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安原製作所、E / RF / Zマウント用の単焦点35mm F1.8レンズ「ANTHY35」

ミラーレスに最適化した設計 実写画像も

ソニーEマウント用(以下同)

安原製作所は、ミラーレスカメラ用単焦点レンズ「ANTHY35」(アンシー35)を11月に発売する。希望小売価格は税別3万2,000円。

35mmフルサイズに対応した焦点距離35mm、開放F値F1.8のMFレンズ。キヤノンRFマウント、ソニーEマウント、ニコンZマウント用をラインナップしており、ミラーレスカメラに最適化した光学設計を行ったとしている。ほぼゼロという歪曲収差や美しいボケ味、またMFレンズならではの滑らかなフォーカスリング操作などを特徴とする。

左からRFマウント用、Eマウント用、Zマウント用

いずれもフォーカスリングの他にクリックストップつきの絞りリングを備える。

レンズ構成は7群9枚。絞り羽根は9枚。フィルター径は52mm。

全長は60.5mm、重量は約409g(ソニー用)。

フードは組み込み式で、引き出して使用する。電子接点は非搭載。

α7R IIIに装着したところ
フードを引き出したところ

実写してみた

短時間だが試用する機会があったので、ソニーα7R IIIに装着して雨上がりの夜の街を撮影した。

最初の作例は、絞りを開放にして点光源のボケ具合を見た。ぐるぐるボケや二線ボケはほとんど見られない。また玉ボケの輪郭も弱めで、素直なボケという印象を受けた。合焦した部分も鮮明だが、やや球面収差を残した設計であるようだ。この部分は好みが分かれるが、少し柔らかめの写りはポートレートなどで好まれるところでもある。

ソニーα7R III / ANTHY35 / 35mm / マニュアル露出(F1.8、1/5秒) / ISO 100

続いてはF8まで絞り込み、味のある建物を正面からパンフォーカスで狙った。確かに歪曲収差はあまり感じられない。ここまで絞ると球面収差は影を潜め、とても精緻な描写をする。等倍でチェックすると、バイクの擦り傷1本1本まで鮮明に写っていた。4,000万画素オーバーでも実力を発揮できるレンズということができそうだ。

ソニーα7R III / ANTHY35 / 35mm / マニュアル露出(F8、2.5秒) / ISO 100

操作フィーリングはフィルム時代のレンズそのものだ。ねっとりとしたフォーカスリングは拡大表示をしての精密なピント合わせがしやすかった。また絞りリングのクリック感も軽快。外装はフードも含めて金属製となっており、高級感も纏っている印象を抱いた。3万円台という価格を考えると、MFレンズとはいえコストパフォーマンスは悪くなさそうだ。

安原製作所とは

元カメラメーカーの技術者だった安原伸さんが、1998年に創業した光学メーカーだ。個人操業ながらユニークな製品を投入することで知られる。第1弾となったのは、1999年に発売したレンジファインダー式のフィルムカメラ「安原一式」。当時は大変な人気で生産が追いつかず、入手困難だったことを懐かしく思い出される人も多いのではないだろうか。

安原一式

近年は主に変わり種の交換レンズを手がけており、高倍率マクロレンズ「NANOHAx5」(なのはx5)、全周魚眼レンズ「MADOKA 180」(まどか180)、ソフトフォーカスレンズ「MOMO 100」(もも100)などをリリースしている。なお「ANTHY」シリーズは現在、50mmと85mmを開発中とのことである。

武石修

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。