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山と溪谷社、登山者のカメラ利用状況を調査

次に買いたいのはミラーレスカメラ

株式会社山と溪谷社は、ヤマケイオンライン調査企画「みんなの登山白書」において、「登山者のデジタルカメラ利用に関するアンケート調査2019年版」を実施した。

有効回答数は、3,156名。調査期間は、2018年10月25日(木)~2018年11月19日(月)。

同調査によると、「ふだんカメラ(スマートフォンのカメラも含む)をどのくらいの頻度で使っていますか?」という質問では、17%がほぼ毎日、週に1回以上の人は全体で70%近くになるほど、多くの人が普段から写真撮影を楽しんでいることがわかった。

次に、「スマートフォン(携帯電話のカメラ含む)以外で、現在、カメラ専用機を使っていますか?」という質問をしたところ、91%がカメラ専用機を使用していると判明。

実際に使っているカメラは、コンパクトデジタルカメラが最も多い。ついで、一眼レフカメラ、ミラーレスカメラの順。

「ふだんの生活で(登山中以外で)、よくカメラで撮影する被写体や撮影方法で当てはまるもの」という問いでは、1位「自然の風景」、2位「花・植物」、3位「家族・友人などの人物」という結果になった。

同様の質問を山に置き換えると、1位(山の山容・景色・脈望)と2位は同じながら、3位に「道標などの目印」がランクインした。また、「その他」の項のコメントに「下山後にペース配分を確認するために、分岐や目印は取り敢えず撮ります」とあり、メモや備忘録として道標の写真を撮影しておく登山者は数多いと推測している。

「登山中に、最も使うカメラはどのタイプですか」を問うと、スマートフォンは24%で2位に食い込んだが、大多数はコンパクトデジタルカメラ(38%)、一眼レフ(22%)を最も使うとしており、登山者の多くは写真のクオリティにこだわっている様子が確認できた。

スマートフォンをメインを選んだ人にその理由を確認したところ、「気軽」「コンパクト」「メール・SNS共有が楽」という意見が大多数となった。コメントにも「体力が落ちて、一眼レフ顔負けの今のカメラを背負うのがきつい」という意見があり、軽量性が大きな理由となっている。

また、「スマートフォン・携帯電話のカメラで不満な点」を聞くと、1位は「ズーム・望遠機能」で、次に「画質/色彩」となった。

「スマホ・携帯電話で使っているブランド」について質問すると、アップル(iPhone)が1位(37%)となったが、メーカーでは無く「OS別」で比べると今回の調査ではAndroidが多い結果となった。なお、日本国内のiPhoneのシェア率は、50%超といわれている。

「使っているカメラのブランドを選択してください(スマホ除く)」では、キヤノン(1位)とニコン(2位)に人気が集中した。3位にはオリンパスがランクインしており、この結果については、山で重宝される「堅牢性」をウリにしているカメラを発売しているほか、ミラーレスカメラでのシェアが多いことが理由だとしている。

「スマートフォンではなく、カメラ専用機を使っている理由」について聞くと、同種の前回調査(登山者のデジタルカメラ利用に関するアンケート:2015年6月24日~7月13日)では「防水・防塵・耐衝撃」と「重量・コンパクト」が上位だったが、今回では「ズーム・望遠機能」「画質」という項目に支持が集まった。

一方で、「カメラ専用機で不満な点」では、「かさばること」が圧倒的1位となっており、携行性に不満を持つ人が多い結果となった。「その他」では「重い」という意見が多くあった。

また、「データを移すのが面倒」という意見もあり、Wi-Fiなどの転送方法が用意されているものの、面倒に感じている回答者は多い。

「新しいカメラ専用機を購入する際に重視したい点」という問いでは、1位に「携行性・コンパクト性」、2位に「画質/色彩」、3位に「防水/耐衝撃などの堅牢性」となった。

「カメラを購入する場合の情報源」を確認すると、メーカーのWebサイトやカタログなどのオフィシャル情報が上位に挙がっている一方で、「価格comやAmazonなどのレビュー」が2位となった。同社では、どんな商品においてもユーザーの口コミが気になるが、カメラにおいてもこの傾向は高いとしている。

「次にカメラ専用機を買うとすれば、どのタイプのカメラ」を聞くと、ミラーレスカメラが最も高い(46%)結果になった。

「撮影した写真データの保存方法」では、「PCに保存」が圧倒的な結果になった。一方で、記録メディアの大容量化・低価格化などもあり、「SDカードに入れっぱなし」の回答者も多くいる。

「撮影した画像の利用方法」では、「仲間と共有」が一番多く、ファイル転送サービスやオンラインストレージ機能などを利用して、写真の交換をしているという。また、「プリントして飾る」も少なくない票が集まった。

「山で動画を撮影していますか?」という問いでは、前回調査と比べて「撮影したことはない」こそ減っているが、全体的には傾向は変わらず、利用者が増えているとはいえない結果になった。

さらに、「(「動画撮影したことがない」「ほとんどしていない」人のみ)今後、撮影したいと思いますか?」と聞くと、今後についても、43%が「撮影するとは思わない」と回答している。

リコーのTHETA(シータ)を筆頭に、全方向を撮影できる「360度カメラ」が登場しているが、どのくらいの人が知っていて、どう感じているのか。「360度カメラを使ったことありますか?」を聞いてみると、「ない」が78%と大部分を占めた。

次いで「360度カメラへの興味について当てはまるもの」を聞くと、「見た/使ったことはないが、興味がある」が40%、「見た/使ったことがあり、興味がある」が7%となり、約半数が存在は知っていて、興味はあるという結果になった。

最後に、登山中の写真撮影におけるマナー(例えば、三脚や自撮り棒)などについて意見を集約したところ、概ね「あまり気にならない」という結果となった。このことから、登山者は総じて、節度を持って山で行動しているとうかがえる。ただし、「静かに過ごしたい」と考えている人が多いようで、ドローンの音など、そういった部分に気になる人が多いようだ。

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。