いま“知っておきたい”トレンドワード
カメラユーザーと「USB4」 Thunderboltとの違いは?
2026年2月12日 12:31
以前のトレンドワードでは「USB 3.2 Gen 2」についてまとめましたが、最近のカメラ周辺機器を見ていると、「USB4対応」という表記を目にすることが増えてきました。CFexpressカードリーダーや外付けSSD、ノートパソコンなど、さまざまな製品で見かけるようになっています。
ただ、読者の中には「Thunderboltと何が違うのか?」「速そうだけど写真用途で本当に必要なの?」「また新しい規格が出たの?!」と、いろいろな疑問が湧いてくる人もいるでしょう。そこで今回は、USB4をパソコン中心ではなく、写真や撮影作業の延長線として整理してみることにします。
USB4の設計思想とThunderboltとの関係
まず押さえておきたいのは、USB4は単純に「USB 3.2の次の世代」ではない、という点です。これまでのUSB規格は、形状は同じUSB Type-Cなのに、速度も機能も違うという状況が続いてきました。あるケーブルではデータ転送だけが可能で、別のケーブルでは映像転送もでき、さらに別のものでは高速充電にも対応する、といった具合に、混乱を極めた状態だったと言えます。
この分かりにくさを整理するために登場したのがUSB4です。高速なデータ転送、映像出力、電力供給を1本のケーブルで扱うという考え方を明確にした規格であり、USB 3.X混乱から抜け出したいユーザーにとっては、有力な選択肢といえるでしょう。
USB4を理解するうえで欠かせないのが、Thunderboltとの関係。Thunderboltは、もともとIntelが中心となって開発し、初期からAppleが深く関与してきた規格で、データ転送だけでなくPCI Expressの通信にも対応しているのが特徴です。USBが異なる機器間のデータ転送を目的とした規格だったのに対し、Thunderboltは、外付けデバイスをマザーボードに直接接続されたパーツと同じように扱いたい、という別の思想を持った規格でした。
Thunderbolt 2まではMini DisplayPort互換のコネクタ形状を採用しており、USBとはまったく異なる存在でした。コネクタがUSB Type-Cとなり、USBと互換性を持ち始めたのはThunderbolt 3(2016年)からです。
大きな転換点となったのは、2019年にIntelがThunderbolt 3の仕様をUSB-IF(USBの規格を策定する業界団体)に提供したことでした。この技術をベースにUSB-IFが策定したのがUSB4です。そのためUSB4とThunderboltは技術的な共通点が多くあります。ただし、USB4と書いてあればThunderboltと同じ性能が出る、というわけではない点には注意が必要です(ややこしいところです)。
ちなみに、USBと4の間にスペースを入れない「USB4」が正式な名称です(USB 3.Xはスペースを空ける)。
USB4の規格や特徴
USB4では、20Gbpsクラスと40Gbpsクラスの転送モードが定められています。シングルレーン構成では最大20Gbps(約2,500MB/秒)、機器やケーブルが対応していればデュアルレーン構成で最大40Gbps(約5,000MB/秒)まで対応。写真や映像データの転送用途としては、十分すぎる性能といえるでしょう。製品名にも「USB 20Gbps」「USB 40Gbps」といった形で分かりやすく表記されるケースが増えています。
電力供給については、ほぼすべてがUSB Power Delivery(USB PD)60W以上に対応しており、多くは100Wや240Wといった大電力にも対応。カメラや出先でのノートパソコンへの給電用途で困ることは無さそうです。
一方で、機器側についてはUSB PD対応が必須ではなく、高速転送には対応しているものの給電には非対応、という製品がごく一部存在します。このあたりの分かりにくさは、USBらしさがまだ残っている部分といえるでしょう。
ケーブルは、USB-IFの認証を受けた製品であれば「40Gbps / 240W」といった分かりやすいロゴが表示されるのは安心材料です。
映像転送についても、USB4はDisplayPort信号のトンネリングに対応しており、4Kや8Kモニターへの出力が可能です。ただし、機器側の実装によっては映像出力に対応しないケースもある点には注意が必要です。
また、Thunderbolt 4ケーブルはUSB4の上位互換にあたるため、USB4の機能をすべてカバーすることができます。給電性能が100Wにとどまる製品が一部ある点を除けば、汎用性は非常に高いといえるでしょう。
2022年には最大80Gbpsに対応したUSB4 Version 2.0という規格も策定されました(また名前がややこしくなってきた……)。2026年現在では、一部の対応機器やケーブルが市場に出始めている段階です。
Thunderboltのように厳格な仕様で性能を保証する規格と比べると、USB4は実装の自由度が高く、同じUSB4でも性能に差が出る可能性があります。ただし、USB 3.X時代と比べれば、全体としてはかなり分かりやすくなったといえるでしょう。Thunderboltよりもコストパフォーマンスに優れる点も魅力です。
カメラユーザーにとってのメリット
我々カメラユーザーにとって、USB4が最も恩恵を発揮するのは高速転送性能でしょう。最近のCFexpress 4.0世代のカードでは、読み出し速度が3,000MB/秒を超えるものも少なくありません。最大40Gbps(約5,000MB/秒)に対応するUSB4との相性は非常に良く、USB 3.2 Gen 2(最大10Gbps)では物足りなかった部分をしっかり補ってくれます。大量に撮影した写真や映像データを短時間で取り込める体験を1度味わうとなかなか元には戻れません。
もちろん、パソコンやカードリーダーがUSB4に対応していることが前提にはなりますが、すでに高速なCFexpressカードを使っているのであれば、今後のカードリーダーやパソコン、外付けSSDはUSB4対応のものを検討する価値は十分にあります。
一方で、すべてがUSB4で解決するわけではありません。カメラユーザーにとっては、USB 3.Xの方が有利なシーンも存在します。その代表例がケーブルの長さです。USB4ケーブルは高速通信を担保するため、一般的に0.8m程度、長くても2m前後に制限されます。カメラとパソコンを接続してテザー撮影を行う場合には、短すぎると感じることもあるでしょう。
その場合は、Tether Toolsなどから販売されている5mクラスのUSB 3.2ケーブルと併用する必要があります。USB4ケーブルがすべての撮影シーンをカバーできるわけではない点には注意したいところです。
まとめ
現時点でUSB4は、誰にとっても必須の規格というわけではありません。ただし、CFexpressを多用する人、高速な外付けSSDで作業する人、ケーブルの本数を減らしたい人にとっては、非常に魅力的な選択肢です。
一方、SDメモリーカード中心の運用であれば、当面はUSB 3.2 Gen 2でも困らないケースが多いでしょう。次回の機材更新時にUSB4を検討してみる、というくらいのスタンスでも十分です。
また、規格としてはThunderbolt 4やThunderbolt 5の方が上位互換にあたる状況です。MacなどThunderbolt対応機器を使用しているユーザーであれば、多少コストは上がりますが、ケーブルをThunderbolt 4や5対応品で揃える、という選択も現実的だと思います。




