ニコンZ × NKKOR Zレンズ 写真家インタビュー
良好な画質と小型軽量ボディ 用途と操作性が自分にフィットした…石田卓士さん
Nikon Z 7 & NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
2019年7月11日 07:28
ニコン初のフルサイズミラーレスカメラ「Z 7」「Z 6」が発売され、写真家の間にも浸透してきた感がある。しかし、我々にとってニコン=高性能な一眼レフカメラのイメージがいまもなお強い。そうしたニコンを愛する写真家が、どのような考えでミラーレスカメラZの所有に至ったのか、気になるところだ。
この連載は、Nikon Zを使いこなす写真家に登場いただき、Nikon Zに惹かれた理由や、そのきっかけなどを聞くインタビュー企画。お気に入りのNIKKOR Zレンズについても話をしていただく。
今回は風景写真家の石田卓士さんに、愛用するZ 7とNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sについて聞いた。(聞き手:編集部、作品キャプション:石田卓士)
石田卓士
1971年生まれ。新潟県上越市在住。地元の棚田の美しさに惹かれ、総合病院で内科医として働く傍ら、2016年から風景写真を撮り始める。その土地に対する想いと独自性を大切にしている。また花火を撮ることも多く、花火では風景と絡めた情景花火をテーマにしている。
地元目線で大切に風景を撮る
——カメラで本格的な撮影をはじめたきっかけを教えてください。
子どもの行事やスポーツ大会など撮るため、D300を購入したのが最初です。その後、地元の知人に風景写真を勧められたのです。当初は動く子どもをうまく撮ることに熱中していましたから、「動かない風景なんて」と思っていましたが、知人の一人に「いつもその風景に接している地元民でないと撮れない風景もある」との考えを聞かされ、「子どもを撮るのと一緒だ」と思い至り、風景写真に興味を持ちました。それを機にフルサイズのD700を購入、風景写真にのめり込んでいったのです。
——医師としてのお勤めと撮影の両立は大変かと思います。
撮影には出勤の前や後に行ってますので、それほど難しいわけではありません。もちろん、撮影に時間を割けない時もありますが、出勤の前後に撮影地に立ち寄ることで、私の好きな朝焼けや星景が撮れるのです。
——Z 7を購入した理由・きっかけとは?
東京カメラ部さんの企画で初めてZ 7を試用しました。そのときメインだったD850も大変気に入っているのですが、Z 7はD850の良さをそのままに小型で軽量、操作性も自分にぴったりくる。「これだ!」と思いました。東京カメラ部さんにZ 7を返却するとほぼ同時に、自分でも購入して今に至っています。
——もともと三脚に装着しての撮影がほとんどでしたよね。一眼レフカメラにあえてこだわる必要はなく、ミラーレスカメラへは自然に移行できましたか?
そうですね。素早く動く動体を撮るわけではなく、私の作品は風景がメインです。ミラーボックスやプリズムファインダーがなくなることで小型軽量になるなら、そちらの方がありがたいです。
——Z 7のファインダーは光学式ではなくEVFになります。そこに不満は生じませんでしたか?
最初は不安でした。でもいざ使ってみるととてもきれいで見やすい。撮るときに大きく違和感を覚えることはありません。背面モニターと同じデザインの水準器がファインダー内に表示されるのも便利ですね。縦位置用のファインダー内表示もありがたいです。
——操作系もZ 7とD850とではかなり違います。乗り換える障害になりませんでしたか?
実はZ 7を気に入った点のひとつが操作性だったのです。特に操作ボタン類が右手側に集まっているのが良いですね。いろんな操作を片手で自然な流れで行えます。そんなに難しいものではなく、ニコン一眼レフカメラのユーザーでも、1日あれば覚えられるのではないでしょうか。
タッチパネルも使いやすいですね。タッチシャッターに設定していますが、ピントを合わせたいところに指を合わせ、そのあとそっと離すとブレずに撮れます。レリーズケーブルやリモコンがいらないのでは? と思うほどです。
——Z 7の画質はいかがでしょう。
D700から機種を乗り継いできて、D850でたどり着いた画質にはかなり満足しています。しかしZ 7はD850よりさらにシャープですし、D850のような階調の豊かさもあります。マウント径の大きなNIKKOR Zレンズの力もあるでしょうし、シャープネスや階調といった絵作りに対する考え方も、D850より変化しているのかもしれません。
それに、高感度ノイズが少ないのがうれしいですね。感度を高めにして星景写真を撮ることがあるのですが、ノイズがあるのかないのかわからないくらいです。
——Z 7はカスタマイズできるボタンが多くあります。ボタンカスタマイズの内容を教えてください。
ほとんどデフォルトのままです。U1〜U3のダイヤル、iメニューも購入したままですね。ただ、Fn1(マウント脇上側のボタン)に、再生モードへの切り替えを割り当てています。このFn1ボタンは押しやすいので、とても助かっています。
——Z 7の記録メディアはXQDですが、同じくXQDを採用するD850をお使いでしたので、抵抗はなかったわけですね。
はい。D850の頃からXQDを使っています。これまでトラブルに遭遇したことはなく、シングルスロットのZ 7でも不安は感じていません。現在は128GBと120GBの2枚を併用しています。
完成度の高い広角ズーム「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」
——Nikon Z用のレンズ、NIKKOR Zレンズは何をお使いですか?
「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」の2本です。
——このページではNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sで撮影された作品を紹介しています。このレンズのどんなところがお気に入りですか?
沈胴式でとにかく小さくて軽く、持ち運びもしやすい。マウントアダプター FTS経由で「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」も使用していますが、このレンズの方がZ 7に似合っていると思います。
画質面にも問題はありません。解像力が高く、四隅の描写も崩れていません。主に明るさの面から、星景を撮るときだけ開放F4のスペックに物足りなさを感じますが、そうでないシーンならこのレンズの良さが引き立ちます。逆光によるゴーストもほとんど出ません。
——操作性はいかがでしょう。
NIKKOR Zレンズはフォーカスリングとズームリングがはっきり分かれており、手探りでも間違えることがなくなりました。それに造りも良いです。一度決めたフォーカスを動かないように、フォーカスリングにテープを貼っていますが、テープを貼ってなくてもこのレンズは不用意に動くことがない。しっかりした設計だと思います。レンズ前面にフィルターをつけられるのも、D850で使用している「AF-SNIKKOR14-24mmf/2.8GED」にないメリットですね。
——今後出てほしいNIKKOR Zレンズはありますか?
70-200mmF2.8ですね。FTZを利用して「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR」をつけていますが、発売ロードマップに記載されてる「70-200mm f/2.8」に期待したいです。
デジタルカメラマガジン最新号も要チェック!!
デジタルカメラマガジン2019年7月号では、石田卓士さんによるNikon ZおよびNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sのテクニック解説が掲載されています。あわせてご覧ください。