多重露出でファンタジーテイスト!

ほんわか写真が撮れる多重露出を使ってみましょう

今回は、デジカメの多重露出(多重露光とも言います)機能を使ってファンタジー写真に挑戦しましょう!

多重露出とは、複数の画像を重ね合わせた写真を撮影する方法です。花火や蛍などの撮影で使われることの多い手法で、もともとは、フィルムで撮影するときに1枚のフィルムで2回以上撮影することを言いました。最近のデジカメにはこの多重露出機能が付いていることが多いので、この機能を使ってファンタジーテイスト溢れる写真を撮ってみましょう。

馬のオブジェを撮影。1枚目はオブジェにピントを合わせて、2枚目はピントリングを回してわざとピンボケにしました

カメラの設定ですが、大体撮影メニューに多重露出の項目があると思います。ときにはそのなかに、重ね合わせた画像の露出が適正になるように自動で補正してくれる機能があります。例えばニコンD600では[自動ゲイン補正]と言いますが、この機能はONにしておくことをオススメします。

なぜかと言うと、多重露出は撮影した画像を重ねて作るので、明るい所に明るい物が重なると露出オーバーになって白トビしたような写真になってしまうからです。自動ゲイン補正はこのような事態にならないように、画像の明るさを自動調整してくれるのです。暗い背景の被写体を撮影する時にはあまり必要のない機能ですが、撮影の度に設定し直すのも大変ですので常時ONでも問題はありません。

1枚目はシャープに、2枚目はふんわりと

街灯と近くの木漏れ日を多重露出で撮影しました

この写真は、1枚目は街灯にピントを合わせて撮影し、2枚目は近くの木と太陽の木漏れ日を使って丸ボケを作って撮影したものです。丸ボケの作り方は簡単で、オートフォーカスは使わずに自分でピントリングを回すマニュアルフォーカスで光が丸くボケるところを探して、そこでシャッターを切ります。

高くそびえている木を見上げるようにすると丸ボケを探しやすいですが、太陽の光を直接見て目を傷めないように注意してくださいね。

マニュアルフォーカスで作り出した丸ボケ。木漏れ日を見上げるようにすると作りやすいです

全体を華やかにしたいときは背景は暗めがオススメ!

前述のように明るい画像に明るい画像を重ねると露出オーバーになってしまいますので、写真全体を華やかにしたいときは、背景には空などではなく濃い色を入れるといいでしょう。

例えば、下の作例は上で使った木漏れ日の丸ボケ画像と、背景に濃い色のある画像を重ね合わせてできたものです。

次の作例では、同じ丸ボケ画像と空を背景とした画像を重ね合わせています。空の部分は色味がほとんど飛んで、重ね合わせのおもしろさが半減してしまいました。

特に意図してヌケを作りたいときは別ですが、空のような明るい部分が多い画像を重ね合わせると華やかさが減ると覚えておきましょう。

今回は2枚の画像を重ね合わせる多重露出についてお話しましたが、カメラによっては3枚、4枚ともっと多くの枚数を重ね合わせられる機能を持っているものもあります。

後からソフトを使って画像合成することもできますが、その場で重ね合わせる画像を選んで撮るのはとても新鮮で、どんな写真になるか想像するワクワク感も楽しめますので、ぜひトライしてみてください!

撮影機材

NIKON D600
PENTAX Q10

(2013/6/10)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com