特別企画

カシオのフリースタイルカメラ「EXILIM EX-FR10」を持って雪山で遊ぶ

色んなアングルで行動を記録 犬ぞりにも挑戦した!

カシオ計算機のフリースタイルカメラ「EXILIM EX-FR10」は、カメラ部と液晶モニターを含むコントローラー部が分離できることで、自由なアングルで撮影できる点が最大の特徴だ。

両者を合体させた状態ではカメラと液晶モニターが同じ方向を向くので自分撮りにも適しているが、分離して使うことで、より自由度の高い撮影を楽しむことができるだろう。

カメラを分離して使うメリットは、発想次第で様々なアングルを試せる点だ。カシオではEX-FR10の専用アクセサリーとして、マウンタ付きのベルトや三脚ネジ、クリップなどを用意しており、衣服や一脚などの撮影用品、趣味の道具など様々な場所に固定できるようになっている。顔の付近に固定すれば目線に近い位置の映像が撮影できるし、自転車などの乗り物に取り付けて、地面すれすれのアングルからスピード感のある映像を撮ることも可能だ。ペットに取り付けてバイオロギング的に使ってみたり、マルチコプターに固定して高い位置からの視点を楽しんでみたりする手もある。

カメラを何かに取り付けてリアルタイムに遠隔コントロールしたり、映像をモニタリングするにはカメラ以外に高価な専用システムを別途用意するのが普通だが、EX-FR10の場合は、ある程度の制約はあるものの、単体で遠隔撮影とモニタリングが可能だ。カメラ部とコントローラー部はBluetoothでペアリングされており、使用環境にもよるが、おおよそ5~10mの距離まで離れても支障なく撮影できる。簡易ながら、普通のカメラでは不可能な撮影方法を気軽に体験できる点がユニークだ。

カメラ部とコントローラー部を分離できる
付属のカラビナを使って腰に装着したところ
ネックストラップが付属する
一脚の先に着けたところ
21mm相当の広角レンズで広い範囲が撮影可能
手持ちでの自分撮りもできる

カメラ部とコントローラー部が分離するという性質は、スポーツなどのアクティビティと相性が良い。体の一部や道具に装着することで、自分の視点や体験を映像として残し、他者と共有できる点に価値がある。

EX-FR10も、いわゆるアクションカメラ的に使用することを想定した設計となっており、防塵・防滴と-10度までの耐寒に加え、2mまでの耐衝撃性能を備えている。

今回はスキー場でEX-FR10を試す機会を得たので、使用感を中心にレポートする。

なお、別途山歩きのシーンで使ってみたレポートや、北村智史氏によるレビューも用意しているので、併せてご参照いただければ、EX-FR10に関する理解がより深まるだろう。

雪山でも安心のタフネス性能。アタッチメントの活用で斬新なアングルからの撮影も可能に

向かったのは、群馬県みなかみ町にある水上高原スキーリゾート。谷川連峰や尾瀬、日光の山々を望みつつ、EX-FR10を装着してコースを滑り降りた。

水上高原スキーリゾート

前述の通り、EX-FR10を固定するための専用アクセサリーがいくつか用意されている。主なアタッチメントは、三脚ネジを備えた「EAM-1」(2,000円。税別、以下同)、クリップ型の「EAM-2」(2,500円)、マウンタ付きバンドの「EAM-3」(3,500円)の3種類。筆者は今回、撮影者の主観に近い視点で撮影したかったので、EAM-3を使ってカメラをヘッドライトのように装着した。

マウンタ付きバンドのEAM-3を使って帽子の上から装着した状態
クリップ型のEAM-2でストラップに装着したところ
スノーボードに装着したところ。工夫次第で様々なアングルが考えられる

各種アタッチメントは工夫次第で様々な着け方が可能であり、その分だけアングルが取れる。約21mm相当の広角レンズを搭載しているので、大体の角度で取り付ければ概ね狙い通りに撮影できるが、アングルの調整をしたいときはコントローラーでカメラの映像が見られるので、微調整も簡単だ。このあたりは、カメラとコントローラーが分離していることの明確なメリットだろう。防滴、耐衝撃、耐寒仕様なので、ある程度ラフに扱えるところも便利だ。

実際に撮影してみると、大体意図した通りの視点で撮れており、画質も必要十分。概ね納得の行く結果だった。

作例:オートホワイトバランスは青に転ぶ傾向がある

EX-FR10では電子式手ブレ補正が働くが、スキーやスノーボードは斜面の状態や体勢の維持などで激しく動くので、正直言ってもう少し強力な手ブレ補正は欲しいところ。

動画撮影機能は、常時回しっぱなしにして記録するというよりは、移動しながら時々立ち止まって、周囲の状況を記録するという使い方が良いのかもしれない。

下の動画は、目線の高さで撮るとスピード感が出ないので、もっと低い位置にカメラを固定したほうが良かったかもしれない

電池の持ちについても言及しておこう。結論から言えば、気温-6度のスキー場で静止画や動画を撮影しつつ、4時間程度連続で使用したところでカメラ、コントローラーとも電池切れ表示になった。このとき記録メディアに記録されていたファイル数はおよそ220枚程度だった。

EX-FR10の公称電池寿命は静止画撮影時で約255枚、フルHD動画記録時は約1時間15分、連続再生を行なうと約4時間5分。一般的に寒冷地で電化製品を使用した場合は電池の持ちが悪くなるので、概ねスペックシート通りの性能という印象だ。より長時間の使用を検討する場合は、やや荷物になるがモバイルバッテリーを持って行った方がいいだろう。

ちなみに、充電しながらでも撮影はできるが、コネクタを使用するため防塵・防滴性能はなくなる。

両手が塞がっていても自動的に記録できるインターバル撮影機能

ところで水上高原スキーリゾートでは、本州唯一という犬ぞり体験も実施している。インストラクターと一緒に約2kmのコースを走破するもので、雪国ならではの体験ができるアクティビティとして人気が高い。参加は二人一組で、料金は一人当たり8,500円とやや高額ながら、週末ともなると実施の前日には予約が埋まるようだ。

犬ぞり体験の様子。6頭の犬がそりをけん引する
準備の様子
犬達は細く見えるが、近くで見るとかなり筋肉質だ
過酷な環境だが、防滴・耐寒性能のおかげで遠慮無く使える

スキーの時と同様、帽子の上からEAM-3を巻き、カメラを装着して撮影に臨む。犬ぞりに乗るときは両手が塞がるので、ここではインターバル撮影モードを利用した。一定間隔で静止画を撮影し、4回おきに5秒の動画記録を行なうモードだ。撮影間隔は15秒、2分、5分の3つから選べる。今回は15秒を選択した。

インターバル撮影中はモニターが消灯し構図や撮影画像の確認ができなくなる。両手が使えないときに有用な一方、撮影中に構図の微調整ができない点で不便だが、後から撮れた画像を確認してみると、思いがけない瞬間が撮れていることもあった。そうした不便さを楽しむ余裕も時には必要だろう。

一度出発すると、ノンストップでコースの果てまで走り抜けることになる。犬ぞりにしがみつきながらモニターで構図を確認する余裕はなかったので、作例は一発撮りだ。

作例
作例:インターバル撮影で撮影した静止画。犬が蹴り上げた雪までしっかり写っている

下の動画はインターバル撮影で撮影した動画。欲を言えば動画の撮影時間も選べたらよかった。

結果としては犬ぞりの先端、そりを引く犬、道と遠景がバランス良く収まって、意図した通りの構図で撮れており満足のいく写真が撮れた。インターバル撮影で撮れる動画は5秒と短いが、走りだしてから終わりまでずっとこの調子なので、雰囲気を記録して伝える分には適当な長さではないかと思える。

作例:ディスクドッグも実施した
作例:いろいろな技があるらしい

まとめ

レジャーやアクティビティにおいては、記録したいタイミングに両手が塞がっているケースが意外と多い。EX-FR10ではカメラを固定できる場所を増やすアタッチメントを活用することで、両手をフリーにしつつ撮影アングルの幅を拡げられるので、使い所を考えて工夫してみるのが楽しい。カメラ固定用の純正アクセサリーEAMシリーズはやや割高感があるが、その有無によって使用上の快適度は大違いなので、ぜひ導入を検討してみてほしい。

もちろん、毎回意図通りに上手く撮れるとは限らない。21mm相当の広角レンズを装備しているとはいえ、ベストなアングルで映像を記録するには、それなりに手間暇をかけて微調整を繰り返す必要がある。ただ、面白いアングルを求めていろいろな使い方を試行できる余地があるのは良いことだと思う。

スキーのストックにカメラ部を取り付けた
腿の部分にカメラを固定してみたところ
スキー靴に取り付けてみた。バンドの固定力は高いので意外と外れにくい
後ろ向きに着けて背後の映像を撮るというアイディアもある

カメラの性質としては、アクションカメラのように装着したまま全体をゆるく記録する使い方が向いているだろう。ここ一番の決定的瞬間をきっちり押さえたい場合にも使えなくはないが、レスポンスや画質的な観点から、記録用と割り切った方が良い。そもそも画質を追求するタイプのカメラではない。

繰り返しになるが、EX-FR10の独自性は、カメラ部とコントローラー部が分離し、タフネス性能を有することから、無茶な使い方が気軽にできる点にある。ユーザーインターフェースをはじめ、使い始めは独特な操作性に戸惑うかもしれないが、一度慣れてしまえば、どんどん新しい撮り方を試してみたくなる、不思議な魅力を持ったカメラだ。

関根慎一