編集後記

2021年12月3日

宮本義朗

師走です。今年は夏ごろから、なんだかずっとバタバタ気味であっという間にここまで駆け抜けてしまったという感じです。年内には片付けたいと思っていた仕事も、一体どこまでやれるだろうかと不安になる日々。いろいろとお待たせしてしまっている皆様には大変申し訳ない気持ちです。

目まぐるしく流れていく時間ですが、そんな中でも時折足を止めて、心を整理する時間を作りたいものです。そんなとき出合ったのがこの一冊。ハービー・山口さんのフォトエッセイ集「HOPE 2020- 変わらない日常と明日への言葉」です。岡嶋和幸さんの連載企画「あとで買う」でも紹介されましたが、私もすぐにポチったひとりです。

この本は、2020年春ごろから2021年夏ごろにかけて、コロナ禍の世界でハービーさんが目にしたもの、出会った人々と交わした会話などの記録となっています。緊急事態宣言などを経験し、一見すると変わってしまったように見える世界の中で、変わらない人々の心をハービーさんが見つめています。

本に収められた写真には、街の風景やハービーさんが出会った人々の眼差しが写し出されています。それらは“HOPE”、まさに希望ともいえるような輝きを放っているように見え、同じ時代を生きる者として何か勇気を分けてもらえたような気がします。

人を思いやり、人にやさしく、かつ自分の心にも正直に。そうありたいと思える、とても温かな時間が流れる素敵な本との出合いです。