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カシオ新ブランド“G'z EYE”発表会レポート
よりアクティブに――EXILIMとは異なるコンセプトを追求
2017年10月12日 18:19
カシオ計算機株式会社は10月11日、タフネスカメラの新ブランド「G'z EYE」の第1号機として、「GZE-1」を発表した。
従来のフリースタイルカメラ「EX-FR」シリーズの流れを汲みながらも、今年で35周年を迎える「G-SHOCK」を思わせるシルエットを有する点が特徴のひとつであり、よりアクションカムに近い特徴を色濃く出している。
キャッチコピーは「COOL STREET GEAR」。同日に開催された発表会では、4m程度の高所から落下させるデモを数度にわたり実施したほか、紹介映像においても「ワニに噛ませる」などハードな環境での使用に耐えるタフネス性能をアピールしていた。
G-SHOCK風デザインは「世界最高のタフネスカメラを目指した結果」
カシオ計算機株式会社 営業本部戦略統轄部コンシューマ戦略部長の重岡正之さんは、GZE-1のコンセプトを「世界最強のギア」と説明。開発にあたっては、とにかく頑丈にするために、様々な工夫を施したという。
「決してG-SHOCKデザインのカメラを作ろうとしたわけではなくて、世界最高のタフネスカメラを目指した結果、このデザインになりました。例えば衝撃対策として、ボディ全体を樹脂で覆い、落下の際にレンズやボタンが当たりにくい形状を採用しています。もちろん操作性を損なうわけにはいかないので、押しやすい大型ボタンや掴んだ時に自然と指がボタンに乗るようなレイアウトも盛り込みました」
FRシリーズではカメラ部分とセットになっていたコントローラーを別売りのアクセサリー(GEC-10)扱いとした代わりに、連携可能なデバイスを拡充した。FRシリーズと同様にスマートフォンアプリやアウトドア向けスマートウォッチ「PRO TREK Smart」経由での撮影操作や画像プレビューが可能なほか、新たにリモコン「GEC-1」を用意している。
本機ではFRシリーズより激しいアクティビティでの使用を想定しており、リモコンやアプリでもプレビュー画面を見ないまま撮影する運用に対応している。新規に用意した専用スマートフォンアプリ「G'z EYE」でも、撮影画面ではUIを上下に大きく2つに分割し、極力画面を見ずにハイスピード撮影やパスト連写、ドラマチックスローが撮影できるように配慮したという。
スマートフォンアプリを従来の「EXILIM Connect」とは別とした理由について、カシオ計算機のスタッフによれば「EXILIMとは異なる世界観の製品であり、使い方も少し異なるので、それにふさわしいUIのアプリを用意する必要があった」とのことだ。
ダンサー、サーファーが使ってみたら……
発表会ではゲストとして、ダンサーのShigekixさんと、プロサーファーの加藤嵐さん、同じくプロサーファーの松岡慧斗さんが登壇した。
Shigekixさんは今回の発表に先駆けて、自身が所属するダンスチームでの撮影にGZE-1を使用。普段は狙わないアングルでの撮影でも積極的に使える頑丈さが気に入ったようだった。
「一度、カメラの近くに寄りすぎて、勢いよく蹴り飛ばしてしまったことがあったのですが、その後も問題なく撮影が続けられたのには驚きました。オプションでスタンドやカラビナもあるので、設置場所も色々工夫できて面白いですね」
加藤さんはサーフボードにGZE-1を固定して競技の様子を撮影した映像を披露。Shigekixさんと同様に、ハードな使用にたえる丈夫さを評価するとともに、各種アタッチメントの堅牢さにも注目していた。
「カメラを海で使っていると、落としてしまったりぶつけてしまうこともかなりあるのですが、GZE-1の場合、これなら絶対に壊れないなという安心感がありました。タフな見た目も気に入っています。全体的に作りもしっかりしていて、強力に固定できるので、かなりハードにぶつかっても向きが変わってしまうこともなく、思った通りの撮影ができました」
加藤さんの撮影に同行した松岡さんは、総移動距離2,000kmに及ぶ撮影時のエピソードについて話した。
「新しいカメラで撮る映像ということで『波のある』『きれいな場所』で撮りたいと思っていました。近場では両方の条件をクリアする場所がないので、天気図なども見ながら、日本海沿いに波をチェックしながら、鳥取まで下ってきたのですが、復路も含めたら、気づけば2,000kmを超えていて。かなり大変でしたが、その気になればロードムービーも撮れてしまうと思います(笑)」
質疑応答
――激しいシーンでの使用を想定されているとのことですが、具体的にはどの程度の衝撃まで対応するのでしょうか。
(第一商品企画部)松原直也さん:実際のところ、強い衝撃を受けた瞬間の映像撮影については保証していません。衝撃を受けた瞬間に電池がずれる可能性が確認されており、瞬間的に録画が切れることが考えられますが、その後、撮影可能な状態に復旧はします。
――撮影時に水平を取ることに関しての工夫はありますか?
松原さん:GZE-1では水平を取ることよりも、迫力ある映像を撮影いただくことにこだわったために、水平が崩れることはございます。ただ、オプションとしてスタンドやジンバルも用意しておりますので、完全に水平の取れた映像を撮影いただくことは可能です。
――仕様表によると、有効画素数が690万画素で総画素数が2,114万画素ということですが、この画素をフルに活かせなかったのはなぜなのでしょうか。
松原さん:画素数に関しましては、こだわりを持っておりません。このカメラは基本的に動画を中心に考えていますので、動画画質ということで、このような形になっております。
――カラーバリエーションを追加する予定はありますか?
松原さん:今後、G-SHOCKを想起させるようなカラバリを追加することは考えております。
――動画撮影時の手ブレ補正についてご教示ください。
松原さん:動画撮影時の手ブレ補正では、効き具合に「標準」と「強」の2つを用意しております。デフォルトは標準ですが、動画の手ブレ補正機能を有効にした場合は、若干画角が狭くなります。なお静止画撮影時の手ブレ補正機構は搭載しておりません。
――モニター(コントローラー)が別売りとのことですが、GZE-1はスマートフォンと連携して使うことをベースとしているのでしょうか。
松原さん:皆さんの用途に応じて、スマートフォンやスマートウォッチ、コントローラー、リモコンを使い分けていただきたいなと考えています。
――スマートフォンの普及でデジタルカメラの市場が縮小する中で、あえてニッチを攻める意義・戦略について教えて下さい。
重岡さん:我々がやっているカメラ事業の中でひとつ大きなポイントは、「ビジュアルコミュニケーションツール」という考え方です。
今回、なぜタフネスさを打ち出したかというと、時代の流れとして、映像の楽しみ方が変わってきていることが挙げられます。既存の領域での撮影シーンから、さらに新しいシーンで撮影可能になることを目指す中で、頑丈なカメラを作ることによって、これまで撮影できなかったシーン、シチュエーションをしっかり撮れるようにしたいと考えました。
また、カシオの持つG-SHOCKという資産をしっかりと活かす中で、カシオらしいものづくりを考えた時に、今回のG'z EYEに結びついたとご理解いただければと思います。