当世プロサービス事情

ソニー・イメージング・プロ・サポート

ソニーマーケティング株式会社デジタルイメージングビジネス部の安田孝司さん。

ソニーのレンズ交換式カメラαのスタートは2006年。カメラメーカーのなかでは後発と言ってよいだろう。しかしながら、プロサービスを立ち上げたのはそれからさほど遠くない2014年だ。これはフルサイズのミラーレスカメラα7シリーズの登場(2013年)が大きく影響している。言うまでもなく、このシリーズの登場で同社のレンズ交換式デジタルカメラを使用するプロカメラマンが格段に増えたからだ。

現在α7シリーズは3世代目へと進化し、さらにハイエンドのα9が登場するなど、ますますプロのニーズが高まっている。

そのような同社のプロサービス「ソニー・イメージング・プロ・サポート」についてソニーマーケティング株式会社デジタルイメージングビジネス部の安田孝司さんにお話をお聞きした。

歴史と組織

繰り返しとなるが、ソニー・イメージング・プロ・サポートがスタートしたのは2014年。窓口は数寄屋橋交差点に面したソニービル内であった。ちなみに同年には、写真ギャラリー「Sony Imaging Gallery」も同じソニービル内にオープンしている(現在はプロサービスの窓口とともに銀座4丁目交差点に面した銀座プレイスに移転)。

ちなみにプロサービスの呼称については公式には略していないという(ここでは便宜上プロサポートとする)。

プロサポートを立ち上げた理由としては、α7シリーズの登場により仕事で愛用するプロカメラマンが増えてきたことに加え、今後の製品づくりにユーザーとの対話を重視したいメーカー側の思惑もあった。同社ではプロ会員の声を重要なVOC(ヴォイス オブ カスタマー)のひとつと位置付けている。特に同社の場合イメージセンサーから画像処理エンジン、光学系に至るまでほぼ全てを内製化しているので、その効果の比重はライバルに増して大きいと考えられる。

またプロサポートを開設した年から毎年、会員専用の懇親会を開催している。会員の1年の労を労うとともに、同社の開発および設計部門の担当者なども出席し交流を深める。これも生のVOCの収集しフィードバックにつなげる場として今後も継続する予定だという。

修理・点検など

プロサポートの専用窓口は現在のところ銀座、名古屋、大阪、福岡天神、札幌の5カ所のソニーストア内。サービスセンター自体を縮小するカメラメーカーもあることを考えると心強く感じられる。

直接窓口に伺えない会員に向けては、宅配便サービスが用意されている。こちらは送られてきた輸送用ケースに該当する機材を入れて送り返し、さらに修理完成後同じく輸送用ケースで会員宅まで送り届けるサービス。1回(2往復)で税別600円とリーズナブルだ。

また、事前に代替機の予約を行えば、代替機が輸送用ケースに入れられてくる。返却も、修理完成の入った輸送用ケースに入れて送り返せばよい。

イメージセンサーのクリーニングは保証期間中であれば無料、保証期間を過ぎたものはボディとレンズの外観清掃も含め税別1,000円。さらにイメージセンサーのクリーニングに加え、各部の点検および清掃を行う「α清掃・点検サービスライトコース」は税別3,000円。いずれも即日渡しなので、翌日に撮影が控えているカメラマンも安心だ。

試用機材の貸し出しは同一機種につき原則1回、1週間以内で無料。現行のαシリーズとEおよびAマウントレンズのほか、サイバーショット(RXシリーズ)なども借りることができる。

機材の購入に関してはソニーストアで使用できる15%オフクーポンを発行する。クーポンは年6回の会計分が発行されるので、足りなくなることはないだろう。さらにソニーストアで機材を購入した場合、1年間の保証が3年間に延長されるのもうれしいサービスだ。

スポーツイベントなどでのサービスデポも積極的に展開している。後発のメーカーではあるがそのあたりについても抜かりはなく、特にα9の登場以降スポーツを撮るプロカメラマンが増えてきており、積極的にサポートしていきたいとのことである。

なお、海外にもプロサポートを展開しているが、現在のところ国内とのサービス内容などが異なるため、そのまま同じサービスを受けられないこともあるという。そのため、事前に日本のプロサポート窓口に相談してほしいとのことだ。

入会条件・費用

プロサポートの会員になる条件としては、写真や動画の撮影を生業としているプロフェッショナルの方であること、ソニー製レンズ交換式αまたは、サイバーショットRXシリーズを計2台以上、かつソニー製交換レンズを3本以上を所有していることなどとなる。

また、入会に際しては、面接を行い、そのときに過去1年以内に、申込者がプロフェッショナル(職業として対価が発生)として撮影された成果物を計3点以上、免許証やパスポートなどの身分証明書、業務で使用している名刺、所有機材リストに記した機材なども提出する。

プロサポートの入会金は税別5,000円、年会費は税別1万円。

情報提供

会員にはプロサポート会員専用ページやメールマガジンで、新製品情報、イベント情報、ファームアップなどを告知。製品などに対する問い合わせも会員専用ページから可能。

会員証・プロストラップ・オリジナルグッズなど

プロサポート会員に認定されると、会員証(クレジットカードサイズ)、プロストラップ、プロサポートオリジナルステッカーがセットになった入会キットが提供される。現在のところ、それら以外のオリジナルグッズなどの販売予定はない。

プロサポート会員になると貰える“入会キット”。会員証、プロストラップ、プロサポートオリジナルステッカーがセットになっている。

プロストラップと会員証。プロストは2本目以降税別2,700円(1本)で購入できる。素材やつくりにこだわった逸品だ。

入会キットに添付されるプロサポートオリジナルステッカー。三脚や脚立などに貼ると目立つこと請け合いだ。

ソニー・イメージング・プロ・サポート

入会金

5,000円(税別)

年会費

10,000円(税別)

主な入会条件

写真や動画の撮影を生業としていること
ソニー製一眼カメラαまたは、サイバーショットRXシリーズを計2台以上、かつソニー製交換レンズを3本以上を所有していること

主なサービス内容

登録機材のイメージセンサークリーニングや点検サービスなどを会員向け特別価格で提供
機材の無料点検
修理代金の割引サービス
登録機材修理時の代替機貸出
購入検討機材の試用貸出
機材の割引購入(ソニーストアで15%引き)
ソニーストアで購入したαの長期保証(1年から3年に)
各種情報の提供

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。