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スポーツ写真家が語った「ソニーα9」の可能性
新レンズ「FE 16-35mm GM」「FE 12-24mm G」の実機写真も
2017年5月24日 08:00
ソニーは5月23日、ミラーレスカメラ「α9」のプレス向け体験会を開催した。作例撮影のために事前テストした写真家によるインプレッションや、バスケットコートを借り切っての撮影体験など、より具体的な商品説明の場になっていた。
α9は、ソニーが5月26日に発売するミラーレスカメラ。新たに採用する積層型CMOSセンサーで得られる高速化メリットにより、秒間20コマの連写中にファインダー像を途切れなく見られたり、高速・高精度なAE/AF演算を続けられる。スポーツや報道を強く意識した高機能ながら、ボディサイズは既存のα7 IIシリーズと同レベルにまとめられた。店頭予想価格は税別50万円前後。
ソニーでは、α9をいわゆる"フラッグシップ"として位置づけていない。ラインナップの頂点にくるカメラではなく、高解像であればR、広ダイナミックレンジであればSというように、それぞれの優位性があると説明している。その中でα9は、最高20コマ/秒のAF追従連写連写や、画面カバー率93%のAFポイントなどを特徴に、スポーツなどの撮影シーンでの利用イメージを押し出している。
商品説明では写真家の小橋城さんが登壇。日本スポーツプレス協会会員で、スキーなどのスポーツを主に撮影しており、近年はフィギュアスケートを撮影する仕事が多いという。今回はα9の「より速いものを正確に撮れる」という打ち出し方に合う被写体として、スキーをはじめとするウィンタースポーツをメインに撮影した。
小橋さんがミラーレスカメラを使ったのはα9が初めてだという。秒間20コマは別世界のスピードで、これまでの一眼レフカメラの連写速度ではコマとコマの間にきていた"見えない世界"の撮影が実現されるとの期待を持ったそうだ。
一方、ともすればシャッターボタンを押しっぱなしにするだけで何でも撮れてしまいそうな感覚には「これでいいのか?」との感想もあったという。だが実際のところは、秒間20コマで撮影したことにより、トスしたボールの高さやゴルフクラブの位置など、少しの違いで作品として変わってくる部分を追求できるようになったという。
また、ブラックアウトフリーのEVFの効用についても触れた。クイックリターンミラーが上下する一眼レフカメラで被写体を追いながら高速連写を続けていると、ファインダーが高速で明滅するために目の負担を感じたり、長時間の撮影では"酔う"感覚もあるという。それと比べてブラックアウトフリーのα9では、最初こそEVFゆえの違和感があったものの、カメラを速く振っても表示の追従に問題はなく、やがて安心感に変わってきたそうだ。
例えばスケートのような3Dの動きで、さらに顔が見えた瞬間を狙って撮るとなると、ブラックアウトフリーによって撮影中でもファインダー像を見続けられるメリットは大きい。一連の撮影体験について小橋さんは「画期的」と評していた。
ブラックアウトがなく、かつ無音・無振動ゆえに、ちゃんと撮影できているかどうか不安を覚えるのもα9らしい感想。連写が始まったタイミングがわかるように、撮影中を示すインジケーター(撮影設定内「撮影タイミング表示」)や電子音の設定などには、小橋さんのアドバイスが反映されているという。
サイレントシャッターのメリット
スポーツ撮影では、シャッター音そのものが撮影の障害となる場合もある。無音ではないフィギュアスケートの会場でも、大人数のシャッター音が束になると観客から苦情が出てしまうという。また、テニスやゴルフでは選手の集中の妨げとなるため、撮影自体が難しいシーンが少なくない。無音かつ高速連写が可能なカメラは、そこに新たなシャッターチャンスの可能性を感じさせる。
新しい広角ズームレンズ2本
α9から少し遅れて7月〜8月に発売される新レンズの展示もあった。
8月発売の「FE 16-35mm F2.8 GM」は、G MASTER"大三元"待望の広角ズーム。風景写真に似合う広角レンズだが、G MASTERゆえにボケ味も意識しており、ポートレートでの使用も提案したいという。
7月発売の「FE 12-24mm F4 G」は、Eマウントのズームレンズで最広角の12mmをカバーする1本。同クラスの一眼レフカメラ用レンズが1kgを超えるところ、約565gと軽量に仕上がった。
どちらもミラーレスカメラならではのショートフランジバックを生かした光学設計で実現した小型・軽量が特徴。また、ソニーのオリジナルであるアクチュエータ「DDSSM」の採用も、静音高速なフォーカス駆動による静止画/動画への両対応をアピールしている。
プロカメラマンの体験レポート、乞うご期待
本誌ではα9が示す新たなスポーツ撮影の可能性をお伝えすべく、ライバルと目されるプロ用一眼レフカメラを日頃使用しているプロカメラマンに同行を依頼。会場でのバスケットボール撮影体験を通じて、スポーツ撮影のプロ目線でα9をチェックしてもらった。近日掲載のインプレッション記事にご期待いただきたい。