カメラ旅女の全国ネコ島めぐり
ケラマブルーの島で、ネコ・シカ・人に出会う旅(阿嘉島・前半)
2019年3月28日 17:00
沖縄本島の那覇から西へ約40km、東シナ海に浮かぶ慶良間諸島の1つに阿嘉島(あかじま)があります。“ケラマブルー”と称えられる青く透き通る海が美しく、慶良間諸島のなかでもこぢんまりとして、とにかくスローな時間が流れています。
周囲約12km、人口は260人弱で集落は1つだけ。
ダイビングをする人たちが多く来島しますが、島内には観光名所らしい何かがあるわけではなく、それでも「その何もないのがいい」と、年間通して何度もリピートする旅人が多いようです。
そして穏やかな島には、ネコたちも多く暮らしているようです。
今回初となる阿嘉島へ、カメラを抱えて、行ってきました!
【これまでのねこ島めぐり】
島好きの旅人と知り合う
那覇の泊港から、フェリーざまみ、または高速船のクイーンざまみに乗って、通常1時間〜1時間半で阿嘉島へ着きますが、私が行ったときはクイーンざまみがドッグ入りしていたため、高速船のマリンライナーとかしきで一度渡嘉敷島へ渡りました。
そして渡嘉敷島(とかしきじま)の阿波連港から村内航路船(村営船)に乗って、約30分ほどでようやく阿嘉島へ到着。
宿に到着した頃には太陽が沈み、すぐに夕食をいただいて、ひと休憩。
一人旅の女性Oさんと話していたら、そのまま“ゆんたく”が始まって、宿主やスタッフ、地元の方と泡盛で呑んだくれ。
「今どき、こんなふうに、ゆんたくする宿は減ってるみたい」とOさん。
カリー! と、沖縄の言葉で乾杯が何度もかわされて、
「何してるの?」「ネコならその辺たくさんいるよ」と、あっという間に溶け込んで、「はじめまして」よりも「ただいま〜」って言ってしまいそうになるのでした。
強烈な初夜はぐっすりと眠り、朝目覚めると、隣の慶留間島(げるまじま)へかかる阿嘉大橋の上から、ごきげんよう〜と太陽が顔をだしていました。
すぐにカメラを持って、テラスから1枚パチリ。島々が重なり合う光景、どことなく瀬戸内海や五島列島の島々を思い出しました。
朝食の時間にまたOさんと顔を合わせ、今日は何をするのか聞くと、「何もしません。それで、ここに5日ほど」と笑って答えるので、私もつられて笑ってしまった。
そうそう、単に島が好きな旅人は、何もしなくてもいいという方が多い気がします。
島の空気を吸いに来た、というだけで、立派な目的なのです。
島の雰囲気を伝えるネコたち
朝食後、宿で自転車を借りて、島の散策をスタート!
まずは、「ニシバマ」と呼ばれるビーチの海が一段と美しいというので、宿でもらった手作りマップを元に出発しました。
阿嘉島は、海から見て港の左側へ細長く前浜ビーチがあり、それに沿って集落があります。集落のどこからも、簡単に前浜へ出られる近さ。
宿は港と反対の端に近いところにありますが、港まで歩いても5分ほど。車1台がやっと通れるほどの、昔ながらの面影を残した集落では、徒歩か自転車がぴったり。
その間に、幾度となくネコに出会いました。ネコを通して、その町の雰囲気を感じることがよくありますが、阿嘉島はほんとうに、ネコもスローでピースフル。
時折自電車を降りて、ネコたちの写真を撮らせてもらいました。
宿の近くに、鳥居がありました。
昨夜のゆんたくの時にいた、ブループラネットというダイビングサービスのオーナーが、「阿嘉島は沖縄のなかでもとても神聖な島で、ユタの修行の場ともなっている」と教えてくれました。
宿のオーナーも、「島には男性が入れないところがたくさんある」と言っていました。
そういう場所は“御嶽”と呼ばれる神聖な場所です。
山側の見晴らしのよいところから阿嘉島の集落を撮りました。
背の高い建物もなく、優しい色合いの集落です。
前方には阿嘉大橋でつながった慶留間島が、その奥には外地島が見えます。慶留間島には人が暮らしていますが、外地島は空港があるだけ。
お天気がよくて喉が渇いたので、垣花商店へ寄りました。生活に最低限必要なものがぎゅっと詰まっている感じ。
なんだか、都会にはないようなノスタルジックな感じで、懐かしさがこみ上げる雰囲気。
大型スーパーよりも、ずっと絵になるなあと思いながら写真をパチリ。
ほんとうに美しい浜辺に感動
さて、ニシバマへ行く道はふた通りありますが、集落をぬけて山側の道から行ってみることにしました。
ぜーはーぜーはーと立ち漕ぎしながら10分ほどで、ようやくニシバマビーチへ到着。ところが「北浜」と書いてあるので、「あれ、西をすっ飛ばしてきちゃった!?」と思ったら、沖縄では「北浜」と書いてニシバマと読むらしいのです。
外国語みたいに、難しくて面白い!
なにより驚いたのは、海外でもあまり見たことがないほどの美しいビーチが広がっていたことです。海の色のグラデーション、白い砂浜、日光浴する外国人の3点揃いで、海外と見紛ってしまいそう。
同じような構図ばかり、何枚も写真を撮ってしまいました。
もうちょっと暖かくなったら、泳ぎたいなあ。
さらに驚いたのは、ニシバマビーチからすぐの道で、天然記念物のケラマジカとばったり遭遇。
実は集落でも一瞬見かけたのですが、阿嘉島には野生のケラマジカが暮らしています。慶良間諸島のなかでは、阿嘉島と、橋でつながった慶留間島と外地島にいるらしいです。ケラマジカも橋を歩いて移動しているのでしょうか? なんだか微笑ましいです。
茶トラ一家に出会う
集落へ来たときとは別の道で戻ると、阿嘉島の港のほうへと出ました。
それから阿嘉郵便局を発見。
島で唯一の金融機関です。木製の看板が雰囲気でています。
ふたたび集落を走ると、ひょっこりネコさんが見えたので、覗いてみると、ビッグ・ファミリーでした!
茶トラさんがいっぱい、ぎゅぎゅっと寄り添って寝ています。
外からネコを眺めていたら、おじさんに「入っていいよ」と言われて、中に入らせてもらいました。どうやら民宿のようです。
「10、いや20くらいいるかねえ」とおじさん。
ご飯をあげていたら、みんな集まってくるようになったみたいです。
庭はネコの世界で、みんな穏やかにお昼寝していました。
島によっては、ネコの柄の傾向があるみたいですが、阿嘉島は茶トラや三毛柄が多い印象です。写真を撮る時、華やかに映るのでフォトジェニック。
宝石のような美しさをたたえる海
民宿のおじさんのおかげでネコたちとのんびり過ごせた後、宿に自転車を置いて、歩いて天城展望台へ向かいました。
登り道も気持ちよくて、歩いて10分くらいで到着。
海の美しさを一言で表現するには難しいけれど、こういうときは写真のほうが数段表現力があります。
ブループラネットのオーナー曰く、ケラマブルーの青さは、透明度の高さがとても高いからだそうです。太陽の光がどこまでも海の中に浸透して、宝石のように美しいブルーの色を放つそう。
夜、ダイバーサービスのプループラネットで、ももちゃんという可愛らしいネコちゃんと会いました。
彼女は、子猫のときに沖縄本島でお客さんに保護されて、そのまま連れてこられて、そのまま一緒に暮らすことにしたそうです。ふわふわの毛並みが自慢のお嬢様です。
その後、宿で美味しい夕食をいただき、その後はまたゆんたくが始まりました。誰が誰であって、どこで何をしているかなんて関係なくて、みんながここに来たという「共通点」で心が通う時間。
ネコ、海、シカ、そしてたくさんの人に出会う、濃厚な滞在です。
「いちゃりば〜ちょーで〜」
沖縄の言葉で「一度会ったら兄弟」という意味の言葉を幾度となく聞いて、夜が更けていきました。
つづく