満の比率は30%になっているという。
なおフォトキナ2020の展示スペースは、ホール3.1/3.2、4.1/4.2、5.2を予定。近年ではライカやオリンパスが自社イベントに丸ごと使用したホール1と、主要メーカーが出展していたホール2を改装工事のために使わず、前回のフォトキナ2018よりコンパクトな開催規模になっている。
開催規模が小さくなっていることについてケルンメッセのヴェルナー氏は、「世界のカメラ市場を見れば意外なことではない」と前置き、キーアカウントの出展取りやめで空いたスペースを埋めることは簡単ではないと説明。フォトキナ2020は「(フォトキナを)新しく定義するための出発点になる」とコメントした。
スマホユーザーの情熱を本格カメラに
ドイツ写真工業会 会長のカイ・ヒレブラント氏は、日本語の「写真」という漢字には"ありのままを写し取る"という意味合いが考えられるとし、いま映し出された現実は「カメラ市場における販売台数の減少」だと話す。
しかしスマートフォンユーザーには手軽な写真撮影("クイックフォト"と表現)を通じて写真への興味が芽生えており、業界としてはそれを本格カメラを使った高品質イメージングへの情熱にかえていくことが課題とした。
前回のフォトキナ2018では、スマートフォンメーカーのファーウェイが出展することをフォトキナ運営側が大きくアピールしていたが(honorブランドで中規模のブースを展開した)、フォトキナ2020への出展については現在交渉中。そのほかのスマートフォンメーカーについても、まだ出展状況についてコメントできないという。
フォトキナ2020の具体的な出展社数や顔ぶれについては「フォトキナの4週間ほど前に発表したい」とのことで、明言は避けた。スタートアップ企業は出展申し込みが遅い傾向にあるといい、開催までにまだ出展企業が増える可能性をその理由とした。
ちなみに、彼らが"キーアカウント"と呼ぶメーカーの中では、富士フイルム、ニコン、オリンパス、ライカが出展しないという。しかし、ライカは違った枠組みで出展する可能性があるそうで、フォトキナ側としてもライカの動向を見守っているそうだ。
また、出展しない企業が取りやめを決めた理由については「業界としてカメラの売り上げが落ちているためコストを削減したく、投資が難しいという財務的な理由だと思う。理由は各社それぞれだが、今後ずっと出ないということではないという話も聞いている」(ドイツ写真工業会のヒレブラント氏)との見解を示した。