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フルサイズミラーレスでもトップシェアを狙う

キヤノンRFマウント第2弾「EOS RP」発表会レポート 実機画像も

EOS RPを手にする戸倉剛氏(キヤノン株式会社 執行役員 イメージコミュニケーション事業本部長。右側)と松阪喜幸氏(キヤノンマーケティングジャパン株式会社 取締役 専務執行役員。左側)。

キヤノンは2月14日、35mm判撮像素子を搭載するミラーレスカメラの新製品を発表した。製品の名称は「EOS RP」。EOS Rに次いでRFマウントを採用するフルサイズミラーレスカメラの2機種目となる。

フルサイズミラーレスカメラの入り口として

EOS RPの発表にあたり、キヤノン株式会社 執行役員 イメージコミュニケーション事業本部長の戸倉剛氏が登壇し、そのねらいと特徴を説明した。

キヤノン株式会社 執行役員 イメージコミュニケーション事業本部長の戸倉剛氏

戸倉氏はEOS RPは「撮影領域のさらなる拡大」を目指した製品と説明。レンズ性能を最大限に高めるために新しいウントを採用したEOS Rに続けて、RFマウントを採用、快速・快適・高画質という3つの柱でフルサイズの魅力を訴求していくとした。

続けてEOS RPがEOS 6D Mark IIと比較して小型化を達成しており、重量もEOS 6D Mark IIより280g軽い、約485gを実現した、と戸倉氏。

EOS 6D Mark IIは、同社の35mm判撮像素子搭載デジタル一眼レフカメラとして最軽量を誇るモデル。EOS RPは、これと比べても更に軽量化されている。戸倉氏はこの後も小型・軽量化にフォーカスしてEOS RPの説明を続けた。

実機を用いた重量比較も展示されていた。

EOS Rよりも更に小型化を達成、画質・AF・操作性で訴求

小型・軽量化にあたっては、十分な剛性の確保とカメラ内部の放熱が課題となった。この2つの問題に対して、内部フレームにはマグネシウム合金を採用、堅牢性の確保とともに効率のよい放熱が実現しているという。

また、EOS RPの特長は「高画質」「高性能AF」「操作性」にあると説明。高画質については、自社内でレンズから撮像素子、映像エンジンまでを一貫して手がけることができる、という同社ならではの強みが、それを下支えしているとした。

次に高性能AFとは、デュアルピクセルCMOS AF搭載に伴う精度と高速性にあるとして、0.05秒のAF速度をアピールした。また、EOS RPではサーボAFでの瞳AFに対応、近々でEOS Rへもファームウェアのアップデートで提供していくと述べた。

EOS RPのAFフレームの選択可能ポジションの数は最大4,779ポジション。AF低輝度限界は−5EVとなるという。EOS Rでは最大5,655ポジション、AF低輝度限界−6EVまでだったので、このあたりでは、下位に位置付けられることになる。

本格的な操作性を取り入れた

戸倉氏はEOS RPを「もっとカメラを使いこなしたい人」や「これからカメラをはじめる人」に使ってほしいと、そのターゲットユーザー像について説明を続けた。

訴求ポイントとして、EVFやグリップデザイン、カスタマイズ可能なボタン類について言及。本格的な操作性をインターフェースに採用していると説明した。

さらに快適な操作性を実現するものとして、スマートフォンのように操作できる「クリエイティブアシスト」や、視覚的なわかりやすさを実現する「ビジュアルガイド」などを搭載したと続けた。背面液晶モニターはEOS Rと同じバリアングルタイプを継承している。

ミラーレス市場に注力していく

続けて、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 取締役 専務執行役員の松阪喜幸氏が登壇し、ミラーレスカメラ市場の現状とEOS RPに託す役割について説明した。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 取締役 専務執行役員の松阪喜幸氏。

松坂氏は、国内のレンズ交換式カメラにおける一眼レフカメラとミラーレスカメラの出荷台数の比較を示し、2018年には過半数に及ぶ56%がミラーレスになったと説明し、今後もこの流れは続いていくだろうと、市況予測を述べた。

また、ミラーレスカメラの販売数量のシェアにおいて、2018年3月23日に発売したEOS Kiss M(APS-Cサイズの撮像素子を搭載)がトップを獲得したとして、ミラーレスカメラ市場で同社が33%のシェアを得たという。

EOS Kiss Mは、APS-Cサイズの有効約2,410万画素CMOSセンサーを搭載するミラーレスカメラ。松阪氏はファミリー層、ママ層、若年層の心をつかみ、エントリーカメラとしてのポジションを獲得していると説明し、新しいユーザー層に評価されたと続けた。

EOS Kiss Mの成功に続けて、フルサイズミラーレス市場でもナンバーワンを目指すと、その意気込みを見せた松阪氏は、キヤノンイメージゲートウェイのユーザーアンケートで、APS-Cサイズのセンサーを搭載するカメラユーザーの65%が次はフルサイズの購入を予定しているとの回答が得られているが、この買い替えのネックとして、「重い・(値段が)高い・難しい」という3つの要素がハードルになっていると述べ、EOS RPで、これらハードルの解消が図られていると説明を続けた。

EOS RPは、APS-Cサイズセンサーを搭載する一眼レフカメラEOS Kiss X9iの重量約532g(バッテリー・メモリーカードを含む)よりも更に軽い、約485g(バッテリー、カードを含む)を実現していると説明。“レンズ交換式カメラは重い”という問題をクリアしていることを強調した。

「高い」というハードルに対してはボディ単体で16万500円(税別)での販売となることや、「難しい」という点については、戸倉氏より説明のあった、わかりやすいインターフェースが問題を解消している、ということになりそうだ。

これらのポイントをうけて、EOS RPは、35mm判の撮像素子ならではの階調性やボケ味といった点でアドバンテージを有しており、フルサイズミラーレスカメラにおける入り口としての役割を担っていくことになると、松阪氏は、製品の位置付けを示した。

松阪氏は、EOS RPのキーとなるコピーが「いい写真の予感。」と紹介した。配色や書体からは一眼レフカメラEOS 6D登場時のキャッチコピーである「軽やかにフルサイズ」を想起させるものだった。このあたりもミラーレス版フルサイズの入り口として、EOS RPが位置付けられていることがわかる。

9名の写真家が魅力を伝える

松阪氏は、EOS RPを使用した続けて写真家と俳優4名のインプレッション動画を紹介した。登場したのは、写真家の公文健太郎氏、鶴巻育子氏、竹沢うるま氏、俳優の市原隼人氏だ。

このうちの1人、公文健太郎氏は軽量であるため身軽になれるとして、もっと撮りたくなるカメラだと使用感を伝えていた。

写真家の公文健太郎氏

4氏のほかにも榎並悦子氏、小澤太一氏、鶴川真由子氏、山下峰冬氏、鈴木さや香氏を加えた、計9名がEOS RPの魅力を発信していくという。

この他、写真家の立木義浩氏と、市原隼人氏がそれぞれニューヨークを撮りおろした写真展が同社の銀座および大阪ギャラリーで開催されるとのアナウンスもあった。展覧会タイトルは「REPEAT—それぞれのニューヨーク—」だ。

専用アクセサリーと限定モデルも登場

EOS RPはボディ単体のほか、軽快性というポイントがいきるRF 35mm F1.8 MACRO IS STMとのセットモデルで展開する。また合計7,000台限定でコントロールリングマウントアダプターEF-EOS Rのキットモデルと、RF 35mm F1.8 MACRO IS STMとコントロールリングマウントアダプターEF-EOS Rがセットのキットをラインアップする。

日本国内限定でゴールド仕様のEOS RPも発売される。販売数量は5,000台限定となる。

EOS RP専用の拡張グリップの発売もアナウンスされた。カラーはレッド、ブラック、ブルーの3色だ。

2019年中に10本のRFレンズが揃う

発表会では、開発中のRFマウントと今後のレンズロードマップも公開された。ズームレンズは4本、単焦点では2本が発表された。

EFマウントでもおなじみの15-35mm F2.8、24-70mm F2.8、70-200mm F2.8の3本に加え、85mmF1.8の焦点距離が2本、高倍率ズームレンズのRF 24-240mm F4-6.3 IS USMだ。F2.8のズームレンズはLの称号とISがついており、RFマウント版の大三元レンズが揃うことになる。

85mmの2本もともにLレンズで、DSはDefocus Smoothingの略で、ボケ像のエッジを滑らかにする技術が採用されていることを意味している。

これらのレンズは2019年に登場する予定となっており、RFマウントレンズは計10本が揃うこととなる見込みだ。

2018年9月5日にEOS Rとともに発表されたドロップインフィルターを内蔵するマウントアダプターも2019年に発売するという。

実機を確認

会場には、EOS RPの実機が展示されていた。ゴールドモデルやエクステンショングリップを実際に取り付けた状態などをお伝えしていきたい。

RF24-105mm F4 L IS USMを取り付けた状態のEOS RP。

EOS Rで採用されていた天面のLCDパネルが廃されている。かわりにLCDパネルのあった位置にはモードダイヤルが配されている。このあたりは、小型化という理由以外にも、他のAPS-Cサイズの一眼レフカメラユーザーにも違和感なく使ってもらえるように、という本モデルの位置づけとしての意味もあるとのことだった。

その他のEOS Rとの違いは、LOCKがボタンからレバーになっていることやLCDの発光ボタンが廃されていること。左側に電源のオンオフダイヤルが配されている点や録画ボタン、M-fnボタンなどはEOS Rの操作系を踏襲している。前面と背面のコマンドダイヤルも同様の配置だ。

ファインダーは、EOS Rが0.5型約369万ドットであるのに対して、EOS RPは0.39型約236万ドットと、小型化されドット数も下がっている。

左側面に端子類、右側のグリップは曲線を描いたスタイルとなっている。

実際にもってみたところ。グリップ部はしっかりとした深さがある。

背面液晶モニターはEOS R同様、バリアングルタイプ。横開きのため、前面に向けて使用する場合もしっかりと画像を確認できる。

バッテリーは、EOS Kiss X9iやEOS M3などと同じLP-E17を使用する。

【2019年2月15日】「バッテリーLP-E17がEOS Kiss Mのものと同じ」としていた記述を修正しました。

エクステンショングリップは3色での展開となる。取り付け時はバッテリー室の蓋を外して、三脚ネジ穴で固定する。

エクステンショングリップで得られる追加の高さは、筆者の場合小指1本分程度だった。

通常モデルのボディにレッドのエクステンショングリップを取り付けたところ。表示している画面は、サーボAFで瞳AFを有効にした状態の設定画面。

EOS Rとのサイズを比較したところ。幅と高さがひとまわりほど小さくなっていることがわかる。また、EOS Rで搭載されている電源オフ時に閉じる撮像素子前面のシャッター機構がEOS RPでは搭載されていない。

ゴールドモデルの実機。質感はさらりとした手触りで梨地をおもわせるもの。塗装の色味はシャンパンゴールドに近い印象だった。ダイヤル類の配色はシルバーとなっている。

本誌:宮澤孝周