岡嶋和幸の「あとで買う」

365点目:写真がわからないと思っている人たちへのヒント

小林紀晴『写真はわからない 撮る・読む・伝える――「体験的」写真論』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムが沢山あります。この連載では、撮影や写真関連のアイテムを中心にその中身をお届けします。購入前の製品については使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

小林紀晴『写真はわからない 撮る・読む・伝える――「体験的」写真論』

ゴールデンウィークに読みたい本ということで、まずはこちらを選んでみました。販売価格は1,078円で、Kindle版もあります。写真を楽しまれているみなさんにぜひ読んでほしい1冊です。

私自身はもちろん、フォトスクールの生徒さんの悩みなどに答えるときの参考にもなりました。フォトコンテストに関することや、SNSでたまに目にするカメラマン、写真家、フォトグラファーの違いなどについて小林紀晴さんならではの考察もあり、個人的にも共感できるものばかりです。

序章の「いい写真」についても、私が写真を評価するときの基準とほぼ一致。「カメラとの付き合い方」「人物をどう撮るか」「写真に答えはない」など興味深い内容が続きます。280ページの新書判、優しい語り口であっという間に読み終えることができました。だからといって「写真はわからない」という気持ちは変わらず、でも別にそれでいいのだと思うことができてすっきりです。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。